くるくる代わる日本の首相
平成に入って22年。この間に日本の首相は15人も代わっている。
- 宇野宗佑
- 参議院議員選挙に敗北して辞任
- 海部俊樹
- 衆議院解散に踏み切れず辞任
- 宮澤喜一
- 衆議院議員総選挙で敗北。政権交代
- 細川護煕
- 政権内の混乱と疑惑で自発的辞任
- 羽田孜
- 総選挙に踏み切れず辞任
- 村山富市
- 連立パートナーの自民党トップに座を譲るような形で辞任
- 橋本龍太郎
- 参議院議員選挙に敗北して辞任
- 小渕恵三
- 病死
- 森喜朗
- 近くに迫った参議院議員選挙で戦えないの声も受けて、自民党総裁(トップ)選挙を前倒して辞任
- 小泉純一郎
- 総裁任期切れに合わせて退任
- 安倍晋三
- 参議院議員選挙で惨敗後、病気を理由に辞任
- 福田康夫
- 「次期総選挙で戦えない」の声も受けて辞任
- 麻生太郎
- 衆議院議員総選挙で敗北。政権交代
- 鳩山由紀夫
- 直近に迫った「参議院選挙で戦えない」の声も受けて辞任
- 菅直人
実はこの中で「妥当」と純粋に指摘できるのは、宮澤喜一、小渕恵三、小泉純一郎、麻生太郎の4氏にすぎない。
憲法は衆議院を政権選択選挙と価値づけている。したがってそこで敗北した宮澤氏と麻生氏は辞任するしかなかった。現にその後で細川護煕非自民連立政権と鳩山由紀夫政権の誕生という「政権交代」がなされている。
小渕恵三首相は在任中に病死されたので首相が「欠けた」状態となる。当然ながら次期首相選びとなろう。
小泉純一郎氏は首相を約5年務め、後を譲る形であった。戦後では吉田茂、佐藤栄作、中曽根康弘の各総理にしかみられなかった「十分にまっとうした」パターンだ。
他の首相はさまざまな理由だが、よく見てみると、衆参いずれかの選挙で「トップとして担げない」との党内の声に抗せなかった人が森喜朗、福田康夫、鳩山由紀夫の3氏あり、うち森、鳩山両氏は近づく参議院選挙がらみだった。また参議院選の敗北を引責した首相が宇野宗佑、橋本龍太郎の両氏。いったんは続投したものの、わずかな期間で退いた安倍晋三首相もそれに近い。
つまり平成の総理のうち「参議院」の選挙が原因と思われる退陣は5例もあるのだ。
「国会」は衆議院と参議院の二院で成立する。その片側である参議院の可能性や結果で総理が変わるというのは、一見して当然にも思われる。主要国の多くも二院制をとっている。だがそのうち上院(日本だと参議院)にあたる院の動向でトップ交代するシステムは、案外と見当たらない。各国の制度をみてみよう。
①「強い大統領制」を敷く国
アメリカとフランスが相当する。フランスは国民の直接選挙で、アメリカも複雑な仕組みながら、ほぼそれと同等の形で議会と関係なく任期をよほどでない限り務める。アメリカは二大政党制で強力な上下両院が存在するが、その選挙結果で大統領が辞任するケースはまずない。
②名誉職的な大統領がいる国
ドイツがそれに当たる。実際に権力を持つのは下院(日本の衆議院に当たる)だ。そこで多数を得た政党ないしは政党連合が、「首相」を大統領とは別途に置いて行政権のトップとなる。上院はあるにはあるものの、州代表がそれを担う。権限は下院に及ばず、その構成が首相のクビをどうこうする可能性はまずない。
③国王のいる国
主要国だと英連邦のイギリスとカナダが、2010年現在だとエリザベス2世を元首とする。イギリス自体は文章化した憲法を持たず、形式上の国王の権限は強い。しかしカナダともども実権は議会が掌握する。
イギリスの上院は長い間、爵位を持つなどの「上流階級」が務めてきたし、今も基本的にはそうである。しかし実権はほとんど持たず、「討論の府」としての意義がある程度だ。実際にはドイツと同じく、下院の選挙結果で行政府トップの首相が決まる。カナダには貴族はいない。では上院議員はどう選ばれるかというと、下院の過半数勢力が担ぐ首相が決める。よって上院の動向と首相の進退は関係ない。
なお日本は、天皇という国王に似た存在が憲法に規定されている。しかし憲法は、そのあり方を「象徴」として国政への権限を認めない点が、英国女王と異なる。形式的とはいえ、英国女王にはかなりの権限があるからだ。
なお現在は新興国ないしは途上国とされている国々をも検討してみると、韓国は「強い大統領制」に似通っている。BRICsのうちブラジルも「強い大統領制」。ロシアは微妙なところだが(プーチンという実力者の位置づけが難しい)、基本的には「強い大統領制」だろう。インドはアジアで一番民主的なシステムと呼ばれる場合もあるほどで、形式はドイツと近い。伝統ある下院が強く、上院の大半は間接選挙によるため実権を大して持たない。
中国は社会システムがこれまで紹介してきた国々と根本的に異なる。「中国共産党」という1つの党しかなく、この党のトップである「中央委員会総書記」の肩書きにある者が国のトップと国際的にみなされている。社会主義国なので同列に論じられないが、あえていえば一院制だ。
では日本と似た主要国はどこにあるのだろうか。一番の候補はイタリアである。国家元首の大統領は名誉職的存在で、実権を持つ議会は二院。しかも上院の権限が著しく劣るわけではない。
ただし選挙の運用に違いがある。日本の場合は衆議院議員の任期が4年、参議院議員が6年と異なっているために、両院が単独で選挙を行うのが通例だ。しかも衆議院には解散があり得る。さらにいえば参議院は3年ごとに半数を改選するため「衆参両議員全員が一斉に選挙される」事態があり得ない。
それに対してイタリアの場合は上院も下院も任期は同じ5年である。また選挙もだいたい同日になされる。似ているもののソックリとまではいかない。
どうしてそうした制度になったのだろうか。この続きは「再び『参議院』を考える」(http://www.wasedajuku.com/wasemaga/bando/2010/08/post_80.html)をご覧いただきたい。









