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Good Professor

武尾 英哉

武尾 英哉 教授
神奈川工科大学
工学部 電気電子情報工学科

たけお・ひでや
1962年神奈川県生まれ。’86年神奈川大学大学院工学研究科電気工学専攻修士課程修了。
’86年富士写真フィルム(現・富士フィルム)入社。
医用画像事業の研究開発に携わる(’06年まで)。
その間’05年東京農工大学大学院生物システム応用科学教育部博士後期課程修了。
’06年神奈川工科大学工学部電気電子情報工学科助教授。
’07年同准教授。
’09年より現職。
’04年度日本医用画像工学会論文賞(’05年)。
パテントマスターゴールド賞(’06年・富士フィルム)。
特許出願(国内247件・欧州19件)。著作に『医用画像・放射線機器 ハンドブック』(共著・日本画像医用システム工業会)などがある。
現在、大学生用の数学教科書を執筆中。
武尾先生が主宰する「武尾研究室」のURLアドレスはコチラ → http://www.ele.kanagawa-it.ac.jp/~takeo

「ソフトウエアの世紀」にこそ相応しい医用画像工学

武尾研究室が入る「C2号館」
武尾研究室が入る「C2号館」
神奈川工科大学キャンパスの正門
神奈川工科大学キャンパスの正門

神奈川工科大学工学部の武尾英哉教授は、日本メーカーで唯一実用化されている乳がん診断を支援する「医用画像情報システムによるマンモグラフィー」の開発リーダーとして広く知られる。
わが国における、この道の第一人者なのだ。

まずは、神奈川工科大学工学部電気電子情報工学科の特徴から伺った。
武尾先生によると大きく3つの特徴からなるという。

「まずは本学電気電子情報工学科では、実験指導を重視していることが挙げられますね。学生のやる気を引き出すために、教員側からはゴールだけが設定され、実験方法やプロセスなどは学生側に考えさせる、『オブジェクト』という実験授業形式で効果を上げています」

このオブジェクト方式はオープンキャンパスでも実施・公開されている。
現役高校生の皆さんも体験できるので、興味のある人は参加してみてはどうだろう。

「第2の特徴は、高校と大学との『接続科目』カリキュラムを充実させていることですね。入学前の春休みに『電気電子入門講座』も開講しています。これまでの受講は工業高校卒業生に限定していましたが、2010年春からは希望者全員が受講できるようになります」
「さらにもうひとつ、入学後の学習支援体制の充実ぶりも挙げられます。高校までの学習でつまずいているところは全学的な補講の制度が用意されています。大学入学後の専門教育においても、理解できないところを学科内の教員および先輩(大学院生)が個別に相談指導にあたるように制度化されていて、気軽に利用できるようになっています」

入学した理系学生たちに、工科大学として出来るだけの親身の指導をしていく。
並々ならぬ意欲が感じられる、大学および電気電子情報工学科の諸制度といえよう。

世紀を超えるほどに広大な医用画像工学研究の開発領域

斬新なデザインが目につく1号館
斬新なデザインが目につく1号館
中央緑地と神奈川工科大学校舎群
中央緑地と神奈川工科大学校舎群

武尾先生ご自身の専門は「医用画像工学」「画像処理」「人工知能」の研究である。
冒頭でも紹介したように、医用画像工学分野ではわが国の第一人者として衆目の一致するところだ。

「これまで一番力を入れてきましたのは、エックス線画像を解析して乳がんを発見するマンモグラフィーの開発で、これは国内メーカーの製品化1号機としてすでに実用化されています。コンピューターでエックス線写真を画像解析し、がんの疑いのある個所にマーキングをして知らせる画像診断システム(CAD)を採用しています」

どんなに精度の高い機器であっても万全でないとして、武尾先生はさらなる改良にも心を砕く。

「優れた医師の目と優れた機器の目の相乗効果によって、がん(癌・悪性新生物・cancer)の見落としがなくなる体制ができますし、早期のレベルのがんでも発見できるようにしていくことが大切なんです」

さらに武尾先生の医用画像工学の研究開発はその領域を広げつつある。

「乳がんの次は肺がん・大腸がんなど、各臓器別の画像診断システムの開発ですね。もちろん乳がん診断の精度の向上という課題もあります。このほかに特定臓器を正確に計測して定量化する試み、また現在のCTは全身画像の撮影が可能になっていますが、そのデータに隠れている病気の発見なども研究課題として取り組んでいます」

医用画像を通して医療診断を支援していきたいと夢を語る武尾先生だが、こんな話もしてくれた。

「医療の世界にとって20世紀は、エックス線・CTスキャン・MRI・超音波などが開発されて『ハードウエアの世紀』とも言われました。そして21世紀は『ソフトウエアの世紀』といわれ、さらに診断や治療情報の高度化が図られることが予想されます。その中心になるのはCADですね。ただ、先ほど申したものの実用化は、早いもので50年後、大半は今世紀中の実用化というのが目標になってくるのです」

武尾先生は、こうした医用画像工学の技術を援用して、古い映画などの劣化した画像をデジタル修復する技術、あるいはデジタルカメラの顔認識システムの高精度化など新たな研究にも次々と取り組んでもいる。

科目履修成績に正比例しない卒業研究のクオリティー

研究室内で談笑し合う研究生たち
研究室内で談笑し合う研究生たち

神奈川工科大学電気電子情報工学科の学部生の研究室配属は、原則的に4年次に進級してからとなる。
しかし、実質的には3年次後期におけるオブジェクト履修から始まるといってもいい。
卒業研究のための基本技術の習得から研究の実施や論文作成までを、1年弱の期間では処理できないケースが出てくるからだ。

武尾研究室への配属学生は例年7人前後となる。
さらに電気電子情報工学科には特別研究生制度というのがあって、成績優秀で意欲的な学生は、3~4年次の2年間研究室に配属されて、研究実験に取り組むことができる。今年度の武尾研究室には2人の特別研究生(3年生)が在籍している。

ところで神奈川工科大学電気電子情報工学科において、武尾研究室の研究内容はやや特殊とも言えるらしい。
そのあたりについて先生はこう語る。

「いまのところ本学科のカリキュラム内容に、画像処理の科目は組まれていません。つまり、学生たちはこの研究室に入ってはじめて出会う研究分野になります。ちょっと面白いのは、それまでの学業成績とこの研究への向き不向きは必ずしも正比例しておらず、むしろ逆の場合が多いんですね(笑)。科目履修は苦手だった学生であっても、写真や絵画だけには興味がある、プログラミングだけは好きだ――というような、アンバランスな学生のほうが卒研でよい結果を出すことが多いのです」

最後に学生たちに対する武尾先生の指導方針についても伺った。

「わたしは、基本的に学生たちの自主性に任せるタイプです。学生自身が方法論やアイデアをもっているのに、わたしの方から逐一教えてしまっては教育になりませんからね。その代わり学生のほうで分からないことがあったら、いつでも相談に乗る姿勢でおります」

こんな生徒に来てほしい

技術に対して興味をもっている若い人を大歓迎します。
だからといって、電気系科目やプログラミング(C言語等)などについて詳しくないとダメなどと排除するようなこともしません。
ただ「大学全入時代」ともいわれる時代の中にあって、なんとなく漠然と、入学して来てほしくはありません。
この大学に入って自分の興味を生かしたいという明確な目標をもって来てほしいですね。

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