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Good Professor

中村 圭吾

中村 圭吾 助教授
大妻女子大学
家政学部 児童学科

中村 圭吾(なかむら・けいご) 
1952年、新潟県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科教育心理学専攻修了。教育実践研究所で小学校の授業研究や教材心理学を実践指導。88年より大妻女子大学に勤務し、現在に至る。主な著書に、『教育の実験』『教養と文化のための心理学』など。

児童学科からテーマパークに転職

児童学科と聞けば、将来は幼稚園や保育園、あるいは小学校の先生になるのが当たり前。そんな常識を覆し、中村圭吾先生は児童学科に新しい可能性を提示した。サンリオピューロランドなどのテーマパークや博物館、あるいは玩具メーカーなど、先生のゼミで教職以外の分野に進む学生は少なくない。

「ファミリーが訪れる施設では、子どもが楽しめる企画や展示を考えなくてはいけません。そのためには子どもの気持ちを理解する必要があります。ところが子どもの気持ちを理解し、なおかつ企画を考えられる人材が不足しているのです」と、中村先生。
確かに子どものために作られたはずの博物館などは、子どもの時に楽しめた記憶がない。せいぜい社会科見学で訪れた程度だろうか。もちろん再びその施設を訪れようとは、思いもしなかった。子どもの視点が完全に欠けていたからだろう。

子どもの気持ちを理解した企画や製品開発。この分野で先生が有名になったのは、15年以上前のことだ。なかでも文京区の教育センターで、学校の勉強についていけない小学生ために作った教材は好評を博した。クイズやパズルを取り入れた教材など、日本中どこにもなかったからである。
「落ちこぼれというより、落ちこぼれにされた児童というのでしょうかね。興味を持てるように教材を工夫して教えたら、きちんとついてきましたから。

当時、私の作った教材が、現場や研修の教材としていまだに使われています。そうと知っていれば、特許を取っておけばよかった(笑)」

教育センターでの教材作りは、大成功だった。しかし新たな問題にも直面することになる。センターから学校に戻ると、児童が勉強への興味を失ってしまうことだ。 「教材の開発だけでは、本当の意味で子どもの力にならないと感じました」と、先生は当時を振り返る。

ゼミに入れば、巨大なトトロに会える!

そこで中村先生は、研究の範囲をテーマパークや博物館など文化施設にまで広げていった。一見、勉強と文化施設は全く関係ないように思える。しかし欧米諸各国では、地域の文化施設がしっかりと教育に取り入れられている。

「地域の伝統を、地域のミュージアムがしっかりと保存しています。ドイツでは、旧市役所がおもちゃのミュージアムになっている都市もありますから。また展示物に触ったりできる体験型の子供用ミュージアムも、数多く作られています。そういった施設と学校が協力して教育を実施しているのです」

教科書を使った暗記型の授業だけが教育ではない。むしろ、様々な体験を通して、学習を深めていくことこそ今の教育に求められている。  だが現在の日本では、博物館や動物園などの公共的な施設と小学校や幼稚園が協力しあうことは難しい。そこでこれらの施設を利用する子どもの学習をサポートできるように、先生はワークシートを作っているという。

「ただ展示してあるだけでは子どもは飽きてしまいますから、楽しめるワークシートを作成中です。テーマパークにあるような面白い仕掛けを、紙で実体験できたらと思っています」  こうしたワークシートができあがれば、今も続いているであろう無味乾燥な社会科見学や体験しただけで終わる科学館学習も大きく変わってくるはずだ。欧米のように本当の体験学習が、日本に根付くきっかけにもなるだろう。

「ルールを学ぶ学習と、個別の知識を増やしていく学習は違います。例えば歴史でも、知識のなかから生きざまや人生のルールを学ぶのと、年号を暗記する学習は違います。最近、大いにもてはやされている独創性などは、やはり様々なルールを学び、そうしたものを基礎に生まれてくるものでしょう」  教科書を暗記するだけなら教室の方が好都合かもしれない。しかし「ルール学習」をするなら、教室を飛び出すのも効果的だ。体験から学んだ「ルール」は、その人にしっかりと根を張るからである。

中村先生に教わった学生は、おもちゃや教材、テーマパークなどを教育の観点、そして子どもの心理から学んでいく。こうして身につけた視点が、卒業後に大きな武器となる。

そしてもう一つ、中村先生のゼミ生には大きな楽しみがある。それは研究用に集められたおもちゃに出会えること。3LDKのマンションに山ほど集められたおもちゃは、多くの学生がかつて夢中になったものばかりだ。ドラえもんにセーラームーン、ウルトラマンなど、様々なマンガやキャラクターグッズが揃っている。特に玄関をギリギリ通過した巨大トトロは必見だろう。

「これほどの大きさなら、子どもからは本物のトトロに見えるかもしれない。そう思って展示品をゆずってもらいました」と、先生は少し照れながら説明してくれた。

こんな生徒に来てほしい

「子どもやファミリーと関わりたい学生で、企画や演出をしたい学生には向いたゼミだと思います。以前は、子どもは好きだけれど先生になるのは向かないというような学生が、私のゼミで力を発揮していました。しかし最近は、入学当初から子ども向けの企画・演出に関わりたいと思っている学生が増えてきているようです」

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