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坂東太郎のこれだけは知っておきたい高校生のニュース常識 【早稲田塾】

国際宇宙ステーションに「きぼう」はあるのか

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09年3月、若田光一宇宙飛行士はアメリカの宇宙船スペースシャトル「ディスカバリー」に乗って、国際宇宙ステーションへ(ISS)到達した。約3か月の滞在中に、日本が提供する実験棟「きぼう」での実験などを行う。

……といった「明るいニュース」がこのところ流れているのだが、実はISS計画自体に限界がささやかれているのをご存じだろうか。

いわゆる「宇宙開発」は、第二次世界大戦終了後の米国と旧ソ連による「冷たい戦争」(冷戦)の影響が大きい。1957年、ソ連は大陸間弾道ミサイル(ICBN)の製造完成を公表。さらに同年、人工衛星「スプートニク1号」打ち上げに成功し、同国のミサイル技術の高さを思い知らされたとの意味で「スプートニク・ショック」とまでいわれた。

巻き返しを急ぐ米国は人が乗れる衛星をめざすものの、この点でも61年のボストーク1号でソ連に先を越される。同機に乗り込んだ世界初の宇宙飛行士ガガーリンは、「地球は青かった」の明言を残し、米国は別の意味で真っ青となった。

威信にかかわると判断した米国は、アポロ計画に踏み出す。ただ人類を宇宙に送り出すのではなく、月を探索して還ってくる計画だ。これは69年にアポロ11号が人類初の月着陸を果たして結実、72年の17号を最後に、計画を終えた。

ソ連も黙っていない。次は「滞在型の人工衛星」すなわち宇宙ステーションに打って出、71年にサリュート1号を打ち上げた。米国も、アポロ計画の延長で開発した宇宙ステーション「スカイラブ」で対抗する。81年には宇宙を往復できる「スペースシャトル」計画を始めた。ではどこを往復するか。やはり宇宙ステーションだとなって、当時のレーガン米大統領が強力に推進した。ここまでは米ソ冷戦を背景とした宇宙開発である。

ところが、ソ連が91年に崩壊すると必然的に政治上の意味で競い合う必要がなくなった。そこで衣替えして、ソ連後継のロシアも引き込んで始まったのが、冒頭に掲げた国際宇宙ステーション(ISS)構想だ。しかし当初の目的を失った上に、2003年にスペースシャトル「コロンビア」が空中分解事故を起こして以来、「ISSは必要なのか」と疑問の声が米国内で強くなる。ブッシュ大統領が04年に発表した「新宇宙戦略」では、米政府や米航空宇宙局(NASA)の一部が、焦点をISSから火星や月探査へかじを切り替えつつあることを暗示した。05年にNASAは「ISS建設のためのスペースシャトルの打ち上げ回数を、最大でも18回に減らす」との縮小計画を示した。06年3月の宇宙機関長会議では、打ち上げ回数をさらに2回減らして16回にすると修正した。

日本が特に気になるのが実験棟「きぼう」完成である。棟は3回にわけてシャトルで運ぶ計画で、08年末に1便を飛ばして始まった。今のところNASAは「きぼう」の完成予定に変わりはないとしているが、米国は明らかにやる気を失いつつある。

意外と知られていないのはスペースシャトルの運航が2010年で終わると決まっている点。そのなかで約数千億円もつぎ込んだ「きぼう」が無意味になると、国民的反発を受けるおそれがある。

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著者紹介

【坂東太郎】

毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師。 現在、日本ニュース時事能力検定協会監事を務める。 著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。 早稲田塾の「AO・推薦対策講座」および「論文作法」を担当。

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