2009年3月1日 開催
特別公開授業
「バブル経済とは何か ~バブルと金融危機~」くらしと経済シリーズ2009
慶應義塾大学 経済学部
櫻川昌哉 教授
早稲田塾 秋葉原校にて

- 櫻川昌哉 教授(さくらがわまさや)
1959年福井県生まれ。
専門:マクロ経済学・金融
略歴:
早稲田大学政治経済学部卒。大阪大学大学院経済学研究科博士課程単位取得中退。経済学博士。大阪大学助手、名古屋市立大学講師、助教授、教授を経て、2003年より慶應義塾大学経済学部教授。2008年10月からグローバルセキュリティ研究所副所長を兼任。著書:
『金融危機の経済分析』(東京大学出版会)、『金融立国試論』(光文社)など
“バブル”って何だ?
「今日はバブルの話をしていきます。バブルというのは最近よく言われますね。“バブル”って一口に言うけど、いろんなバブルがあるんです」と、軽快に講義を始めてくださったのは、大学のゼミ生からも「説明が端的、かつ論理的でわかりやすい」と評判の慶應義塾大学経済学部、櫻川昌哉教授。参加した塾生も一気に講義に釘付けになる。
バブルとは何か?
文字通り(bubble)、泡のことである。見かけ上はあるが、実態のないものだ。しかし、実態のないものが、なぜ私たちに影響を与えるのだろうか?
「実は皆さん、バブルにお世話になっています。それは何かというと、お金です」
櫻川教授は、貨幣はバブルであると解説する。「1万円札は、所詮ただの紙切れ。ティッシュペーパーにも、ハンカチにも使えない。でも、1万円札を出せば、1万円分ほしいと思ったものが買える。それを使えば、売ったり買ったりすることができる手段。それが貨幣です」
教授は「信じるものは救われる」と話を進める。
世界は100年に一度と言われる金融危機を迎えている。現在の各国の貨幣の価値について具体的に解説しながら、今、日本において1万円札がただの紙切れ(それ自体には価値がないもの)だと知りつつ1万円の価値として成立するのは、「実は、みんなが“国家=日本”というものを漠然と信用していて、価値があると思っているから、1万円札も1万円として機能するし、みんな信じて使っているんです。それが、貨幣であり、バブルです。」と言う。
貨幣がなければ、物々交換で流通が行われる(かもしれない)。しかしこれは、取引の際に「欲望の二重の一致(交換する両者の欲求が一致)」がなければ成立しない。現在も、ハイパーインフレーション(異常な物価高騰)により、貨幣そのものの価値が下がり、誰も貨幣を信用せず、経済体制が崩壊している国があるという。
「バブルは実態の経済を支える土台。それは、私たちの期待と信頼があって成立する。これが壊れると、実態経済がおかしくなることもあるんです。」
また、“いいバブル”と“悪いバブル”についても言及。金融危機を引き起こす住宅価格バブルや、地価バブルは後者だ。20年前のかつての日本も、地価がどんどん高騰した。もっと価値が上がるに違いないと期待を形成し、金融機関もどんどんお金を貸した。そして、クラッシュ。不良債権問題という大きな陰を落とし、金融危機、そして経済危機へと陥った。
貨幣(=バブル)の価値を決める人々の(価値があるという)期待、それを支える国家の権威、そしてそのもろさ……。
貨幣=バブルについて、その価値、考え方などを、歴史を紐解き、現在の世界の経済情勢を例に挙げながら、常に、受講生に疑問を投げかけ、問題意識を喚起させながら解説してくださった櫻川教授。
「なるほど、お金(バブル)ってそういうことだったのか!」
ニュースで耳にする、インフレやデフレ、金融の量的緩和政策といった経済用語から、サブプライムローン問題が引き金となった現在の金融危機まで。「今、日本や世界で何が起きているか?」 ということに合点がいく、充実の2時間となった。











