2011年2月27日 開催
特別公開授業
「経済を動かす単純な原理」くらしと経済シリーズ2011
慶應義塾大学 経済学部
櫻川 昌哉 教授
早稲田塾 秋葉原校にて

- 櫻川 昌哉 教授(さくらがわ・まさや)
1959年福井県生まれ。
専門:マクロ経済学・金融
略歴:早稲田大学政治経済学部卒。
大阪大学大学院経済学研究科博士課程単位取得中退。経済学博士。
大阪大学助手、名古屋市立大学講師、助教授、教授を経て、2003年より慶應義塾大学経済学部教授。2008年10月からグローバルセキュリティ研究所副所長を兼任。著書:『金融危機の経済分析』(東京大学出版会)
『金融立国試論』(光文社)など
貨幣の価値とは何か
「1万円札はなぜ1万円の価値をもつのか」。櫻川教授は、財布から取り出した紙幣を片手に説明する。ただの紙切れに過ぎない1万円が、1万円相当の商品と交換してもらえる。それは日銀(国家)が発行し、みんなが国家というものを漠然と信じているからだ。その意味で貨幣とはバブル(泡)である。国家が転覆したら、貨幣の価値はなくなる。そしてバブル(貨幣)の価値を決めるのは、将来の期待である。1万円札が将来にも1万円の価値を持つと、みんなが信じるから通用する。
バブルには良いバブルと悪いバブルがある。日々の経済活動がスムーズに機能していれば、その国の貨幣は良いバブルである。反対に貨幣バブルが崩壊すれば、貨幣価値が急激に下落し、異常な物価騰貴を引き起こす。今の日本はデフレ不況下にあるといわれる。デフレは貨幣への信頼が厚い証拠。しかし、それが行き過ぎると、だれもが商品より貨幣を持ちたがり、お金が回転しなくなる。教授は「物事は中庸がいいようです」と説いた。
貨幣が流通する根拠は、ひとえに国家に対する信用である。世界各国はそれに基づいて、それぞれの通貨を発行している。しかし、現在のような体制になったのは、比較的最近のことである。教授は「貨幣はかつてバブルでなかった」として、金本位制(信用の根拠は金)、金・ドル本体制の時代があったことを紹介。1971年のドルショックで、ドルと金の交換が停止され、国際通貨が金の裏づけを持たない時代に入った経過を述べた。
貿易の決済にどの通貨が使われるかは、各国の力関係で決まる。世界経済に占める日本のシェアは大きいのに、円建て輸出の比率は低い。教授は、日本が円を国際通貨に育てる努力を怠ってきたと指摘。円が国際通貨になれば、貿易・金融取引面でメリットがあり、日本の国債を外国が買ってくれるだろう、と述べた。
「金融」という視点から、日本で、そして世界で、何が起きているのか、深く知ることのできた2時間となった。











