民放キー局4月改編の衝撃
08年後半からの世界的な経済危機は、企業の広告(CM)収入に依存するテレビ局の経営を直撃。CM出稿量が大幅に減って、各局ともに経費削減に余念がない。とりわけ、全国で放送されるコンテンツ(番組)の大半を制作する在東京のキー局(日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日)の危機感は大きい。民放テレビ開始から50年以上たって、事実上これが初めての本格的逆風である。
そこで番組の編成を考え直す4月改編で、各局とも相当なてこ入れを行った。とくに視聴者が多いとされる「ゴールデンタイム」(午後7時から10時)と、プライムタイム(午後7時から11時)でかなりの変更があった。
もっとも大きく変えてきたのがTBSで、ゴールデン・プライムのスタートラインに当たる午後7時から1時間を平日は「総力報道!THE NEWS」とした。「THE NEWS」は午後5時50分からスタートする生のニュース番組である。しかし初回の09年3月30日から視聴率は7.1%と大苦戦。以後4月17日に至るまで、ゴールデン・プライムの時間帯の世帯視聴率はずっと1けたが続いている。
キー局の常識では、午後7時からの番組で視聴率1けたはあり得ない。ニュースをこの時間にぶつけるとなると、最強の裏(自局以外)番組である「NHKニュース7」とかぶるため、当初から厳しいと予測はされていた。30日からの1週間は「THE NEWS」以降の特番が好調で、週平均世帯視聴率でTBSがゴールデン・プライムのトップ(テレビ東京とNHKも含む)を記録したが、翌週(4月6日から12日)と翌々週(13日から19日)は一転、2週連続して週平均でゴールデン・プライムが1けた。4月9日と12日、14日、15日は、ゴールデン・プライムのすべての番組が1けたを記録してしまった。
こうした危険を冒してまで「THE NEWS」を始めたのは、編集などの作業にかかるお金が、生の報道番組だと3割程度節約できるのが大きいためと見られている。また改編前も、TBSは3月2日からの週と9日からの週で、連続して週平均世帯視聴率が1けたに落ち込んでおり、てこ入れが必要なのは確かだった。うち、改編前の平日午後7時からの番組で裏をしのぐ力があったのは、火曜の「ぴったんこカン・カン」(改編後は金曜日午後8時へ移動)ぐらい。改編に一定の合理性はあった。しかしその結果が1けた連発では、何の解決にもならないのも確かで、今後何らかの動きが出てきそうだ。
同じく平日午後7時からの時間帯に、4月6日から帯番組を持ってきたのが日本テレビ。TBSと違って、こちらの「サプライズ」は基本的にバラエティーである。しかし「生」という点で「THE NEWS」と同じ。やはり経費削減が大きな狙いとみられる。
「サプライズ」もまた初回視聴率が5.8%と衝撃(?)の低レベルで、社内に衝撃を与えたようだが、16日には2けたに乗せており「THE NEWS」より視界は良さそうだ。生バラエティーというと、「8時だョ! 全員集合」(TBS)という伝説的番組がある。70年代を代表するこの番組は、経費節減どころか、大がかりなセットなどにふんだんなお金をかけた。背景には視聴率が40%を越えるのもしばしばという、今では考えられない「お化け」番組だった点もあろう。
日本テレビの「サプライズ」設定は、実はある時代の転換を示す。かつて午後7時からの時間帯は、系列の読売新聞グループ本社の子会社である、読売球団(読売巨人軍)が本拠地で試合をしている場合に必ず放映していた。巨人軍は2年連続リーグ優勝し09年も好調にもかかわらず、26試合しか放映されない。08年より16試合も減少している。
確かに近年の巨人戦の視聴率はよくなかった。といっても10%をわずかに割る程度である。「サプライズ」がそれよりも圧倒的にいいというわけでもない。それでも、巨人戦の平日ナイトゲーム中継を事実上封じ込める編成となる「サプライズ」誕生は、巨人戦がもはやキラーコンテンツ(決定力のある番組)ではなくなったことを明確にしたといえよう。









