2011年3月6日 開催
特別公開授業
「TPPと日本経済」くらしと経済シリーズ2011
早稲田大学 大学院 アジア太平洋研究科
浦田 秀次郎 教授
早稲田塾秋葉原校にて

- 浦田 秀次郎 教授(うらた・しゅうじろう)
1950年埼玉県生まれ
専門:国債経済学・経済発展論
略歴:慶應義塾大学経済学部卒
スタンフォード大学経済学部大学院修士号取得
スタンフォード大学経済学部大学院博士号取得
ブルッキングズ研究所研究員、世界銀行エコノミスト、
早稲田大学社会科学部専任講師、助教授、教授を経て、
2005年より、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授
現在も、世界銀行コンサルタント、中小企業政策審議会専門委員を兼任
著書:「フェアトレード」(共著、2007年、日本経済新聞社)
「FTAガイドブック2007」(共著編、2007年、日本貿易振興会)など
国際社会における日本の役割を探る
アメリカのシンクタンク・ブルッキングス研究所や世界銀行など、長年にわたり国際社会の場で活躍し続けた経済学のエキスパート、早稲田大学大学院の浦田教授。メディアで頻繁に取り上げられている、TPP(環太平洋経済連携協定)について説明を始めた。
TPPは、2006年にシンガポールなど4か国が、関税を原則100%撤廃することを目指して発効した。2008年、大国の米国が参加を表明、豪州など4か国もこれに続き、現在9か国で交渉が進行中だ。日本の菅首相は昨秋、横浜で開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議で「TPP加盟交渉に参加したい」と発言。関税撤廃の是非をめぐり、国内で激しい論争が巻き起こっている。
浦田教授は「私は日本のTPP加盟推進派です」と自らの立場を鮮明にしたうえで、アジア太平洋地域の最近の経済動向について述べた。
この地域では、最近の20年間に二国間でFTA(自由貿易協定)を結ぶ動きが活発になった。日本も2002年の対シンガポールをはじめ、各国と次々に協定を結んでいる。
教授は次に、現在21の国と地域が加盟しているAPECが世界に占める比重について述べた。加盟国の総人口は世界総人口の40%、総GDP(国内総生産)は世界の50%強に達する。APECは自由で開かれた貿易・投資地域を実現する手段として、個々の国に自発性・自主性に基づく計画を求めてきた。しかし、近年このような非拘束的計画によって自由化を推進することは難しくなってきた。
それならば、もっと拘束性の強い協定を結ぼうという動きが強まってきた。アジア太平洋地域でFTAが急増し、一方でTPP拡大交渉が始まったのも、この流れに沿ったものだ。日本にとって、米国や中国などの大国とFTAを結べるかが今後の課題だ、と教授は言う。
TPPに加盟すると、競争力に乏しい日本の農業は壊滅するのではないか。質疑応答の場面で、塾生から質問が向けられる。教授は「農産物自由化は、10年かけて段階的に進めることが認められている。自由化で被害を受ける人には、所得補てんや転業支援をすべきだ。TPPは世界の新しい貿易ルール作りにつながる可能性がある。日本は参加しなければ、将来、不利をこうむる」と述べた。
まさにいま、国際社会で起きている課題と、その解決策を学ぶ大学院レベルの授業に、参加者たちは、集中して聞き入っている様子が伺えた。











