- 坂田 周一 教授
- 立教大学
大学院 コミニュティー福祉学研究科 坂田 周一(さかだ・しゅういち)
1950年熊本県生まれ。73年、立正大学文学部研究科(社会学専攻)博士課程単位取得退学。91年、ワシントン大学社会福祉大学院客員教授。93年、駒沢大学文学部社会学科教授。98年より現職。主な著作には『社会福祉計画』(共著・有斐閣)、『社会福祉政策』(有斐閣)など。
1年次から少人数によるゼミ教育

- 立大新座キャンパス5号館。この中にコミュニティ福祉学部および同学部研究科校舎がある。
立教大学のコミニュティ福祉学部(単科学部)は、4年前の98年に開設されたばかりの新しい学部だ。
「少子・高齢化の時代を迎え、人口構成が変化して福祉をめぐる状況、抱える課題は大きく変わってきています。そこで社会福祉という狭い枠にとらわれないで、従来からの福祉サービス・援助の研究に加え、臨床的な心理援助ですとか、人間のあり方について、宗教などの観点からも幅広く研究していく目的で開設されたのが、コミュニティ福祉学科です」
同学部教授の坂田周一先生は、この学部の開設の目的をそう語る。
コミュニティ福祉学部には二つのコースが用意されている。「コミュニティ福祉学(福祉マネジメント)コース」と「コミュニティ人間学(福祉コミニュケーション)コース」の二つ。前者では社会福祉援助の方法やそれに必要なマネジメントの実際を学び、後者では臨床心理学やカウンセリング・宗教人間学など具体的な援助技法の習得を目的としている。
この学部には、二つの大きな特徴がある。まず年次を前期・後期に分けたセメスター制(半期間構成)を採用していることで、学生は多数の講義科目を履修できる。さらに1年次から少人数によるゼミを開講し、きめ細かな指導教育が行われていることだ。
卒業後の進路は福祉の現場に出て働く人が大半だが、ほかに自治体などの役所や一般企業へ就職するケースもある。特に最近は、一般企業のこの分野への関心が高く、二一ズも大きいといわれる。また、この学部を卒業すると、いま大人気の社会福祉士・精神保健福祉士の受験資格と社会福祉主事の任用資格が得られる。
社会福祉の両輪は、援助の実践と政

- 学生に囲まれた先生。研究室内でしゃぶしゃぶや湯豆腐が食べられるのも坂田ゼミならでは。
て、学部開設のときから教鞭を執っている坂田先生は、「福祉政策」と「福祉計画研究」が専門である。
「社会福祉は、各施設で行われる援助の実践と、どのような援助を行っていくかという政策・計画という二つの両輪から成り立っています。私が研究しているのは、その政策・計画の領域です。具体的には全国の自治体や施設の福祉計画の資料・統計データの収集、また実際の施設に出かけて行う調査もあります。そうして集めた資料やデータを比較・検討・分析するのが、主な研究内容になります」
こうした検討・分析によって、①施設によって援助の内容に差が出ないようにすること、②すべての施設でより高度な援助ができる体制をつくること、③さらに施設や自治体が個々に行っていることをトータルで捉え、全体のシステムとしてどうあるべきかを考える――などが、坂田先生の研究の主軸である。
福祉の間口は広い「入って失敗だった」とは言わせない

- ゼミの学生と沖縄旅行に行った時のビーチスナップ。坂田先生の黒のウェストバックがキュート!
では、坂田ゼミではどんな講義が行われているのか。
「ゼミの大きなテーマは福祉政策ですね。学生には社会が大きく変動する中で、いま福祉に何が求められているのかを考えなさいと言っています。現在、保険や年金など制度の網の目から漏れている人が増えています。従来の社会保障の仕組みが根本から崩れてきているわけです。制度そのものを変えていく時期なのだろうとも思います。ですから、学生も目の前の問題ばかりでなくて、さらに背景にあるより大きな問題を見つめる必要がありますね」
ゼミでは、坂田先生が年間の統一研究テーマを設定され、学生はそれに沿って各自が個別のテーマを決めて一年間研究して公表するスタイルをとっている。
「今年度は、“環境問題”を大テーマに選びました。個別の研究テーマは学生の主体性に任せて、自分で興味のある問題に取り組むようにさせています。なかにはテーマから外れた研究をする学生もいますが、多少違ってもまじめに取り組んで存在感が示せるようなものであれば、認めるようにしています。今年度は、“マーケッティングリサーチ”を研究テーマにした学生もいますよ(笑〉」
また、最近の学生の中には、学部の内容についてよくわからないまま入ってくる人、あるいは中途で福祉の勉強は自分には合わないと気づく人など少なからずいるという。 「福祉政策の勉強というのは非常に間口が広いですからね。そういう学生とはじっくり時間をかけて話し合い、その人の関心のある方向からのアプローチを示唆しています。間口が広いぶん多様なアプローチの方法があります。ですから、“この学部に入ったのは失敗だった”と思わずに四年間勉強できるよう、工夫はしてあげられます」
2002年、大学院研究科を開設
さて、コミュニティ福祉学部はこの3月に初めて卒業生を送り出す。これに合わせて、4月から同学部の研究科(大学院修士課程)をスタートさせることになった。坂田先生は引き続き大学院でも教授を担当する。
「大学院は専門の学問を学ぶ場ですから、“社会福祉学専攻”と“人間関係学専攻” 二つの専攻に分けました。社会福祉学では福祉の全分野に焦点を当て、政策やマネジメントの研究を、人間関係学の中心は臨床心理士養成と宗教人間学の研究を行います」 大学院の募集定員は両専攻とも20人。学部よりさらにきめ細かな個別の専門指導が行われる環境となる。なお、この先2年後には、博士課程の開設も予定されているという。
最後に、坂田教授は学生からどんな先生に見られているのか聞いてみた。 「あんまりニコニコしないせいか、はじめの印象は取っつきの悪い怖い先生と思われるようですね(笑)。でも、しばらくつき合っていると、ユーモアのある面などもわかってもらえるようです」
そう言ってゼミの学生から贈られたというクリスマスカードの寄せ書きを見せてくれた。そこには「先生のキャラが好きです」「ユーモアがありますね」などと綴られていた。この国の福祉政策について熱く語る先生だが、基本的に社会的弱者を含め人には優しい先生なのである。
こんな生徒に来てほしい
志が高くて卒業後は対人援助に活動の場を持ちたいという人は、もちろん大歓迎です。また、ここで学んだからといって、将来が狭く限定されるというわけでもありません。今は産業界でもメセナ活動などで福祉事業を展開している時代です。そちらへの道も開けています。他人を思いやる心のある人は学んでみてほしいですね。










