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Good Professor

鳥飼 玖美子

鳥飼 玖美子 教授
立教大学
観光学部 観光学科 大学院 異文化コミュニケーション研究科

鳥飼 玖美子(とりかい・くみこ)
上智大学外国語学部卒業。コロンビア大学大学院修士課程修了。国際会議同時通訳者を経て、現在に至る。専門は、英語教育および通訳翻訳論。NHKテレビ「英会話」講師。日本ユネスコ国内委員会委員。日本通訳学会副会長。『異文化をこえる英語』(丸善)、『歴史を変えた誤訳』(新潮社)、『プロ英語入門』(講談社インターナショナル)など著書・論文多数。

21世紀は異文化コミュニケーションの時代

太刀川記念館。大学事務局・広報課などが入っている記念館。立教が創立されたのは明治初期の1874年。1人のアメリカ人宣教師が東京築地に開いた小さな私塾が始まり。長い歴史の中でも、この建物は新しくモダンな外観だが、キャンパスに溶け込んでいる。
太刀川記念館。大学事務局・広報課などが入っている記念館。立教が創立されたのは明治初期の1874年。1人のアメリカ人宣教師が東京築地に開いた小さな私塾が始まり。長い歴史の中でも、この建物は新しくモダンな外観だが、キャンパスに溶け込んでいる。

「21世紀、日本が一番必要としている分野は異文化コミュニケーションです」

鳥飼教授はそう言い切る。ここでいう異文化コミュニケーションとは、慣習などを指す文化だけではない。環境・開発といった視点も含まれる。

たとえば、環境を押さえつけて活動する人間と、自然のサイクルである生態系を二つの異なった文化ととらえる。すると、環境問題はその文化同士の衝突と考えることができる。両者の間の適切なコミュニケーションを探ることで、問題解決への大きなヒントが得られる。

このように文化を広くとらえていくと、文化の摩擦は日常にあふれている。例をあげれば、健常者の文化と障害者の文化といった考え方をすることもできるだろう。異なるもの同士が理解しあい、認め合い、歩み寄る。そこには常に難しさがあり、同時に研究に値する重要性もある。

立教大学の大学院として、2002年4月から異文化コミュニケーション研究科がスタートする。

学部卒業後も、異文化コミュニケーションの視点から、英語教育や通訳翻訳・環境・多文化社会など諸問題へのアプローチを深めることができるようになるのだ。

模擬シンポジウムで通訳を実践させる

立教大学図書館(本館)。ツタの絡まるレンガ造りの旧本館と、新館からなっている。日本語の図書を中心に30万冊、また参考図書(辞典や白書、年鑑など)1万冊が備えられ、洋書の割合も多い。この他、池袋キャンパスには社会学系・自然科学系の図書室、武蔵野銀座キャンパスには図書館分館があり、学生や教職員の学習・研究の場として重要な役割を果たしている。
立教大学図書館(本館)。ツタの絡まるレンガ造りの旧本館と、新館からなっている。日本語の図書を中心に30万冊、また参考図書(辞典や白書、年鑑など)1万冊が備えられ、洋書の割合も多い。この他、池袋キャンパスには社会学系・自然科学系の図書室、武蔵野銀座キャンパスには図書館分館があり、学生や教職員の学習・研究の場として重要な役割を果たしている。

新しい研究科設立は、二つの研究の積み重ねの上にある。まず、日本人への英語教育を言語政策面や学校教育面からアプローチするものだ。「会話重視の教育を」と言われて久しいが、それでも期待されたほどの成果はあがっていない。その原因を教授はこう分析する。

「まず、外国で生まれた英語教育法をそのまま実践していることです。日本という特性を考えに入れず教育しても、うまく働かない部分がある。だから、日本人の学習者に対する英語教育法を考えようというのが研究の趣旨です。また、とりあえず英語が必要だといわれるからやってみようという状態を改善することも大切でしょう。目的がはっきりしていなくては、効果は上がりませんから」

二つ目の研究テーマは通訳の役割についてである。異文化コミュニケーションを通した視点からのアプローチは、いままでに例がない。

「関連した研究成果として、『歴史を変えた誤訳』という本を出しました。私は通訳の仕事をしていましたが、通訳・翻訳が、実は思っていたよりもはるかに重要な影響を外交に与えていること、それが意外に知られていないことに興味を覚えたからです」

観光学部の鳥飼ゼミでは、国際会議などでの通訳方法論をテーマとしている。卒業生は、通訳や観光業などでゼミでの経験を生かし、幅広く活躍することが期待されている。

「私のゼミは定員15名の少人数教育で、実践を重視しているところが特徴です。先日も模擬シンポジウムを行いました。会議室で学生が実際にブースに入り、通訳を実践したのですよ。決して手は抜きませんから、その分しっかりと身につきます」

鳥飼教授は、とにかく有名人である。同時通訳・翻訳の仕事をはじめ、現在はNHKテレビ「英会話」に出演。今までにはない新しい切り口から、常に最先端に立ち続ける。キラキラと輝き続ける魅力の秘訣は、実践と理論を現役で追究していくパワーにあるようだ。

日本人の強みを生かした世界貢献を

モリス館(教室棟)正門をくぐると正門には赤レンガにツタの絡まる時計台が現れる。立教池袋キャンパスの象徴であり両翼には図書館とチャペル(礼拝堂)がある。築地から池袋へ移転したのは1918年の昔だが、建築様式から見ても稀有な文化財。毎年12月には両脇に電飾されたクリスマス・ツリーが立ちキャンパスを彩る。
モリス館(教室棟)正門をくぐると正門には赤レンガにツタの絡まる時計台が現れる。立教池袋キャンパスの象徴であり両翼には図書館とチャペル(礼拝堂)がある。築地から池袋へ移転したのは1918年の昔だが、建築様式から見ても稀有な文化財。毎年12月には両脇に電飾されたクリスマス・ツリーが立ちキャンパスを彩る。

上智などとは違い、立教大学には外国語学部がない。つまり、言語だけを学ぶという学部がない。しかしだからこそ、立教では、どの学部に入学しても全学共通カリキュラムで質の高い外国語教育が受けられる。鳥飼先生は「英語同時通訳法」という授業を開講しているが、学部を超えて受講の応募ができるのも全学共通カリキュラムだからだ。自分の好きな分野と、それを追究するために欠かせない英語の両方を学んでいくことができるカリキュラムは立教の大きな利点だ。

「文学部でも理学部でも、英語がますます必要な時代になってきています。実際に学内で英語の講演会が開かれたりしますが、立教の学生が英語で質問するのも珍しくありません。それだけ英語が浸透してきているということでしょう」

先生自身は、英語をどのように勉強したのだろうか。大学2年生のときから同時通訳の仕事をしていたと聞くと、帰国子女かな?と思う人もいるだろう。だが、そうではない。高校生のときにアメリカへ一年留学しただけで、あとは日本で勉強した。

「英語力が伸びないのは、やり方が悪いか、努力をしていないかのどちらかですよ」と微笑む教授だが、華々しい活躍の裏にはたゆまぬ努力がある。そしてそんな英語力も、先生にとってはあくまでコミュニケーション・ツールに過ぎない。

「これからは、異なった文化がますます拮抗していく時代です。そうした世界の中で言いたいことも言えず、理解もされないというのは残念なこと。日本人が少しでも伸び伸びと生きながら自己主張をし、日本独自の強みを持って世界に貢献していくことが大切です。そのためには言語だけではなく、異文化コミュニケーションという幅広い視点が必要となってくるのです」

とかく、英語ができる=国際的=と勘違いされやすい。だが国際社会で生きていくためには、単に英語ができればいいというわけではない。異文化間でコミュニケーションをとるとはいったいどういうことなのか? どうすれば伝わるのか? それらを学んで将来に生かしてほしいというのが教授の信念なのだ。

21世紀の最大のキーワードは「異文化コミュニケーション」。立教大学は、国際化の中で本当に自分らしく活躍できる人材の育成をめざしている。

こんな生徒に来てほしい

中学・高校で学ぶ一般教養の基礎をきちんと身につけている学生です。知識の詰め込み教育を批判する声がよくありますが、知識自体はとても重要なのです。

何もないところから創造力なんて生まれません。英語の語彙や構文の知識がない人に、いくら英語をちゃんと教えようとしても無理。受験勉強は辛いでしょうが、将来必ず役に立ちます。そういう自覚を持って、しっかり基礎学力を身につけるといいと思いますよ。

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