2008年7月13日 開催
特別公開授業
「あなたの知らない 生命薬学 バイオの世界」
東京理科大学 薬学部 生命創薬科学科
深井文雄 教授
早稲田塾新宿校にて

- 深井文雄 教授(ふかいふみお)
東京理科大学理学部応用化学科卒業。同大学理学研究科修士課程修了。理学博士。専攻は分子病態学。接着分子学、腫瘍細胞生物学を研究分野としている。著書に「生命薬学シリーズ 『病態生理・生化学』Ⅱ ‘肝疾患’」「Vascular Biologyナビゲーター」など。
薬学が目指すもの
深井教授は、「東京理科大学薬学部では、“医薬分子をとおして人間の健康を守る”志をもった医療人と創薬人を育成することを基本理念とし、薬学科において、“ヒューマニズムと研究心にあふれた高度な薬剤師(医療人)の養成”、生命創薬科学科において、“先端創薬科学を担う研究者(創薬人)の育成”を目指しています。」と話し始めた。
会場に訪れた塾生、及び保護者は真剣にメモを取りながら聞き入る。
薬学とはどういう学問か、また、理科大の薬学部ではどういうことを目指し、実際どのような研究が行われているのか。深井教授はひとつひとつ丁寧に話を進める。
高齢化社会が到来し、患者さんの構成は変化してきた。医療も高度化し、その状況に対応する医療チームも変わってきている。薬が発達し、チーム医療の中での薬学(薬)の占める領域が非常に大きくなってきた。ますます責任も深くなり、薬学の貢献が期待されている……と、医療における薬学の重要性について話された。
生命創薬科学科の学生は、1・2年次は薬学科と共に医療・創薬に共通する基礎科目の講義・実習を履修。3年次より創薬を指向した専門的な講義・実習に入り、4年次は卒業研究に打ち込む。
「大学における研究は、学生が中心に研究しているんです。理科大は卒業論文を大変重視しており、4年生はその先端研究に没頭してもらっています。つまり、薬学研究の主たる役割を担うのは皆さんなのです。」と強調。生命創薬科学科の大半は大学院に進学する。
「薬と一言に言っても、対象となる疾患を決めて、実際に薬が売られるまでおよそ10年から15年かかり、しかも数百億円というお金がかかる。そして生化学、ゲノム科学、分子生物学、病態学、有機合成化学、物理化学など、薬の開発に関わる学問はこれだけ多く、分野は広い。言い方を変えれば、薬学部ではこれだけのことが学べるということです。」と薬学の魅力を話す。
深井教授は細胞接着分子についての研究を進めている。映像を交えながら、丁寧にご自身の研究内容について説明をしてくださった。
「細胞は組織に接着していないとその機能を発揮することができません。細胞の接着をコントロールすることによって、細胞の色々な働きをコントロールすることができます。私達は、細胞の接着を強めたり弱めたりする因子を世界で初めて見つけました。この因子を使うことによって、接着が関連する様々な病気をコントロールできます。」
深井教授らの研究によって、癌細胞の接着を弱くすると抗がん剤の効果が飛躍的に高くなることが判っている。また、この作用を応用して、再発が多い白血病の根絶治療が可能であると深井教授は言う。「もう一つの因子で接着を強くすると、細胞の中に寄生している細菌を殺傷できることも判りました。結核症等の細菌感染症の治療への応用を考えています。」と研究への情熱をまっすぐ生徒たちに向ける。
「薬剤師を目指し、臨床の場で活躍することも大切です。ですが、創薬には薬を創り出すことで、多くの患者さんに福音をもたらすことができるという、大きな夢があります。非常にエキサイティングです。」と深井教授は語る。
この夏、早稲田塾×東京理科大学薬学部の塾大連携プログラム 「スーパー創薬科学ワークショップ」が開催される。約50万㎡の広大な敷地を誇る東京理科大学野田キャンパス。このリサーチパークという最高の教育研究環境のもと、3日間の合宿形式で最先端の生命薬学研究に触れ、 現役高校生が実際に創薬にもチャレンジする。
「2泊3日、泊まり込みで一緒に創薬科学研究の実体験をしましょう。鎮痛薬を実際に作ってみようと思います。興味がある人はぜひチャレンジしてください。」と塾生にエールを送る。
深井教授のもとに学ぶ、未来の創薬科学の研究者の誕生が待ち遠しい。











