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GOOD PROFESSOR

千葉工業大学
社会システム科学部 プロジェクトマネジメント学科

五百井 俊宏 教授

いおい・としひろ
1947年栃木県生まれ。’69年千葉工業大学工学部機械工学科卒。’69年日本コロムビア入社。’76年日本大学大学院生産工学研究科博士後期課程修了。’77年千葉工業大学工学部助手。’86年同工学部精密機械工学科・大学院精密機械工学専攻助教授。’91年同教授。’97年同工学部プロジェクトマネジメント学科教授。’02年より現職。’91年米ミズーリ大学客員研究員。技術開発懸賞論文理事長賞(’92年)同奨励賞(’98年・千葉県工業技術振興センター)ABTEC講演論文奨励賞(’96年・砥粒加工学会)。主な著作に『精度設計と部品仕上げシステム技術』『PS全書 先端精密加工技術』(前著ともに日経技術図書)『PMリファレンスブック』(日刊工業新聞社)などがある(著作はいずれも共著)。
五百井先生が主宰する「五百井研究室」のURLアドレスはコチラ →
http://www.kp104.com/webmaster/ioi/index.php

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「PM手法」こそが混沌からの脱却の決め手かもしれない

五百井研究室のある7号館

千葉工業大学の社会システム科学部には「プロジェクトマネジメント学科」というのがある。
全国に公立・私立さまざまな大学があるなかで「プロジェクトマネジメント(PM)」を冠する学科を持つのはここだけだ。

「PMとは、明確な目標を設定して、専門家によるチームを編成し、定められた期間内に決められた資源を効率的に活用して目標達成をめざす管理手法のことをいいます」

そう語るのは千葉工業大学プロジェクトマネジメント学科の五百井俊宏教授である。
PMの一番の特長として期間が限定された『有期性』がある。
取り上げられた特定プロジェクトにおいて、そのQCD(品質・コスト・納期)を限られた期間内にいかに確保するのか?
それこそがPM手法の原点となるわけだ。

「IT業界だけでなく急速に導入されはじめているのがこの手法です。従来プロジェクトの推進といえば、ベテラン社員がリーダーになって、その経験則でなされるものがほとんどでした。ところがこのPMの手法を身につけていれば、入社数年の若い社員でもリーダーを務めることができます。本学科の目的は、このPMスキルを身につけた人材の育成となります。そのため学生指導では、グループ学習とプレゼンテーション教育が中心になっています」

このうち、グループ学習ではPM手法の「実践」そのものがなされる。
そしてプレゼンテーション教育では「発表」がそれぞれ繰り返されていく。
このほかPM学科では外国語教育にも力が入れられており、とくに英語は2~3年次の必修になっている。

また、入学時から卒業まで約10人の学生にひとりの教員がついて、個人的な相談にのってくれる「メンター制」の採用も同学科の真骨頂だ。
千葉工業大学でメンター制度を最初に導入したのはPM学科だが、現在は全学的に広がっている。

教育・地方――あらゆる場にPM管理手法を活用させたい

津田沼キャンパス通用門

ところで五百井先生自身のご専門はといえば、「生産システムマネジメント」「研究開発マネジメント」「プロジェクトマネジメント教育」で、いずれもPM関連である。
そのPM研究の特徴は、実際の企業や研究機関・教育現場に足を運んで現実に即した調査研究をしているところにある。

「医療関係の検査機器をオーダー生産しているあるベンチャー企業がありまして、その経営者から『従業員の定着率が悪いので、その解決策を探ってほしい』と依頼を受けたことがありました。ここでは従業員間のコミュニケーションに着目し、就業中の作業とコミュニケーションの割合、その内容(仕事上のものか私語か)などについて、PMを使ってシミュレーションしてみたのです」

そうした調査の結果、作業効率を上げて従業員の士気を高めるための各コミュニケーションの割合が算出された。
それを企業に提案し実施したところ、格段の効果で従業員の定着率が向上したのだという。

ベンチャー企業がうまくいかないのは、内部の「人間系」にこそ問題・課題があるからではというのが、先生が常々持っている仮説だ。

こうしたPM法は元々、産業界のために開発されたものであることは言うまでもない。
しかし五百井先生は、これを他の分野へ広める努力もさまざまに試みている。
そのひとつの成果が教育現場への普及だ。

「PM法は教育の場で使ってこそ真価を発揮する――というのが最近の私の信念となってきました。かつて千葉県内の公立小学校の協力を得て、PM効果の検証を試みたことがあります。具体的には貿易ゲームを授業に取り入れて、チームによる対抗戦で競い合ってもらいました」

終了後の児童たちへのアンケート結果によると、伝え合う(コミュニケーション)ことや計画性・協調性などの重要性に気づかされたという感想が多く寄せられたという。
ちなみに、教育の場にPM法を持ち込んだのは日本では先生が初である。

さらに、五百井先生は地域問題にもPM法の活用を考えている。
旧住民と新住民の融和と協調を図って地域を活性化しよう――
このような具体的テーマで展開中である。
こちらはまだ中途ということだが、すでに効果は見えはじめているという。

なにかを自らクリエーションしていけば明解に生きていける

千葉工大津田沼キャンパスの全景

次いで学部生の研究室配属についてだが、千葉工業大学社会システム科学部プロジェクトマネジメント学科では3・4年次学生が対象となる。
五百井研究室には例年10人前後が配属されてくる。
ゼミ演習形式という五百井研究室の運営方法について伺った。

「ゼミは3年次学部生と4年次学部生・大学院生とに分けて行なっています。3年次の学部生には、それぞれが一番興味をもっていることを挙げてもらい、それが卒業研究のテーマとしてふさわしいのかディスカッションをして、テーマを絞り込んでいきます。研究テーマはあくまで学生の側から出してもらい、わたしの方から与えることはしません。経験上そのほうがよい成果につながるからです」

研究はすべて個人で行い、いわゆるグループ研究は認めていない。
最後まで個人に責任をもたせるというのが五百井先生の原則だからだ。
あらためて学生指導の方針については――

「高校までと違って大学の教育では、教科書に書いてあることを覚えていくだけでは意味がありません。どんなに小さなことでもいいから学生がクリエーション(創造)し、それを工夫して応用・活用できるものにする。大学で学ぶということはそれに尽きると思います。こうしたことは社会に出てからも必ず役立ちますよ」


最後になったが、千葉工業大学プロジェクトマネジメント学科は、オープンキャンパスの際などに来訪者・志望者への説明案内が現役の学生中心になされることでも知られる。
そうした学生たちの姿にひかれてこの学科をめざして受験する高校生も多いという。

こんな生徒に来てほしい

まず、明るくて行動的なポジティブ志向の人ですね。それにクリエーティブな姿勢で活用・応用を考えられる人。他人に従うのではなく、リーダーシップ能力やコーディネーター能力が発揮できる人。人々への興味や関心のある人。ものごとに熱中できる人。言い出せばキリがありませんが(笑)、ざっとこんなところでしょうかね。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。