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GOOD PROFESSOR

千葉工業大学
情報科学部 情報工学科

佐波 孝彦 教授

さば・たかひこ
1969年東京生まれ。’97年慶應義塾大学大学院理工学研究科後期博士課程修了。’94年日本学術振興会特別研究員。’97年名古屋工業大学電気情報工学科助手。’98年千葉工業大学情報科学部情報工学科講師。’02同助教授。’07年同准教授。’09年同教授。’12年より大学院情報科学研究科長。季刊誌『B-plus』(電子情報通信学会・刊)の特集編集チームリーダーも務める。
主な著作に『アンテナ・無線ハンドブック』(オーム社)『情報伝達の理論と方式』(前著ともに共著・培風館)『移動体通信における同期技術』(トリケップス)などがある。
「佐波研究室」のURLアドレスはコチラ↓
http://www.saba.cs.it-chiba.ac.jp/member/saba.html

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次世代無線通信をより高速化させるために

佐波研究室が入る津田沼7号館
新緑の津田沼キャンパス全景

今週紹介する一生モノプロフェッサーは千葉工業大学情報科学部情報工学科の佐波孝彦教授である。情報工学といってまずイメージされるのはIT関連かもしれないが、まずは同学科で学べることから説明してもらった。

「いまやコンピューターは老若男女だれでも扱う時代ですが、情報工学科の学生であればそれだけで終わって欲しくないわけです。そこで、ハードにもソフトにも強い情報処理技術者を育てるというのが本学科のスローガンになっています」

その具体的な特長としては次のように語る。

「コンピューター関連のハードとソフトの双方について学べることが第1になります。また教える側の多くが海外大学での留学を経験しており、国際技術英語の指導に力を入れていること、さらに海外留学生を毎年受け入れていて、その交流が学生たちの刺激になっていることなども挙げられますね」

千葉工業大学情報工学科は、’03年度の人材養成機能評価において全国大学の上位5%以内という「A+」の高評価を得ている。

「その高評価に恥じないように、さらに良い教育指導ができるよう、我々も日々努力を続けているところです」

モバイル無線通信システム研究の最前線に立つ

千葉工業大学津田沼キャンパス点描

そう語る佐波先生自身のご専門は「移動体通信」と「信号処理」である。携帯電話やデジタル放送・無線LANなど、モバイル関連の無線通信システムにおける新進気鋭の研究で広く知られている。

「コンピューターの高速化は長足の進歩を遂げていて、いまや有線のインターネットなど光通信レベルが当たり前になっています。そのことがモバイルの世界でも同じように求められつつあります。モバイル無線機器の端末を利用するときでも、インターネットを利用するときは有線と同程度のスピードでないと満足されないわけですね」

このハイスピード化を実際に可能にしているのは、アンテナの複数化だという。佐波先生は愛用のワンセグTV機能付きの携帯電話を手にしながら、モバイル無線において画期的な技術といわれる『MIMO技術』について説明してくれた。

「これは、単体の機器内に送受信用の複数(3~4本)のアンテナを組み込んでしまう技術を指します。それぞれのアンテナが別々のデータを同じ周波数で同時に送受信することで高速化を図っているのです。従来このような小型機器の中でそんなことをすれば、信号の混信を起こしていました。しかしMIMO技術導入によって各アンテナのデータを分離して識別できるようになったのです」

「いま私たちが研究しているのはさらに先のこと、つまり次世代の無線通信において、より高品質なデータをより高速で送信するための技術開発です」

それは世界中の研究者やメーカーの技術者たちを相手に、熾烈な開発競争で覇を競うということにも必然的につながってくる。

「たとえばある新技術を開発して特許を申請しますと、ほかのメーカーはそれを回避した別の技術で対抗してくることはよくありますからね。まさに大変な世界です」

どうせなら国際学会レベルの卒業研究をめざそう

登録文化財指定の「工大赤レンガ門」

千葉工業大学情報科学部の学部生が各教員主宰の研究室に配属になるのは、3年次の11月からだ。佐波研究室でも例年7~8人の学部生を受け入れている。

「わたしの研究室に配属された学部生は、次の年の4月までかけて1000ページを超える英文の専門書の輪講に挑戦してもらいます。はじめのうちは内容というよりも英文そのものに悪戦苦闘といった彼らも、5ヵ月間も集中して取り組んでいるうちに、後半はかなりスラスラと理解できるようになりますね」

そして4月からは、いよいよ最新技術について書かれた論文の輪講とコンピューター・プログラム作成の実習へと進んでいく。さらに6月ごろからは、各学生と個別に面談しつつ、それぞれ卒業研究テーマの絞り込みへと進むこととなる。

「卒研のテーマについては、原則的に学生の側から出してもらうようにしています。彼らの側から是非これを研究したいというものが出てくるようにさせるのが大変なんですが(笑い)。そのためにも日ごろから密度の濃い指導をし、さらに信頼関係を構築しておくことにかかってくると思いますね」

こうして、たとえ学部生の卒業研究であっても、モチベーションの高い研究については学会や国際会議で発表の機会を与えるようにしている。すでに佐波研究室では幾人かの学部生がこの栄誉に輝いているという。
あらためて学生たちへの指導の方針については次のように語る。

「自分で物事を考え決められる人になってほしいというのが第一ですね。他人に依存したり頼り切ったりするのではなく、自ら考えるクセをつける。それで失敗しても構わない。学生のうちだから失敗できるとも言えますしね」


インタビュー取材の最後に佐波先生はこう結んだ。

「今後アジアの国々が高い技術力をもって台頭してくるでしょうし、日本として何をもって勝負していくべきなのか、今のうちにきちんと考えていてほしいですね。そうした模索のなかで自らが社会に出て何をすべきなのかも見えてくるでしょう。日ごろから広く模索する努力を惜しんでいると、あわてふためくはめに追い込まれてしまいますよ。もはや学生であっても、そうしたことを考えるべき時期に来ていると思います」

こんな生徒に来てほしい

大学での講義や研究というのは、高校までと違って正解のないものを追究していくことが多くなります。実際、社会に出てみれば答えなどないものが大半だったりもします。そんなときに安易に「答えは何ですか?」と聞いてしまう人よりも、「何でこんなふうになるんだろう?」といっしょに考えるような人なら素晴らしいですね。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。