早稲田塾
GOOD PROFESSOR

東海大学
情報通信学部 情報メディア学科

濱本 和彦 教授

はまもと・かずひこ
1966年長崎県生まれ。’94年東京農工大学大学院工学研究科電子情報工学専攻博士後期課程修了。’94年東海大学工学部通信工学科助手。’95年同専任講師。’98年同第二工学部電気工学科助教授。’09年より現職。電気学会優秀論文発表賞(’95年)。
著作には『情報処理基礎シリーズ Javaによる情報メディアアルゴリズム入門』(日新出版)『可視化情報ライブラリー4 PIVと画像解析技術』(朝倉書店)がある(著作はいずれも共著)。
「濱本研究室」のURLアドレスはコチラ↓
http://dm10hama.dt.u-tokai.ac.jp/

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人・社会への興味から始まる情報処理研究

濱本研究室が入る1号館
東海大学高輪キャンパス正門

東海大学高輪キャンパス(東京港区)には、情報通信学部として(1)情報メディア学科(2)組込みソフトウェア工学科(3)経営システム工学科(4)通信ネットワーク工学科の4学科が集う。今回紹介する濱本和彦教授は情報メディア学科の所属。まずは同学科の特長から話してもらった。

「情報通信学部4学科のうち、プログラムを書くなどソフトウエア開発を学んでいるのは、『組込みソフトウエア工学科』と、わたしのいる『情報メディア学科』です。両学科の違いは、前者が機器に新しい機能を追加するためのソフトウエアについて学び、後者は機器を使用する人にとって使いやすい環境にするソフトウエアについて学ぶところですね」

情報メディア学科のカリキュラムで特徴的なのは実習授業が多いことだという。

「1年次から実習科目が導入されています。その受講学生は多くて50人までで、なかでも重要なヒューマンインタフェース(機器の操作性の追究)やバーチャルリアリティなどの実習は30人までとしています」

こうした最新機器を活用する少人数実習こそが情報メディア学科の最大の特長なのだろう。このほか情報通信学部全体で共通する特記事項として、英語教育に力を入れていることも挙げられる。必修の英語のほか、「TOEIC(R)入門」「TOEIC(R)初級」「技術英語」などの授業科目が用意される。なかには卒業研究の発表を英語でおこなうための指導までもがある。こうして世界に通用する情報技術者・研究者が養成されていくわけだ。

高齢者にも医師訓練にも役立つIT情報処理研究

バーチャルリアリティ実習室
仮想立体画像の中に濱本先生

濱本教授の研究分野は「医用情報処理」「情報アーキテクチャ」「ヒューマンインタフェース」がキーワードだ。

「わたしは大学院時代まで『医用画像』(Medical imaging)分野を研究テーマにしていました。そのあと本学で通信工学系の所属になり、高齢者の社会参加支援についてインターネットを利用していくプロジェクトに参加します。そこで高齢者のコンピューター操作問題を通して『ヒューマンインタフェース』(Human Interface)分野に出あうことになりました。さらに医用画像でも高齢者福祉でも、いかに情報をわかりやすく伝えるかが中心テーマにあり、これが『情報アーキテクチャ』(Information Architecture)へと繋がるわけです」

この3つのキーワードを基調に、いま濱本教授が取り組んでいる主要な研究開発内容についても語ってもらった。

「まず医用分野では、次世代インターフェース技術であるバーチャルリアリティ(Virtual Reality)を利用した医師のための触診訓練用システムがあります。これは、腫瘍が悪性であるのか良性であるのかを触診で識別できるようになるための訓練システムで、バーチャルな腫瘍をコンピューター内につくり出し、それに触ったときの触覚を手元に返すことができるシステムです。また腹腔鏡手術(腹部に穴を開けて内視鏡カメラの画像を見ながら執刀する手術手法)における、ベテラン医師と若手医師との手術技術の違いについてCGで比較できるソフトも制作しています」

さらに、脳外科手術用に脳内に挿入する超小型内視鏡カメラについて、ひとつのカメラでも立体画像を構成できるソフトウェアの開発も手がけているという。

いずれもまだ開発途上だそうだが、1日も早い完成が待たれる貴重な研究開発ばかりである。
このほか医用以外では、バーチャルリアリティにおける「バーチャル酔い」についての研究がある。

「いわゆる3D映画のような1面の立体環境ではなく、多面体の立体環境に人が入り込んだときに起きるバーチャル酔いについて研究しています。特にその環境に複数の人が入った場合それぞれの人が感じる違いについて数値化して調べています」

こうしたテーマで研究している例は世界でもほかにあまり聞かないそうで、これもまた貴重な研究分野といえよう。

情報を「知る」だけでなく「使い方」を考え続ける

バーチャル触診機器を操作する先生

東海大学情報メディア学科における学部生の研究室配属は、3年次後期(秋学期)から。濱本教授の研究室でも毎年10~11人ほどの学部生を受け入れている。魅力的な研究テーマが並ぶだけに配属を希望する学部生は多く、年によっては希望者が定員の倍ほどになるという。

「選抜はわたしが面接をして決めています。面接をするにあたって成績は一切見ません。そのポイントは、研究に懸ける意欲と、どんな研究をしたいのかが明確になっているかどうか。さらに、これまでの人生でこれを頑張ったと言えるものがあるかどうか。それは勉強に限らず、遊びでも部活でもバイトでも何でも良いのですが、他人より努力した対象があるかどうかですね」

面接をパスして配属になった学部生は、まず濱本研究室でこれまで進められてきた研究内容のすべてについて一通り学んでいく。

「これらの学習に3年次後期のすべてをかけます。それと並行して個々の卒業研究のテーマを決めていきます。うちの研究室ではひとり1テーマが原則で、それぞれの卒研は4年次の4月から始められます」

研究室内では週1回全員参加のミーティングがおこなわれる。そこで各自研究の進捗状況が発表されるが、そのとき使用するプレゼン資料は英文でつくるのが条件。学部生にとっては研究内容以上にそれが難行になっているらしい。さらに研究グループごとのミーティングも週1回以上なされる。

日ごろから研究指導や要求が厳しい濱本研究室では泊まり込みなど当たり前らしい。これが夏合宿となると、このときばかりは研究のことなど一切忘れて全員が遊びに徹するのだそうだ。あらためて研究生たちへの指導方針について聞いた。

「何よりわたし自身がやってみせることですかね。学生や院生の誰よりもわたしが最後まで研究室にいること。できる限り、彼らといっしょにいるようにすること。彼らとよくコミュニケーションをとること。彼らが意見を述べたときに頭から否定しないこと。そんなことを方針にしているつもりです」

こんな生徒に来てほしい

このIT万能時代にあって、情報を学ぶ者はその汎用性からどこでも重宝がられます。ただ情報について知っていても、それでどんな使い方ができるのか知らなかったら意味がありません。それは、就職活動の前に急場しのぎで覚えようとしても無理です。常日ごろから人間や社会に興味をもって、いろんなことを経験し、どんな情報の使い方ができるのか考えておくことが大切です。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。