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GOOD PROFESSOR

東海大学
理学部 物理学科

西嶋 恭司 教授

1957年三重県生まれ。’81年静岡大学理学部物理学科卒。’83年神戸大学大学院理学研究科物理学専攻修士課程修了。’86年同大学院自然科学研究科物質科学専攻博士課程単位取得退学。’86年東京大学宇宙線研究所研究員。’86年米ローレンスバークレー国立研究所客員研究員。’88年早稲田大学理工学研究所特別研究員。’90年東海大学理学部物理学科助手。’96年同助教授。’02年より現職。主な著作に『Search for TeV Gamma-Rays from PKS 2155-304 and PKS 2005-489 during Quiescent States』(基礎物理学研究所)『CANGAROO-Ⅲ Observations of the 2006 Outburst of PKS 2511-304』(米国で出版・前著ともに共著)『Very HighEnergy Gamma-Ray Observations of AGNs with CANGAROO』(豪州で出版)などがある。

西嶋先生が主宰するWebサイトのURLアドレスはコチラ →
http://www-kn.sp.u-tokai.ac.jp/~kyoshi/index-j.html

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人類未知の最先端に迫る宇宙線物理学

西嶋研究室の入る「5号館」建物
新緑ゆたかな東海大湘南キャンパス

東海大学湘南キャンパスは、溢れるような緑に覆われた美しいキャンパスだ。今回訪ねたのは、東海大学理学部物理学科の西嶋恭司教授。先生も「ここの緑は大好きですね」と語る。まずは西嶋先生が所属する東海大学物理学科の特徴から聞いていこう。

「この学科の一番の特徴は、いろいろな専門教員がそろっていて、研究分野の範囲がとても広いことでしょう。宇宙物理から素粒子理論・レーザー・高分子そして複雑系までと、物理の領域について広く総合的に学べるというのは、学生にとっても魅力だと思いますよ」

研究と教育のどちらかに偏することがないのも、東海大物理学科の特徴だとも。とくに教育面では各学生のレベルに合わせた指導を旨とし、「落ちこぼれの学生を出さない」を教員たちのスローガンにして、熱心な指導が日々行なわれている。そこで西嶋先生ご自身の専門は、広義では「宇宙線物理学」の研究になる。

「これには純粋な宇宙物理学から、素粒子の研究までもが含まれます。簡単にいえば、宇宙から飛んでくるものなら何でも(粒子でも原子核でもガンマ線でもニュートリノでも)わたしの観測研究の対象になり得ます。それらを総合的に研究することで、天体および宇宙線の起源について探っているわけです」

このほか特筆すべきは、2つの世界的な国際共同研究プロジェクトに参加してきたことである。日米共同による「スーパーカミオカンデ」と、日豪共同による「カンガルー」への研究参加だ。

国際共同プロジェクトにも参加し世界初の発見をめざす

広いキャンパス内には緑があふれる
湘南キャンパスのシンボル「1号館」

両プロジェクトとも、研究室のメンバーとともに西嶋先生は参加してきたが、日本からの参加メンバーで、私立大学からの参加は西嶋研究室だけだという(「カンガルー」には2人の私立大教授が個人参加をしている)。

「このうちスーパーカミオカンデは、ノーベル賞を受賞した小柴昌俊・東京大学名誉教授のニュートリノ観測を引き継いで、日米で共同観測している巨大プロジェクトです。小柴先生は、大マゼラン星雲内での超新星爆発で発生したニュートリノを主に観測しましたが、私たちは、この銀河系内で超新星爆発が起きたときに発生するニュートリノを観測しようと、準備を進めているところです」

「日豪共同研究のカンガルーのほうは、われわれ銀河系の外にある銀河群のうち、特に中心核が活動的な、銀河の中心に存在すると考えられる巨大なブラックホールへのアプローチとなります。ブラックホールの周辺には高エネルギー現象が起きているはずで、そこに発生するガンマ線を観測することで、その高エネルギー現象を捉えられるのではないかという研究です」

まさに人類未知のテーマを解き明かしていく、壮大な研究内容といえよう。さらに東京大学の研究所と共同で「ダークマター」についての観測研究も本格的に始めている。

「宇宙全体を構成している物質のうち、4分の1は目に見えないダークマターという物質だと考えられています。質量としては存在することは確かだが、いまだ見ることができない未知の素粒子ですね。これを検出してやろうという人類初の試みの方法は、液体キセノンを入れた装置にダークマターを取り込んで、キセノンの原子核と衝突させることで発光させていきます。それらを集めて正体を探ってやろうという観測スタイルをとった研究となります」

これは世界中の宇宙物理研究者が競い合っている分野であり、ぜひ一歩先んじてダークマターの正体を探り当てたいと目を輝かせる西嶋先生の姿は印象的だ。

熱血の研究生指導から市民向け「サイエンスカフェ」まで

「サイエンスカフェ」開催の様子
「サイエンスカフェ」開催の様子

東海大学理学部物理学科の学部生は、4年次に各教員の研究室に配属になる。そして1年間にわたって卒業研究に集中的に取り組む。

「私の研究室では、国際共同研究などにも頻繁に参加しますから、海外の学生・研究者と議論する機会があったり、東京大学や京都大学の学生といっしょに観測結果を解析したりもできます。こんな機会は生涯に幾度もあることではありませんから、ぜひ積極的に参加してほしいですね」

東海大生に向けて西嶋先生は常に呼び掛けている。その西嶋研究室は、例年の入室学生は10人前後。理系研究室としては多めだが、これは同研究室には西嶋先生のほかに2人の准教授が所属して指導にあたっているせいもある。

卒業研究の研究テーマについては、あらかじめ20ほどのテーマが西嶋先生によって用意され、そこから学生たちは自身の興味と関心のあるものを選ぶ。同じテーマを複数の学生が選んだときはグループ研究にもなる。そうした学生指導への方針については次のように語ってくれた。

「あえて手取り足取りして教えるようなことを私はしません。つねに自分で考えてやりなさいと指導しています。不明なことがあったら、だれかに聞いて教えてもらうのではなくて、まず自分でとことん調べてみる。それでも分からなかったら、我々教員に質問する。それが基本ですね。だれかに指示されるのを待つのではく、どんどん自分から動くようにというのも、日ごろから学生諸君によく言っていることですね」

西嶋研では、大学の枠を跳び越えて一般市民を対象にした「サイエンスカフェ」を不定期に開催している。地元の博物館などを会場にして、みんなでお茶を飲みながら西嶋研のメンバーが物理学の面白さや不思議さについてやさしく解説するという催しだ。

「これには私も講師として時々参加していますが、主に大学院生が中心になって運営しています。自分たちの研究の内容や成果を一般の方にも分かるように説明するのは案外に難しいものです。その意味でも、いい勉強の機会にもなっていると思います」

こんな生徒に来てほしい

一度しかない人生、チャレンジをしてみようという前向きな気持ちや夢をもって大学に来る人が望ましいですね。みんな行くから自分も何となく進学した、というような人はちょっと困ります。「大学に入ったらこんなことを是非してみたい! 失敗してもいいから何かにチャレンジしてみたい」。そういう何かを自分で見つける意欲のある人なら大歓迎ですよ。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。