1. 【早稲田塾】大学受験のための塾・予備校
  2. 坂東太郎のこれだけは知っておきたい高校生のニュース常識 【早稲田塾】
  3. 格差社会1

坂東太郎のこれだけは知っておきたい高校生のニュース常識 【早稲田塾】

格差社会1

mixiチェック

格差とは何だ。あるのかないのか。あったとしてそれは正すべきか。正す方法は? 06年の流行語「格差社会」の実態はよくわからない。

客観的な指標をみてみよう。長妻昭厚生労働相は09年10月、国民の貧困層の割合を示す「相対的貧困率」が、06年の時点で15.7%であると発表した。06年といえば、経済協力開発機構(OECD)が7月に、対日経済審査報告を出している。

それによると日本は加盟30カ国中、相対的貧困率が米国に次いで2番目に高かった。理由として、非正社員が増えて正社員との差が拡大しているなどをあげた。

相対的貧困率とは可処分所得(収入から税金や社会保険料など、必ず収めなければならない金額を差し引いた額)の中央値、つまり「まあまあ」の程度の半分にも及ばない暮らし向きの一家が、全体のどれだけを占めているかを示す。ただしOECDは「先進国クラブ」とあだ名されるように、加盟国は比較的豊かだから、これをもって日本は貧困者が多いとはいえない。

11月には総務省が反論に近い分析を示した。ジニ係数では、OECD加盟国の中位をキープしていると指摘している。ジニ係数とは「格差」、すなわち収入分布がどれだけ偏っているのかを明らかにする指標で、ある一人が冨を独占していれば係数1、全員が同じ収入ならば係数0となる。ただし係数そのものは年々増加(格差拡大)傾向にあるのも認めた。

10月に出された金融広報中央委員会(事務局・日本銀行)の「家計の金融資産世論調査」(06年)によると、貯蓄のない世帯は全体の22.9%とわかった。約4世帯に1つが「貯蓄なし」である。そのうちで借り入れまでしている世帯の25.7%が「日常の生活資金に充てる」を理由としてあげた。

同月、厚生労働省が発表した社会福祉行政業務報告で、05年度の生活保護世帯(1カ月平均)が100万件を初めて突破し、過去最多を記録した。生活保護は生活困窮者に最低限の生活を保障するセーフティーネットで、制度開始の1950年(報告は翌年)から、60万から80万世帯で推移してきた。87年のバブル景気で一時期60万世帯を割り込んだものの、その後は増加傾向を示し、ついに100万を超えるまでになったのだ。

06年7月に放送されたNHKスペシャル「ワーキングプア 働いても働いても豊かになれない」以後は、「ワーキングプア」(働く貧困層)も話題となった。

先進国でのワーキングプアに今のところ明確な定義はない。全世帯の約1割が生活保護受給水準以下の収入しか得られていないとの推察があり、国税庁の調査では給与所得者のうち年収200万円以下は08年には23.3%となり、男性でも10%を超えた。

生活保護費は地域差などがあって一律の水準では論じられないものの、働いているのに生活困窮者状態から抜け出せない人がかなりいるのは間違いない。年収200万円以下は生活保護1年分の総計よりは上回るが、持ち家や預貯金がなければギリギリの状態なのは変わらない。

これら統計から少々荒っぽく現状をスケッチすると、最近の日本は先進国間では悪くて下から2番目、よくて真ん中程度の所得格差があり、しかも拡大中。約4世帯に1つは貯蓄がなく、さらに厳しい生活保護世帯数が過去最高を更新し、それらの世帯以下かやや多い程度の収入しか得られない、働く貧困層も1000万人近くいる……となる。

小泉純一郎首相は当時、参議院予算委員会で「格差が出るのは悪いことだと思っていない。能力を生かせる機会が提供されることが大事」と答弁。格差自体は認めると同時に「能力を生かせる機会」の平等を重視した。後継の安倍晋三首相は、就任後初めての国会での所信表明演説で「再チャレンジが可能な社会」を唱えた。一度挫折した者でも(だから「再」)チャレンジできる(機会提供)ような意味で、前首相の機会平等論と似ていた。

だが生活保護を受けざるを得ないまで追い込まれた高齢者や一人親世帯にまで及ぶ、「機会」を設定できるだろうか。また「ワーキングプア」は再チャレンジも何も、現在チャレンジ中なのに貧困状態から抜け出せないのだから論理がつまずいていないか、と疑問を抱く向きもある。

OECDが指摘した、非正社員と正社員との間の格差拡大が問題を深刻化させているというのは一面の真理である。

厚生労働省が8月に発表した『厚生労働白書』には、パートやアルバイト、派遣などの非正社員若年層を中心に拡大し、正社員との収入格差も広がっていると指摘した上で、正社員になれる仕組みが増えないと格差が広がるだけでなく、固定化しかねない懸念を示した。

9月には国税庁の「民間給与実態統計調査」では、サラリーマンなどが民間企業で05年に受け取った平均給与は437万円で、前年を2万円(0.5%)下回り、8年連続でダウンしたことがわかった。その後いわゆる「いざなぎ超え」の好景気でアップした年もあったものの、08年の同調査では429万6000円と大きく下落している。

カテゴリ一覧

著者紹介

【坂東太郎】

毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師。 現在、日本ニュース時事能力検定協会監事を務める。 著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。 早稲田塾の「AO・推薦対策講座」および「論文作法」を担当。

オススメ情報

勝夏<カチナツ>2012
しずかちゃんになる方法
実はあなたも芸術系?!
FASID
現役医学部館
日統一
現役合格実績

月~土 / 11:00~20:00 日・祝 / 10:00~18:00 ※携帯電話PHSからもご利用頂けます。

勝夏<カチナツ>2012
校舎一覧
{*
*}
{php} include "/home/ad-site-usr/htdocs/waseda/common/ssi/floating_menu.php"; {/php}