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Good Professor

鈴木 典比古

鈴木 典比古 教授
国際基督教大学
教養学部 国際関係学科

学務学長

鈴木 典比古 教授(すずき・のりひこ)
1945年生まれ。一橋大学経済学部卒業。同大学大学院経済学研究科修士課程修了。インディアナ大学経営学博士(DBA)。ワシントン州立大学助教授・準教授、イリノイ大学助教授などを経て、国際基督教大学国際関係学科教授、同学務副学長。
著書に『多国籍企業経営論』(同文館)、『国際マーケティング』(同文館)、『企業戦略と国際関係論』(有斐閣)など多数。

【先生の著書】
『多国籍企業と国際関係の統合理論』(国際書院)
鈴木先生の専門は国際経営学。各国間で企業の海外進出が進むことによって、従来の「政府・企業・家計」でつくる国家の体制が変化してきている。海外に出た企業はどのように変化するか。国外企業と国内企業との市場交換が進むと、国はどのように変化するか。グローバリゼーションによって一つになり均質化した市場は、今後どのような方向へ進むか。それらをモデル構成によって考えるのが先生の研究だ。少々難しい専門書だが、国際経営を考えてみたい塾生は、ぜひ先生の本にトライしてみよう。

大学らしい学ぶ姿勢を培うリベラル・アーツ教育

鈴木先生の授業はすべて英語。国際経営学について英語でディベートを行う。
鈴木先生の授業はすべて英語。国際経営学について英語でディベートを行う。

「国際基督教大学は、日本では数少ないリベラル・アーツ教育を重視した大学です。学部も教養学部ひとつだけです。国際関係学科も教養学部のなかにあります。リベラル・アーツ教育とは、ヨーロッパの長い知的活動の歴史のなかで、中世以降に、知識人たちが人間探求のために始めた運動です。長い歴史をもち、論理・文法・修辞学・天文学・幾何学・算術・音楽の自由7課を基本とした全人教育です。このリベラル・アーツをベースに国際関係を研究するのが、国際関係学科の考え方です」

こうお話しくださるのは、国際基督教大学(ICU)の学務副学長で国際関係学科教授の鈴木典比古先生だ。

「教養学部では全人教育を行なうために、大学の全教員が参加して一般教育に取り組みます。教員が自分の研究テーマの本質を、専門知識を持たない学生にもわかりやすく伝えます。また、4年間を通じて専門教育と並行して学べるようになっています。この点が、少し前まで日本の大学で行なわれていた一般教養課程と異なります」という。

数年前まで多くの大学で行なわれていた一般教養課程とは、大学の1~2年次に、専門教育とは直接関係のない社会科学や人文科学などの授業を学ぶシステムだ。授業は非常勤講師が担当したり、専任教員であっても研究テーマとはかけ離れた内容を教えていることが多く、「内容が薄い」「高校の授業の延長のようだ」などの指摘もある。

名前は似ているが、この一般教養課程と国際基督教大学の教養学部とは、まったく異なるものだと鈴木先生はいうのである。 教養学部では、すべての専任教員が全力を傾けて学問の本質をわかりやすく伝えることにより、学生は大学における学ぶ姿勢を見つけていくことができる。「そのかわり、大学で何を勉強するかは、学生が自分で見つけ出さなければならないのです。文学部や経済学部ではなくて、教養学部ですから、各自がどのような専門に進んでいくかは自分で探さなければならないわけです」けれどもその分だけ、国際基督教大学の学生は何を始めるかわからないような面白さがあると先生はいう。

例えば先生のゼミである国際経営学を専攻した学生のなかには、パイロットになったり、東洋医学の学校に進んだ卒業生などもいる。 そんなユニークな卒業生を生む、国際関係学科のユニークな教育プログラムをいくつか紹介しよう。

「海外総合実習という1年間のプログラムがあります。毎年、訪問する国を決めて募集をします。応募者は、冬学期に訪問国の情勢を文献調査して、春学期には現地で行なう調査活動の計画を立てます。毎週2時限の授業のなかで、計画を実行するための準備を行ない、準備の整った学生だけが参加できます。実習は、夏休みを利用して20日間ほど現地に渡り、調査を行ないます。現地では、学生は自分の決めたテーマに従って、自分の力だけで調査を行ない、結果を分析し、英語で報告書を作成します。20人が定員のプログラムなのですが、毎年40人近くの希望者が出ます。

ところが、あまりにも準備と計画が大変なので、最後まで成し遂げる学生は半分くらいになってしまいます」と先生は笑う。

その現地調査のテーマを挙げると、タイのスラムのアンケート調査、シドニーで週末ごとに開かれる「のみの市」の経済効果、フィリピンにおけるイスラム教徒の意識調査――など非常に多彩である。そしてこれらの調査を、現地で学生は自力で行なわなければならない。語学力はもちろん、高度な企画力や実行力・分析力が必要とされることは想像に難くないだろう。

「引率する教員は2人です。朝、全員が集まって、その日の行動計画を報告すると、もうみんな好き勝手なところへパーッと散ってしまう。それだけのことができる学生ばかりですから、できあがる報告書もユニークですよ」という。

また、国際インターンシップというプログラムもある。国の内外で国際的な活動をしている組織に学生が最低30日間所属し、活動経験をするプログラムだ。組織には、政府機関や海外NGOなどが多い。こちらのインターンシップを行なう組織も、学生が自分で見つけてくるという。なんとも積極果敢なのである。

ショックを受けることが語学上達の原動力

鈴木先生のゼミには積極的な学生が多い。そのためか国際機関や海外で活躍する卒業生が多い。
鈴木先生のゼミには積極的な学生が多い。そのためか国際機関や海外で活躍する卒業生が多い。

これだけの自在な海外活動を行なうためには、相当の語学力が必要だ。国際基督教大学では、一般の大学の約3倍にあたる22単位の語学の授業が必須であるほか、外国人の教師も多く、約3割の授業が英語で行なわれているという。

鈴木先生の授業も英語で行なわれる。先生の専門である国際経営学をテーマに、英語でディベートを行なう授業である。

「学生にも外国の人は多いですから、英語で行なう授業では、日本人は言語的にマイノリティになります。英語でディスカッションやディベートを行なうと、語学養育が徹底しているICUの学生であっても、日本の学生は最初はしどろもどろになって、恥ずかしさで大変なショックを受けるようです」

「しかし、一度ものすごく恥ずかしい経験をすると、這い上がっていく力も湧くのです。そして最後にはなんとかディベートもこなせるようになる。ここまでくれば世界のどこに出ていっても自分はやっていけるという自信につながります。うちの学生には、国際機関や海外で活躍する卒業生が多いのですが、こういう経験を積んでいるからではないかと思います」

国際関係学科のみならず、国際基督教大学は、世界のさまざまな場面で積極的に活躍する卒業生を続々と生み出している。少ないスペースではとても語りきれないほどたくさんのユニークなプログラムがその理由であることは間違いない。興味のある塾生は、ぜひ一度実際に大学を訪れ、その雰囲気を肌で感じてほしい。

こんな生徒に来てほしい

いまの皆さんは、何も描かれていない白いキャンバスと同じです。そこにさまざまな色の絵の具を使って自分の絵を描いていくのが大学生活の4年間であるといえるでしょう。4年間をフルに活用すれば、人間には驚くほどいろいろなことができます。また国際関係学科には十分な機会が用意されています。やりたいことを見つけ、やりたいことをやれる人に、ぜひ来てほしい学科です。そのような人であれば、4年間が終わるころには、必ずやりがいを見つけられるはずです。どんな絵が仕上がるか、楽しみにしています。

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