2008年11月16日・12月14日 開催
特別公開授業
「経済学入門ワークショップ」
慶應義塾大学 グローバルセキュリティ研究所 所長
竹中平蔵 教授
早稲田塾秋葉原校にて

- 竹中平蔵 教授(たけなかへいぞう)
一橋大学経済学部卒業。ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学総合政策部教授などを経て、1998年に「経済戦略会議」メンバーに就任。その後小泉首相時代には経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、総務大臣、郵政民営化担当大臣などを歴任する。退任後、2006年より現職。
竹中平蔵教授に親子で学ぶ2日間
11月16日(日)と12月14日(日)の2日間にわたって開講される、親子で経済について考えるワークショップ。担当するのは経済学の第一人者であり、小泉内閣では経済財政政策担当大臣や金融担当大臣を務めた竹中平蔵・慶應義塾大学教授。親子一緒でなければ参加できないという今回のワークショップだが、先生の講義を聞こうと、高校生とその親が詰め掛けた。教室内が期待と熱気に高まる中、教授が登場。まず“経済学”という言葉のもつ意味について解説が始まった。
「“エコノミクス”の語源はギリシャ語の“オイコスノモス(意味:共同体の在り方)”。世の中の在り方をどうしたらいいか? と考えることは、人生そのものを考えることでもあります。元来経済学とは、親も子も一緒になって考えなくてはいけない問題なのです」
そこで参加者に、「CDとDVDの大きさが違うのはなぜだと思うか」という質問が投げかけられた。30秒間の時間が与えられ、親子同士で話し合い、結論を発表する。
「同じ大きさだと、どちらがCDでどちらがDVDか分からなくなるから」
「小売業者が、DVDを、今までのVHSと同じ棚に置けるように」
様々な意見が挙げられ、竹中教授はどれも当たっている可能性があると指摘する。このように、世の中に興味をもつことが、経済学への入口だ。そして、経済には絶対的な答えはない。だからこそ自ら学ぶ姿勢をもち、仲間や両親、自分(竹中平蔵教授)とも、対等に議論してほしいとの教授の熱い言葉に、うなずく参加者たち。
ほかにも様々な質問が教授から投げかけられ、そのたびに、親子で真剣に話し合う姿が見られた。
後半では経済の専門的な話が次々と飛び出す。一人当たりのGNPが世界18位に落ち込んでいる一方、CO2の排出量がとても少なくエネルギー効率がいい日本人は、地球レベルの環境問題に役立てる……など、世界から見た日本経済の話に進んでいく。
そして、竹中教授は経済学者を志したきっかけについて語った。
大蔵省官僚・下村治。周囲の反対の中、冷静に日本の経済成長を予見し、池田内閣の「所得倍増計画」に影響を与えた人物である。彼に対する憧れが、経済学者・竹中平蔵の原点だという。
「最後は、人が命。すべては私たち一人ひとりのやる気の問題です。“何がやりたいか”が一番強いんです」
次回の講義に向けて、CDとDVDの大きさの違いの理由のような、「なぜ?」と思えるようなクイズを作成すること、3年後に消費税を増税することに賛成かどうか、意見を用意してくること、という宿題が参加者達に出された。
<2日目もディスカッションは白熱>
「家族の復権」をテーマに、竹中平蔵教授に親子で学ぶ「経済学入門ワークショップ」の第2回目。 前回にひき続き今回も、多くの塾生とその保護者が会場に集まった。
教授はまず、現在世界中で起きている不況や、サブプライム・ローンのメカニズムについて解説を始める。
安易に状況把握をするだけでなく、「なぜそうなったのか?」考える訓練をして欲しい、と語る教授の言葉に、深く聞き入る参加者たち。
保護者からも教授への鋭い質問が飛び交う中、前回の講義で出された宿題について発表する時間がやってきた。まずはひとつめの宿題「日常の中で、なぜ?と思うような疑問を見つけ、それに対する答えも考えてくること」から。
「このデジタル社会で時計がいまだにアナログが愛されているのは、針の開きで時間を捉えるクセがついているから」
「日本が左車線なのは、侍が左に刀を差していたときの名残だから」
など、教授も思わず納得してしまう疑問と回答が発表された。 前回の講義のあと、家庭で存分に話し合ったことが伺える。
そして、もう一つの宿題「消費税を上げることに賛成か反対か」の発表へ。 賛成派、反対派それぞれにグループ分けされ、代表者が意見を述べる。
[賛成派]
将来、年金がもらえるかどうか不安があるので、今のうちに確保するべきでは? その際、全員に平等な消費税を上げるべきだ。
[反対派]
弱者が生活必需品を買えなくなってしまう恐れがあるので、一律で上げることに疑問を覚える。 贅沢品や所得税を上げるなど、やり方を考えるべきでは。
どちらの意見も、親子で話し合ってきただけに、的確な意見のように思われる。
しかし教授からはプレゼン内容に対して鋭い反論がされ、さらにそれに対しての反論が参加者から重ねられる。 ディスカッションされるうちに、どんどんと意見が凝縮され、深くなっていく。
「考えなくてはいけない要素はたくさんある。経済とは、こんな多様な考え方ができると知って欲しい」と教授。
最後に、経営学者ピーター・F・ドラッカーの「すべての資源は枯渇する。しかし枯渇しない唯一の資源がある。それは人間の能力である」という言葉をもって、ワークショップは締めくくられた。
「世の中の在り方そのものを考える経済学を、親子で議論してほしい」という教授の願いのもと、開催された今回のワークショップ。
教授と生徒、そして親の間でさかんに交わされたディスカッションから、自発的に学び考えることの大切さと、その楽しさを知ることができた。
受講証を教授から手渡された代表者の笑顔からも、充実した2日間だったことが伺えた。










