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坂東太郎のこれだけは知っておきたい高校生のニュース常識 【早稲田塾】

2055年

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国立社会保障・人口問題研究所の中位推計によると2055年、日本の総人口は8993万人にまで減っている。高齢化率は4割を超え、ほぼ2人に1人がお年寄りだ。生産年齢人口で割ると高齢者1人を支える人数が1.3人。介護が大変だといわれている今でさえ3.3人に1人だから、想像もつかない超超高齢社会だ。

「へー。そうなんだ。生きにくい世の中になるのだね」と高校生も他人事ではいられない。2055年の高齢者(65歳以上)は、1990年生まれぐらいより先の人々だ。つまり現在は「若い」人が高齢者に転じているわけだ。言い換えれば、支えられる側になっているかその寸前なのである。

同年の平均寿命は男性83.67歳で、女性は何と90.34歳。すなわち男性は1971~72年生まれ以降、女性は1964年~65年以降が2055年段階で生きている。戦後まもなくまで平均寿命は50代だった。まさに「人生50年」である。長寿そのものは好ましい現象だけれども、「人生50年」の倍近い人生を送るとなると、いわば1人で2度生きるに等しく、そのうち20~25年は高齢者として過ごす。日本は大丈夫だろうか。

国と地方の借金は2010年に862兆円。国内総生産の1.8倍程度で、先進国中最悪の水準だ。それでも目立った騒ぎになっていないのは、国債(借金)引き受け(買う)を、日本は1400兆円ある個人金融資産が直接・間接に行っているから。主な買い手は銀行や保険会社、年金。でもそれは形式的である。「銀行が買う」といってもその原資は個人の預貯金などだ。年金を滞りなく支払えるようにしている年金積立金管理運用独立行政法人が買っているとしても、その元は個々人が払っている。だから「国の借金は国民が買っている」と言い換えていい。

そのいい面は、外国に頼っていないので「借金返せ」と外国から責め立てられなくてすむ点。ところが問題は裏腹で、それがゆえに「国の借金は国民が買っている」と、国民自身がリアルに感じないまま増えているのであろう。

この「国の借金は国民が買っている」も安心とはいえなくなってきた。まず家計貯蓄率が急速に減少している。超高齢社会では当然の現象だ。給料が増えないのも痛い。何しろ好景気だったはずの02年から07年の「いざなぎ超え」景気の時さえ給与は下がっている。06年は年収200万円以下の人が1000万人を突破した。断っておくが、これは正社員の話である。もはや3人に1人がそうである非正規社員は、もっと悲惨なはずだ。今後は預貯金どころではない人と、それを取り崩す人が増えていく。

となると、このままでは近い将来借金ができなくなるだけでなく、利払いもできなくなる。そうなるとデフォルト(債務不履行)が現実味を帯びてくる。早ければ2020年にもその時が来ると予言する識者もいるほどだ。

そうなると、円資産は1946年の金融緊急措置令の時のように紙くずになるだろう。一刻も早く逃避せねば。かといって財政再建路線を取ると大重税社会がやってくる。「国の借金は国民が買っている」が維持できないとは、「国民が買っている国の借金を国民にお返しできなくなる」という話に近い。上記のような間接的仕組みで国民は国債を買っているので、それが返せないということは銀行に預けたお金が戻ってこないといった形で現れるかもしれない。大変な騒ぎになりそうだ。いくぶん似たケースで1946年の金融緊急措置令がある。歴史始まって以来というわけでもない。

こんな時に頼りになるはずの年金はどうか。厚生労働省は経済前提が過去10年の平均値で推移した場合、2031年に年金制度は破たんするとの試算を衆議院予算委員会に提出した。去年の話だ。さらにその先の2055年には制度があったとしても今のままでは難しそうだ。しかも年金は国債を買い支えている。そのデフォルトは年金財政へ直結しよう。

いや、それ以前に食べ物が作られなくなる。日常的に農業へ携わっている人は2009年に200万人を割った。しかもその6割以上が65歳以上の高齢者である。論理的には限りなくゼロになろう。対して新規就農者は年間7万人程度だから、15を掛けても100万人ちょっとで到底カバーできない。

国力はある意味人口と比例する。2050年の総人口は90億人を占める。2008年度の世界の人口で日本は10位。それが2050年になると今のワンツーの中国とインドはそのまま。アメリカも4億人の3位と粘り腰をみせる。では日本はどうか。何と20位に転落している。ちなみに4位以降はパキスタン、インドネシア、ナイジェリア、ブラジル、バングラデシュ、コンゴ民主共和国、エチオピアと続く。

これらは主に「ニュース検定」2010年テキストからの抜粋である。その2・3級テキスト56ページに恐ろしい記事があった。

ジンバブエという国がある。年率2億%というインフレに見舞われている。今日100円ショップで買った品が1年後には200億円になっているわけだ。理由は財政赤字で世界最悪。GDP比で218%である。そりゃひどいや。それで2位は? となると何と日本。デフレデフレと騒いでいる間に真に恐ろしいインフレが近づいているのかもしれない。

こうなると日本も移民を受け入れる政策をそろそろ真面目に考えるべきだろう。「日本に住む外国人」はすでに200万人を超えている。2050年の人口大国のうち、中国はすでに30%でトップだ。日系人を中心にブラジル人も3位。他にもEPA(経済連携協定)を結んだインドネシアなど候補国はいくらか浮かぶ。当然「日本は単一民族国家」などと誤った認識を持っている(この誤りはずっと前からそうである)のは論外。多文化共生へと国を開く必要が出てきそうだ。

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著者紹介

【坂東太郎】

毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師。 現在、日本ニュース時事能力検定協会監事を務める。 著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。 早稲田塾の「AO・推薦対策講座」および「論文作法」を担当。

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