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チャレンジに国境も限界もない! 建築に価値を重ねていきたい

建築家 加藤比呂史 Special Interview #12

Profile
早稲田塾第21期生。2000年明治大学付属中野八王子高校卒、2004年武蔵工業大学工学部建築学科(現/東京都市大学)卒業。
2004-2010 年 藤本壮介建築設計事務所、2010年 日建設計、2010-2012 年COBE (コペンハーゲン)を経て、2011年個人プロジェクト「KATO×Victoria」を共同設立。現在は、建築家としてデンマーク・コペンハーゲンを拠点に、ヨーロッパや日本の建築、都市計画に携わる。「KATO×Victoria」では、AGC(旭硝子)建築コンペティションで最優秀賞を受賞。デンマークの設計事務所では、ヨーロッパの幼稚園や博物館のコンペティションにおいて最優秀賞に輝く。

「自分を試したい」とデンマークへ!
チャンスを探し続けている

コペンハーゲンセントラルステーションから歩いて5分のところに、ぼくたちの事務所はあります。明るいスペースにひしめきあう建築模型と、様々な国から訪れるインターンで、いつもにぎやかな雰囲気。模型のひとつ、曲線を描いた壁や緑に囲まれた建物は、先日提出を終えたばかりの刑務所。セキュリティの専門家や調査スタッフとチームを組み、設計を担当した建物です。刑務所というと、デザインとはかけ離れた無機的な建築物であるように思えますが、傾斜地にあう曲線のフォルム、外からみたときの温かい色合いなど時間をかけて考えた。デンマーク人やグリーンランド人など、さまざまな国民性や価値観、専門性をもった仲間とアイディアをぶつけあいながら、「編集者」のような立場で新しい価値を生みだす――。そんな瞬間の連続で日々、〈社会〉と、〈世界〉とつながっていると実感しています。

思えば、社会にでて仕事に手応えを感じはじめたころから、「全然違う環境でもやっていけるか?」と、自分を試しつづけてきました。そしていま、ぼくは東京から9,000km離れた土地で、あっちこっちに転がっているチャンスを探し続けています。

写真提供:KATOxVictoria

コペンハーゲンにあるオフィスの様子

写真提供:KATOxVictoria

コペンハーゲン郊外にある邸宅の既存の2つの小屋(左)を
4つに分解し(右)、庭にとけ込む様に設計。

写真提供:KATOxVictoria

旭硝子とコラボレーションでつくった、ガラスパビリオン。
新しいガラスの可能性を追求。

写真提供:KATOxVictoria

ロシア、カルーガで提案した展望台。
周辺の森の木々を積み上げてつくる。

早稲田塾のスタッフは“お母さん”
第二の「居間」でキャッチアップ

世界にフィールドを広げた原動力は、なんだろう? ……何よりも「チャンスがあれば、チャレンジできる」と信じてきたことかもしれない。そうそう、大学入試のときは、まわりが「えっ、勉強はじめるの?!」ってびっくりしていた。なにしろ、受験に十分とはいえない成績だったし、早稲田塾に入ったのは、高3の秋だったので。「浪人は絶対しない!」と、自分を踏ん張らせるために、現役生対象の早稲田塾に入塾した。
入ってみて、「見捨てない」雰囲気に安心しました。塾だけど、“お母さん”みたいなスタッフが「頑張れ~」「大丈夫よ」といつも声をかけてくれる。ひとりで行っても疎外感がなく、家の居間みたいにくつろげた。スタッフや塾生と話しはじめるようになってから、不安は全くなくなり、「なんとかなる!」という確信のもと、受験まで走り続けられました。

高校時代の写真

塾に現役合格を報告したときの一枚。
スタッフ皆で喜んでくれ、とても嬉しかった。

“Hello!”with Smile
英単語道場で培った力で、国際人の仲間入り

大学時代には、全国の設計コンクールに作品を応募しつづけ、入賞を果たすことができました。そうして、憧れだった建築家の設計事務所へインターンを経て就職。この事務所には、学生時代に一度「もう一歩だね」とフラれたものの、インターンでがむしゃらに働き、建築家から直々に「加藤という男と働きたい」と連絡をいただくことができました。そこで建築家としての心構えや技術を経験として積ませていただき、「世界で自分を試したい!」とデンマークへ。最初から就職先が決まっていたわけじゃないし、英語も流暢とはいえなかった。けれど、自分から臆することなく「Hello!」、「Good!」と声をかけつづけた。
母国語以外の人にとって英語が第二の言語だということは、デンマーク語を標準語とするデンマーク人も同じ。“まったく言語が違う相手”と心の壁をつくらずに、“気になる異性に話しかけるときと同じ緊張感だ”と思うことにして、アプローチしていった(笑)。
もちろん実際に仕事をするうえでは、的確なイディオムやセンテンスを瞬間的に使えることが重要です。一字一句調べながらだと、価値観や思いを十分に共有できない場合もあるから。そういう点では、「英単語道場」で記憶したセンテンスは、いまでもそのまま使っています。微妙なニュアンスを「えいっ」て伝える、万能薬のようなセンテンスを備えておくことで、表現に深みと広がりがでてくると思います。

「ムリ」と「先入観」を捨て
ホンネに近づく仕事の流儀

海外で様々な人と仕事をするなかで、「先入観をもたない」ことを大事にしています。このスキルも、早稲田塾で身につけた。塾のインターンシップで八王子校の塾生と向かいあい、大学の研究の話や夢を話すときには、「あの塾生が笑うような話を」、「メモをとってくれるような話を」と心がけていました。寡黙にみえる塾生が、ホンネを打ち明けてくれたり、楽しそうにしゃべったり。そんな経験に恵まれたせいか、いまも自分だけの価値観が正しいとは思わず、発注者や仲間の考えに耳を傾けます。すっと相手に寄り添うことで、「家族といっしょに安らぎたい」とか「わいわい人と集まりたい」というホンネが見えてくる。そのうえに、ぼくのアイディアを重ね、盛り込んでいきます。ひとりよがりの作品ではなく、クライアントといっしょに、暮らしやすい場所をカタチづくっていけたら幸せ。

将来の<夢>建築を通して、
新たな価値を重ねていきたい

子どもの頃から、部屋のレイアウトを考えたり、押し入れに入ってワクワクしていたぼくにとって、空間づくりは、やはり天職。その場所がもつ歴史や文化、産業を重視して、「価値を重ねる」ということを常に大切に考えています。競争力のある日本であれば、建造物に自分のとがった個性を、公共性の高い場所や建造物を作りあげてきたデンマークであれば、全体の景観を活かすという視点をプラスアルファ。国や地域は違った価値観をもっていて当たり前ですから、これからさらにいろいろな土地や人に出あい、新しい価値を生み出していきたい。

そうそう、いつか温泉をつくりたいとも思っています。自然の一部に浴場があって、途中から山道に向かって枝分かれしたり、サルもいっしょに入っていたりして。そんなことを考えると、ワクワクしてくる(笑)!

―― 常に「人から学ぼう」という姿勢で、どんな言葉にも丁寧に耳を傾け、メッセージを伝えてくれた加藤先輩。様々な地域、国の人々と切磋琢磨しながら、信頼と実績を積み上げていく姿は、これからも後輩の指針となってくれるでしょう。今後の活躍に期待しています。

加藤比呂史
加藤比呂史
チャレンジに国境も限界もない!
建築に価値を重ねていきたい

k@katoxvictoria.dk

http://www.katoxvictoria.dk/

私達、KATOxVictoria はデンマークのコペンハーゲンに拠点を置く、加藤比呂史とヴィクトリア ディーマーによるチーム。日本人とデンマーク人、2人の建築家の創造的なアプローチで建築、ランドスケープ、都市、プロダクトなど、あらゆるデザインに、ユニークな角度から取り組んでいます。
日本でのデザインのご依頼もお待ちしています!

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