2008年6月29日 開催
特別公開授業
「医療の担い手をはぐくむ新薬学教育」
昭和大学 薬学部
木内 祐二教授
新宿校にて

- 木内 祐二教授(きうち・ゆうじ)
東京医科歯科大学医学部卒業。昭和大学大学院修了。パリ11大学神経薬理学教室留学。現在、昭和大学薬学部病態生理学教室教授。神経精神薬理での専門は「うつ病とモノアミントランスポーターの分子薬理学」、臨床神経薬理では「各種精神疾患の発症関連因子と薬物反応性関連因子の検索」。今夏から早稲田塾と取り組む「スーパー臨床薬学ワークショップ」がスタートする。
いま、薬学が大きく変わろうとしている
木内教授は「精神疾患の薬の開発」に携わるようになったご自身の経歴を交えながら、薬学とは何かを話し出された。
医学部、歯学部、保健医療学部、社会福祉学部などの学問・学系から薬学部のポジショニングを示し、「6年制の薬学部は薬を専門とする医療の担い手を育成するところだ」と説かれた。医療人の使命は「知識=知っている」、「技能=できる」、「態度=する」のバランスを取ること。「これまでは知識、技能偏重に陥りがちだったが、態度が重要。患者さんの命、人生に深く関わる、最期を看取るという態度も、6年間で学習します」
「薬学部の卒業生が患者さんに貢献するためには、病気、薬の作用と蓄積、患者さんの思い、患者さんの状態、薬の最新情報を知って、根拠のある薬を選択することです。安全な薬を安心して、できれば負担なく使いたい、チーム医療で質の高い医療を受けたい、在宅で治療したい、治らない病気の治療薬をつくってほしい等々、患者さんや社会にはさまざまなニーズがあるのです」
薬学部が6年制になるにあたっての新カリキュラムには、①医・歯・薬学部に共通のコンセプトで日本の新しい医療人を育成する②全大学のカリキュラムの7割を統一し、全国の医療水準を向上させる③医療の現場に則した学習を重視する④薬局での調剤や病院でのチーム医療に携わるなど、実務医療実習を充実させる⑤従来からの国家試験に加え、知識と技能・態度を評価する全国共用試験を臨床実習前に行うことで、総合的に薬剤師の能力を評価する……といった様々な工夫が盛り込まれている。
さらに、新カリキュラムでは何を学べるのか、昭和大学では学年ごとに何を学習するのか、6年制になると、薬局の業務がどのように変わるのかなど、話題は深く掘り下げられていく。
そして、いよいよ早稲田塾との「スーパー臨床薬学ワークショップ」の話になった。ワークショップは3日間。「塩酸イリノテカン」と呼ばれる国際的に用いられている抗がん剤を題材にしながら、3人1組のチームを組んで①塩酸イリノテカンの化学的性質を理解する②薬物の生体への作用を検証する③患者の適切な薬物治療などを研究した上で、医療の現場で実際に塩酸イリノテカンを用いる臨床薬剤師や医師、看護師の方々にインタビューするなど、薬学部での教育を先取りするような3日間となる。さらに17年間の研究によって塩酸イリノテカンを開発された、宮坂貞昭和大学名誉教授による特別講義も予定されている。
最後に昭和大学での実際の勉強や研究の様子、実社会で活躍している卒業生たちの働きがVTRで紹介された。薬学とは何か、6年制で何が変わるのか、昭和大学薬学部とはどのようなところか、早稲田塾との「スーパー臨床薬学ワークショップ」では何をやるのかを広く、深く知った2時間だった。




