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イベントレポートタイトル

2008年7月13日 開催

特別公開授業

「国境を越えた人材獲得競争 ~世界を変える大学を目指して~」

立命館アジア太平洋大学 アジア太平洋マネジメント学部
横山研治 教授
早稲田塾表参道校にて

「国境を越えた人材獲得競争 ~世界を変える大学を目指して~」

横山研治 教授(よこやまけんじ)

早稲田大学政治経済学部卒。博士(経営学)。立命館アジア太平洋大学アジア太平洋マネジメント学部教授。著書に『航空運送における定型取引条件の実証的研究』(単著、久留米大学比較文化研究所、1991、貿易奨励会奨励賞受賞)、『我国で使用されるトレードタームズの動向調査』(共著、日本大学産業経営研究所、1997、貿易奨励会奨励賞受賞)、『航空運送と貿易システム』(単著、同文舘、2000、日本貿易学会奨励賞受賞)等。現在の専門分野は国際取引慣習、制度論。

multicuturalismの中で学ぶということ

APU卒業生のネパール出身のゲストスピーカーのスピーチからスタートした今回の特別公開授業。彼女は緊張しながらも、笑顔でゆっくりと流暢な英語で自らの体験談を話す。聞き取ろうとする参加者も必死だ。

APUは2008年4月現在、81の国と地域から約2,600名の国際学生と、約3,200名の国内学生が学ぶ多文化キャンパスを創り上げている。
そのキャンパスについて、彼女は“I feel that APU is a small planet where people are in harmony with each other. It's a very beautiful world.”と表現。ネパールという小さな世界から飛び出して81ヶ国の人が集まる多文化の中で経験したことが、彼女に「私の人生の目標は、多様性の中で一人の人間として成長していくことです」ときっぱりと言わせる。

横山教授は、国際学生が学ぶ場所の特徴と、国内学生がどのように暮らしているかということについて、多くの学生の例を挙げながら話を進める。

14~15カ国語を操るアフリカからの留学生。tea bag を捨てたと怒るドイツ出身の学生。兵役を経験し「自分は少なくとも愛する祖国のため、愛する人のため、今は死ぬことができる」と語る韓国の学生。インドネシアの学生がラマダンに入り宗教に帰依する姿。提携している小学校・中学校で平和学習がある度に、自分の村が襲われて家族を亡くした経験を語るカンボジアからの学生。スーパーのチラシの印刷技術に感動したケニアからの学生などについて、教授は少しも端折ることなく学生について語り、「いくつかの国では私たちが想像しないような常識がある。そしてそれはその環境の中にいなければなかなか知ることができないのです」と話す。

「日常的に寝食をともにして、問題点を共有して、場合によっては口論をして、場合によってはけんかをして、場合によっては非常に仲良くなる機会を持ったりして濃密な関係の中で暮らさないとわからないことがたくさんあるのです」と教授は強調する。

政界・財界から大きな期待を寄せられているAPUだが、教授はこのことについて、「国際的な環境を持たないと、今後世界の中でごく普通に世界をフィールドにして働いたり、勉強を続けたりすることはできない。いろんなものの見方、いろんな人の中でもまれているからこそ自信が持てる。そしてこの色々なものの見方といのは、一朝一夕では身につかないということです。理屈でわかっていてもそれが身体の中の筋肉になり、自然に身につかなければ、実際それが使えるということにはならないのです。だからこそ、若いときに学ぶ意味がある」と言葉を続ける。「APUの学生はごく普通に、常識的に国際的なレベルの中で考えています。ものの見方、考え方がまるで違うのです」と説明する。


今後の人材育成の目的のひとつとして教授が考えているのは「情」の問題である。
「いくら知識を身につけて、ものの見方を身につけても、それだけでは実は人のために知識を使おうとはなかなか思わないのです。知識の分野というのがひとつのエンジンだとすると、エンジンをを動かすためのエネルギーが必要になってくる。パッションと言ってもいい。このエネルギーというのは、やはり「情」にあたる言葉ですが、情というのは人を愛する気持ち、ものを大切にする気持ちのことです。情の分野と頭を司る知能の知識の分野が同じ両輪にならないと、せっかく身につけた知識を人のために使おうとは思わない。
日本の大学ではかつて、気持ちで学生に接して気持ちを伝えるようなことはなかった。教員も人を愛することを教えていく。気持ちを教えていくのです。」

APUの1年生は全員寮で暮らす。互いに本当にケンカする例もある。しかし、そうすることで、肌の色が違う人が自然に違和感がなくなって、家族みたいな関係が生まれてくるのだと教授は言う。「多文化の中で、気持ちが情につながっていくからこそ、将来世界を変えよう、知識は人のために、世界のために変えようという力になる。だからこそ、濃密な人間関係を作って欲しい。その中で自然にできるものだから。」

学生を温かい目で見守る横山教授の言葉には、APUに集うたくさんの真の国際人の想いが詰まっていた。

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