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Good Professor

村松 泰子

村松 泰子 教授
東京学芸大学
教育学部

村松 泰子(むらまつ やすこ)
1944年東京生まれ。67年東京大学文学部社会学科卒業。67~91年NHK放送文化研究所勤務。この間84年に上智大学大学院(新聞学)博士課程単位取得退学。91年より現職。

主な著作に『女性の理系能力を生かす』(編著・日本評論社)『メディアがつくるジェンダー』(共編・新曜社)などがある。

教育系でも教員志望者は半数

研究室で執務中の村松先生
研究室で執務中の村松先生

東京学芸大学は教員養成を目的に設立された教育学部だけの単科大学である。しかし、従来は教員養成課程(教育系)だけだったが、88年から生涯学習社会の視点から人材育成課程(教養系)が併設された。これによって単科大学でありながら、総合大学に匹敵するカリキュラムを備えた大学に大きく変わった。

同大学で教鞭を執る村松泰子教授は、社会学を教える先生である。

「小学校や社会科の教員に将来なろうという学生を主な対象に教えています。でも、講義は教員を志望しない教養系の学生も受講できますので、実際の人数ではそちらのほうが多いようですね。東京学芸大学のいいところは、教員をめざす人とそうでない人が同じ教室で学べるところではないでしょうか。お互いが刺激し合う学習環境はとても良いと思います」

同大学の特徴をそう語る村松先生。同校の卒業生の就職状況をみても、教員になるのは4割程度の人で、それ以外は一般企業をはじめ官公庁・団体などへ就職している。

メディアと教育が生み出すジェンダー

東京学芸大学のキャンパス正面
東京学芸大学のキャンパス正面

先生のもう一つの専門は女性学。この研究はジェンダー研究と言い換えても良い。はじめにジェンダーの意味から説明してもらおう。  

「女性と男性にはそれぞれ違う性役割があるのだという考えから、女らしさ、男らしさという定義がされがちです。しかし、そのかなりの部分は社会的・文化的につくられたもので、それも男性の価値観で男性有利につくられています。そうした定義がジェンダーであり、これらからもっと自由になって可能性を求めようという研究をしていることになります」

村松先生の研究は、このジェンダーの問題と先のマスコミ論が互いにリンクし、オーバーラップしている部分が多い。たとえば、テレビドラマやCMに描かれる女性像の研究、テレビや新聞報道にジェンダーの視点が欠落しがちな仕組みについての研究といったことが具体的なテーマとなる。  

村松先生が同大学の教授職に就いてから、特に関心を寄せているのが教育現場におけるジェンダーの問題である。「ジェンダーをつくり出している二大要因として、メディアと教育があります。東京学芸大学は教育との関係が深い大学ですので、ここに来てからジェンダーと学校教育の問題についての研究を本格的に始めました」

女子は料理が苦手”というのは社会的につくられたジェンダー

村松研究室のある人文科学系研究棟本館
村松研究室のある人文科学系研究棟本館

2002年、村松先生は他の大学の先生らと共同で行った「女子中学生の理科への関心・態度」についての調査結果を発表して話題となった。それによると、中1女子で理科が好きと答えたのは53.1%だが、中2に進むと10ポイントも下がって半数を割り込んでいる。また、「先生が理科で良い成績を取れると期待していると思うか」という質問には、中2男子では18.5%が肯定しているのに対し、中2女子で肯定した生徒はわずかに6.5%しかいないことがわかった。

村松先生は女性学・ジェンダー論の研究者であると同時に、ジェンダー・フリーの教育推進の活動にも積極的だ。  

「教師のためのジェンダーについてのガイドブックをつくったり、教員養成課程の授業に女性学を入れるべきだという運動、それに教員研修などでの実践活動など、これまでいろいろしてきました。教育現場をジェンダー・フリーにするためには、まず教える先生が変わらないといけません」  

まだまだこの国でジェンダーなどというと、一方的に女性だけの問題だと思われがちだ。しかし男性にとっても、“男らしさ”とか"男とは"という社会的な定義を押しつけられることであり、男女双方にとって切実な問題でもある。  

「高校生のみなさんにとっても身近なことで、日々の生活に直接関わっている問題です。ジェンダーに関心をもつようになると、テレビのCMでさえ見方が変わりますし、自分の生き方まで変わっていくと思いますよ」と村松先生。

仕組みがわかってくると社会は面白い

東京学芸大学の教育方針は徹底した少人数制教育で知られる。特にゼミでは7~8人というクラスが多い。村松ゼミも同様で、多い年でも10人程度という。ゼミでの各学生の研究テーマは、マスコミ論と女性学の範疇からそれぞれのテーマを選び、それが卒論につながるような指導がなされていく。

「社会学というのは、現実社会の仕組みに光をあてていく学問分野です。ですから、学生には社会的な関心をもって、それを見る目を養うような指導をしています。社会というのは仕組みがわかっていくと、とても面白いですよ」

それとゼミ生全員で議論をする機会をなるべく増やして、冷静に学問的に討論する姿勢を身につけてもらうようにしているという。「最近の学生は議論が苦手な人が多いようで、ゼミでの討論が少しでも刺激になればと思ってやっています」  

マスコミ論と女性学ともに現場を踏まえた実践的な村松先生の指導の下で、社会学という学問の面白さに目を開く学生は多いことだろう。

こんな生徒に来てほしい

社会学研究の分野としては社会的なことに関心を向けたい人、社会的なことを自分の問題として取り組む意欲のある人、社会と個人の関わりを考えたい人、そういう人たちを歓迎します。これは教員をめざす人にも当てはまることで、そういう人こそ、他者のこと、社会のことなどにもっと関心をもって学んでほしいですね。

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