- 白幡 晶 教授(副学長)
- 城西大学
薬学部 しらはた・あきら
1953年インドネシア・ジャカルタ生まれ(外交官だった父親の勤務地)。’81年東京大学大学院薬学系研究科博士課程(分析化学)修了。’81年東京生化学研究所研究員。’83年米ペンシルベニア州立大学医学部メディカルセンター博士研究員。’85年城西大学薬学部助手。’96年同助教授。’01年同教授。’03年同学部長。’08年同大学副学長。’09年同大学男子駅伝部部長。
ポリアミン有機化合物研究の第一人者

- 木原研究室のある6号館薬学部棟

- 城西大学坂戸キャンパス正門
城西大学副学長で薬学部教授の白幡晶先生は、学内外の役職も多数兼任し、超過密なスケジュールをこなす毎日だ。その白幡先生に、所属する同大学薬学部の特徴から話してもらった。
「薬学系の大学には薬学部だけの単科大学が多いのですが、本学は幸いにして総合大学ですので、他学部の科目を履修できる制度もあります。他学部の教員や学生との交流ができることが、大きな特徴ではないかと思います」
城西大学薬学部は「薬学科」「医療栄養学科」「薬科学科」の3学科からなる。このうち薬剤師資格取得をめざす薬学科は、06年にそれまでの4年制から6年制に移行された。
「国の意向によって履修期間が延長されましたが、本学では6年間のカリキュラムに変化をつけて、講義にディベート(討論)を取り入れたり、学外施設の見学授業や関係者にインタビューしたりするなどの試みを随時しています」
さらに国家資格の薬剤師という職業自体についても、たんに調剤をするだけのものから、もっと広くとらえて国民の主観的QOL(生活と人生の質)を高めるための支援や、高度化するチーム医療などに対応できるような人材の育成をしたいとも語る。
なお他の2学科に関して言うと、医療栄養学科は医療に強い管理栄養士の養成を、薬科学科は薬・食・化粧品の安全を守る専門家の育成が目的になる。こちらは2学科とも4年制である。
そして、白幡先生ご自身は薬学科に「生化学」、医療栄養学科に「細胞生理化学」の2つの研究室を持っている。これに副学長職という要職も加わって、多忙を極めているわけだ。
ポリアミン生化学研究関連のほぼ全てが世界初の発見

- ケヤキ並木の緑が美しい

- 坂戸キャンパス点描
白幡先生が研究テーマとするのは「ポリアミン」(polyamine)という低分子有機化合物。先生は日本におけるポリアミンの権威としても知られる。
「ポリアミンとは、すべての生物細胞のなかに存在する化合物です。50年ほど前から研究が盛んになり、とりわけ増殖の盛んな臓器の細胞に多く含まれることが分かってきました」
ポリアミンが何のために存在し、どんな働きをしているのか? その詳細については未だに解明されていない部分が大半なのだという。ただ、増殖の激しい臓器の細胞にポリアミンが多いということは、細胞増殖によって進行する疾病にも多いということになる。その代表的な疾病がガン(癌)である。
「ポリアミンを使って抗ガン剤がつくれないかという研究が始まっています。わたしの研究は、ポリアミンの増加を止める化学物質を合成して、それを利用しようというものでした。しかし、なかなか困難な問題がありましてね。たとえばガン細胞のポリアミンの増加を止めるということは、周辺の正常な細胞のポリアミンの増加も止めてしまいます。さらに血液細胞に影響を与えたり、副作用に対処したりするにはどうするかという問題もあります」
先生が主宰する生化学研究室では、マウス実験でポリアミンが細胞の分化に影響を与えていることを証明しつつある。もうひとつの細胞生理化学研究室のラットを使った実験では、大きな分子は吸収しない腸管吸収で、ポリアミンは例外的に吸収を促進する分子であることも発見している。
いずれも世界初の証明であり発見であることは言うまでもない。このうち腸管吸収の発見のほうは、アレルギー治療全般に新たな道を開く可能性もあるという。
資格取得も卒研も学生自身に目標と責任感を持たせる

- 右坂道の上にキャンパスがある
薬学科に6年制が導入され、その第1期生が今年度4年次に進級した。城西大学薬学科の学部生は、4年次後期から各研究室に配属になり、6年次の卒業まで所属する。そして、これまではなかった卒業研究が義務付けられることになった。研究室での配属学部生の処遇等については、まだ確定でない部分もあるとしながらも、白幡先生としては次のように考えているという。
「研究室に受け入れる学部生は1学年10数人になると思います。これまでは私の研究室では、まず大学院生ら先輩がどんな研究をしているのかをインタビューしてもらい、それを全員の前で発表してプレゼンテーションの訓練にします。それと並行して生化学の実験のルールや作法を簡単な実験で覚えてもらっていました。5年次になりますと、外部機関に出て半年間の実習が必修になりますので、実習の合間を縫ってこれらのことを体験してもらおうと思っています。配属になれば、各自のテーマを立てて卒業研究に入り、6年次の前期中の完成をメドにするつもりです」
「なお6年次の後期にもなると3月の薬剤師資格試験の勉強にも入りますが、これまで私の研究室では、受験するメンバー全員で勉強するのが恒例になっています。この勉強法は互いに影響し刺激し合うので、いい結果につながっているようですよ」
また生化学研究室では、修士課程1年生と学部の配属生とで、高度な薬理学の専門書を教科書にして週1回勉強会を開いている。この勉強会で学部生は徹底的に鍛えられる。
なお医療栄養学科の細胞生理化学研究室のほうは、3年次後期から研究室配属になって、管理栄養士資格取得を目指す。あらためて学生指導の方針については次のように語ってくれた。
「やはり責任感のある人を育てたいですね。わたしも昔は、学生を叩いて叩いて育て上げるタイプでした。しかし今は、学生ごとに目標を与えて責任感を持たせるようにしています。そうすれば必ず自ら勉強するようになりますしね」
そして、薬剤師も管理栄養士も、医療の仕事に携わるという自覚をもって、困っている人に躊躇なく手を差し伸べられる人になってほしいとも。
さて、白幡先生は2009度から城西大学男子駅伝部の部長にも就任した。同部といえば、全日本大学駅伝や新春の箱根駅伝の常連として実力上昇中のチームだ。先生の部長就任でどんなチームに成長するのか? これも大いに期待される。
こんな生徒に来てほしい
まず好奇心が旺盛であること、そして自らが人生でなすべきことを探したいと思っている人ですね。すでに明確な人生目標をもっている人でも、それで間違いないのか常に問い掛けているような人。そういう人であれば、自分の進むべき道を見つけるのは早いと思いますよ。










