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Good Professor

坂井 俊樹

坂井 俊樹 教授
東京学芸大学
教育学部

坂井 俊樹(さかい・としき)
1951年11月2日、東京都生まれ。埼玉大学教育学部小学校教員養成課程を卒業後、東京学芸大学大学院教育学研究科社会科教育専攻修士課程修了。東京学芸大学教育学部専任講師をへて、90年より助教授。その後教授となり、現在にいたる。

歴史教科書問題との出会い

研究棟。教授陣の研究室が入る建物。学生がひっきりなしに先生方の部屋を訪ねていた。学芸大はまじめな学生が多いという話もうなずける。
研究棟。教授陣の研究室が入る建物。学生がひっきりなしに先生方の部屋を訪ねていた。学芸大はまじめな学生が多いという話もうなずける。

歴史教科書問題などで識者として発言を求められることの多い坂井教授は、「人権教育」という講義を担当している。

「『橋のない川』などのビデオを観たりしながら、部落差別や在日朝鮮人の問題、あるいはハンセン病問題などを学校でどのように教えるべきかを講義しています」

先生の専門は、社会科教育と歴史教育論。社会科で最も難しい問題の一つが、元々の研究テーマだったという。そして1990年、先生の関心はさらに難しい問題へと向かう。日韓中国の歴史教科書問題である。知人からの誘いをきっかけに、日韓共同教科書研究会の中心メンバーとなったのだ。そうした研究を始めるバックグラウンドについて、先生は次のように語る。

「学生時代ですが、一度、在日韓国人に殴られそうになったことがありました。私自身は、何の関係もないのにです。理由は、私が日本人だからというのです。幼いときには在日韓国人の友だちもいて、仲もよかったんです。それだけに何でそんなことになったんだ、という思いがありました。そんなこともあって、在日朝鮮韓国問題について大学で勉強するようになりました」

その後、先生は中学の教員として働きはじめる。だが、ここでも在日韓国人について考えることがあったという。 「クラスに在日韓国人の学生がいまして、イジメなどの問題を考えさせられることがありました。でも、私はその子に何もしてあげられませんでした。そこに教師としての反省があります」

相手国の歴史的背景を踏まえた教科書論議を

西門けやき通り。キャンパスから西門に続く道はけやきが立ち並ぶ。少し遅めの紅葉が楽しめた。
西門けやき通り。キャンパスから西門に続く道はけやきが立ち並ぶ。少し遅めの紅葉が楽しめた。

その後、先生は中学の教員として働きはじめる。だが、ここでも在日韓国人について考えることがあったという。

「クラスに在日韓国人の学生がいまして、イジメなどの問題を考えさせられることがありました。でも、私はその子に何もしてあげられませんでした。そこに教師としての反省があります」

個人レベル・市民レベルの交流こそが道を拓く

相手の立場を配慮しない態度や韓国・朝鮮人への蔑視、それに伴う事実誤認が問題をさらに深刻なものにしてしまう。2001年11月に先生が出席した「歴史教科書の国際シンポジウム」でも、今回の教科書問題が日本からの経済援助を目当てに韓国や中国が起こしたものだと発言する研究者もいた。そうした意見に対して、先生は重大な事実誤認があることを指摘したという。

残念ながら、いまの日本の状況では、こうしたアジア蔑視による事実誤認に基づく議論は珍しい話ではない。それでも今回の歴史教科書問題では、解決に通じる希望が見えたと先生は話してくれた。それは、市民レベルでの日本人と韓国人の交流だ。
「個人個人に信頼関係ができれば、日本人だから、韓国人だからという狭い国家意識も薄まってきますから」

確かに以前より韓国と日本の距離は近くなった。航空運賃が安いこともあり、ここ1~2年ほど韓国への海外旅行はブームとなっている。韓国では日本語を教える人材が不足し、日本語教師養成の特別研修が2001年11月より日本で行われている。互いに理解しあえる環境が、少しずつ整いつつあるのかもしれない。

「相手の立場に立って考えるということは、裏を返すということです。教科書だって何だって絶対なんて思ってはいけません。つまり自分自身で考えて、どういう判断を下すのかが問われてきます。そのときに学問が重要になってきます。学問を尊重し、判断力を高めていく。自分たちの力を高めていく。それこそ大学で人文系の学問を学ぶ意味だと思います」

さて、皆さんは相手の立場に立って考えることができますか?

こんな生徒に来てほしい

「学問は積み上げていくものですから、地道に勉強してくれる学生ですかね。あと、柔らかい頭を持った学生は、どんどん 伸びていきます。いろんな物事を、いろんな角度から考えるトレーニングが重要でしょう」

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