新聞社のビジネスモデル2
広告会社最大手の電通が10年2月に発表した「2009年日本の広告費」によると、新聞広告は6739億円で前年比18.6%の激減となった。逆にインターネット広告は1.2%増の7069億円で、ついに新聞を抜き去りテレビへ迫る形となる。
もっとも、ナンバーワンのテレビも10.2%と大きく減らしている。総広告費自体が11.5%減の5兆9222億円で、広告全体が急速に縮小するなかネットが踏みとどまっているというのが真相に近い。
長らく続いてきたテレビ、新聞、雑誌、ラジオの「マスコミ4媒体」が、文字通り広告主と消費者を「媒介する主体」であるとのビジネスモデルが崩壊しつつある。とくに深刻なのは新聞である。前回に続いて、そのモデルを支えてきた「特殊指定」と「一体である」と、常に新聞側が主張してきた「再販制度」(再販売価格維持制度)を説明する。新聞への適用は1953年からだ。
現在、ものの値段は、販売者が自由に決めていいというのが原則。ただし新聞や出版物などの著作物は、メーカーである新聞社や出版社が値段を決めて、その通りに販売店や書店に売ってもらう契約で、独占禁止法24条に法的根拠をもつ。本ならば裏表紙に載っている「定価」でしか原則として販売されない。
なぜこのような例外を認められているかというと、著作物には独自の文化性があり、価格競争に突入してしまうと、少部数ながら貴重な内容の作品や、小さな会社の独自な趣向に満ちた本などが市場から排除され、結果的に文化の多様性を損なうという、特殊指定と似た論理による。
ただ、「あくまでも例外」という状況は特殊指定と同様、市場原理に反すると常に批判にさらされてきた。公取委は00年から見直しを始めて、01年3月に再販維持を「当面は維持」と発表した。ただし今後も継続して審議されるようで、将来、再販撤廃となれば特に出版界は劇的な再編を迫られることになろう。
特殊指定との違いは2つある。1つは法的な強制力のあるなしだ。特殊指定は告示を守らなければならないが、再販制度は「定価販売していいよ」と認められているだけで、新聞社と販売店、出版社と取次(問屋)および書店の間で「定価販売しない」と取り決められたら構わない。
もう1つは特殊指定が公取委の告示取り消しだけで、つまり公取委の判断のみで取り消せるのに対して、再販制度は法改正をともなうため国会の審議が必要になる点だ。
なお特殊指定は新聞のみで、出版にはない。代わりに出版社が再販制度と「一体」とするのが委託販売制度である。定価売りを書店に義務づける代わりに、商品(書籍など)は原則として卸すのではなく貸すだけ(委託)となる。だから小売り(書店)は、在庫リスクを返品という形でメーカー(出版社)に負わせられる。そのリスクの見返りが出版における再販なのだ。
なぜこんな面倒な形態かというと、委託ゆえに全国の書店が零細出版社の本も置けるからだ。もし再販がなければ、新聞に比べて小規模経営が実に多い出版社の多くがアッという間に淘汰されよう。では大出版社は生き残れるかというと微妙で、通常の卸と小売りの関係になれば、雑誌・単行本合わせて3兆円弱という小さな市場である出版界は別の業界の大資本に駆逐されかねない。やろうと思えば「トヨタ出版」「パナソニック出版」以外の出版社はすべて消えてなくなるという可能性さえあるのだ。その意味で出版再販は文字文化や知る権利を守る役割があるといえよう。
なお、残るメディアのうちの放送ではNHKが特殊法人、民放は総務省の認可を得なければならない。新聞と出版は純然たる株式会社が大半なのに、これまでのような法律の保護がある。









