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Good Professor

関口 定一

関口 定一 教授
中央大学
商学部

大学院 商学研究科(委員長)

せきぐち・ていいち
1951年群馬県生まれ。’74年和光大学経済学部経済学科卒。’80年中央大学大学院商学研究科博士課程単位取得満期退学。’80年中央大学商学部助手。’83年同助教授。’96年教授。’05年同大学院商学研究科委員長。この間’91年および’03年米コーネル大学客員研究員。主な著作に『現代の労務管理』(八千代出版)『アメリカ企業経営史』(税務経理協会)『アメリカ大企業と労働者』(北海道大学図書刊行会)などがある(著作はいずれも共著)。
関口先生が主宰する「関口研究室」のURLアドレスはコチラ → http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~lhistory/sekiguchi-lab/

日米企業の人事労務管理研究の第一人者

関口研究室のある多摩2号館研究棟
関口研究室のある多摩2号館研究棟
関口研究室のある多摩2号館研究棟
関口研究室のある多摩2号館研究棟

中央大学商学部、関口定一先生のご専門は「経営学」と「労使関係論」で、主要テーマとしている「人事労務管理の日米比較」では右に出る者がない。その研究内容からお聞きしていこう。

「企業の形態やシステムについては、国が違ってもあまり変わりませんが、就業意識や、現場での作業指示の系統や方法には、多くの違いが認められます。その差異のなかに、労務管理や労使関係の重要な要素が含まれており、それを明確にするのが私の研究です」

関口先生はそれらを日米で比較し続けているのだが、企業と人との組織のあり方や関係性において、両国はだいぶ違ったとらえ方がされているという。

「たとえばアメリカ企業と人の関係を理解する最も大事な点は、従業員の評価・給与・訓練などが、徹底して「職務」に基づくものとなっているということです。これは、日本企業が徹底して『人の属性(年齢や能力など)』にこだわっているのとは対照的です」
「たしかにアメリカの経営者は、従業員の『職務(job)』についての業績や成果を短期的に評価する傾向があります。会社の業績が悪化すると『職務』の数を減らしたり、躊躇なくリストラを断行したりします。また従業員のほうも、会社の将来に見込みがないと判断すると簡単に転職していきます。『職務』を渡り歩くわけです。一方、日本では従業員との長期的な関係を維持しようとする企業がいまだ多く、従業員のほうも定年までつとめ上げることを望む人が多いのが特徴ですね」

このように類型化された日米ビジネス風土の比較は、従来もよく言われてきた。しかし、終身雇用制を採る企業(製造業など)もあるなど、業種や企業ごとの雇用制度の多様性こそがアメリカ企業の特徴なのだ。こうした事実を日本で知る人は、商学・経営学の研究者であっても少ない。

「90年代半ばから、アメリカ型グローバルスタンダードの経営手法の一環ということで、日本企業でも成果主義を採り入れる企業が増えました。これは一種のブームのようなもので、今はだいぶ下火になっています。というのも、この制度を採用することで、人事も業績も意のままに操ることが出来るのではという思い込みが、経営者の側に当時あったのですね」

専門や資格だけに囚われずに商学を広く学ぼう

モノレール駅からキャンパスへの道路
モノレール駅からキャンパスへの道路
中央大学多摩キャンパスの全景
中央大学多摩キャンパスの全景

「ところが制度をいくら切り替えても、思い描いたほどの業績向上にはつながらなかったのです。つまり、労働者・従業員というのは企業の都合だけでは動かないのです。働く側にも生活の問題があります。成果主義を採用したことで、かえって全体の士気が低下してしまう例も多く、現在は制度見直しをしている日本企業が増えています」

このような状況の中で、先生が現在取り組む研究課題は次の点である。
「企業運営にも労務管理にも、歴史を経ても変わりにくいものと、変わりやすいものがあります。ですから現在の日米の制度を単純に比較するだけではなく、双方の歴史の流れの中でなぜそうなったのかを見るべきなのです」

またアメリカ以外の国々との労務管理について、比較研究も始めているという。

次に中央大学商学部について伺った。

「中央大学の商学部は①経営②会計③商業・貿易④金融の4学科から成っています。しかし、科目履修でもゼミ履修でも自由度が高く、学科の枠を跳び越えて履修できるようになっています。ですから、企業経営から金融・流通までを幅広く学べるのが大きな特徴です。また、1年次の導入ゼミから4年次の卒業演習論文まで、ゼミを重視したカリキュラムになっているのも特徴のひとつですね」

中央大学商学部は、公認会計士・税理士など、各種資格試験の合格率の高いことでも知られている。そのほか、通常の履修科目より高度な講義が履修できる「Plus1コース」の制度、1年度を前・後期の2学期に分ける「セメスター制」、さらにパソコンを完備した「ゼミ用教室」など、充実した制度や設備も誇る。そのような自由度の高さや各種の制度を活用し、実りある学生生活を送ってほしいとも。

「この学部にはいろいろな分野の教員がそろっております。学生の皆さんには、狭い専門分野や資格取得だけに囚われることなく、商学・経済学についての広い知識を身に付けてほしいですね」

.IT時代においても根源的な情報は書物のなかに

中大学生たちの知識の源泉・中央図書館
中大学生たちの知識の源泉・中央図書館

中央大学商学部のゼミ演習は、1年次学生を対象にした「ベーシック演習」と2年次後期から4年次までを対象にした「専門ゼミ演習」とに分かれる。先生のゼミでの指導方針について、次のように説明する。

「2年次後期のゼミでは、経営学・労使関係論をふくめ、社会科学とはどんな学問分野であるかを徹底的に学びます。と同時に、パソコンを使ったビジネスゲームにも挑戦してもらいます。3年次になりますと、その年度の研究テーマを決めて、その統一テーマに沿った各自の研究をしてもらいます(ちなみに’08年度のテーマは『ホワイトカラーの仕事と人事』であった)」
「また、ゼミ生を3~5人のグループに分けて、グループ研究もしてもらいます。これは他大学のゼミ(埼玉大・日本女子大・関西大など)との合同で発表会も行なっています。この発表会がゼミ生にはとてもいい刺激になっているようですね」

4年次になると、各ゼミ生は各自のテーマで卒論に挑むことになる。インタビューの最後に関口先生は次のようにも話してくれた。

「最近の学生諸君は、こちらが黙っていると本当に本を読まないのですね(笑)。それで仕方なく毎月数冊の課題図書を決めて、その書評をリポートにまとめて提出するように義務づけています。いくらインターネットやITによるデジタル情報化の時代とはいえ、人生観を一変するような最も重要な情報は、書物の中にこそあるのは今も昔も同じです。読書を通じて自身の頭で知的に考えること、そのことがリテラシーとして身に付かないことには何も始まりませんしね」

課題図書読書を通じてゼミ生たちは日々鍛えられていく。そして、学生の本分としての知識と教養を身に付けていくのである。

こんな生徒に来てほしい

どうか、大学に入ること自体を目的化しないでほしいですね。しょせん大学など手段にすぎません。「大学で(あるいは社会に出て)何をしたいのか」を考え抜くことが重要です。人の一生で大切なのは偶然性だと私は思っています。ただし、様々な出会いや偶然を人生のキッカケとするためには、旺盛な好奇心や柔らかくオープンな心が必要になります。せっかく多様なことを体験し、学べる仕組みが用意されているのに、独り善がりに目的を自己限定してしまっている学生が最近多いと感じます。これは非常にもったいないことです。

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