志望理由書に必要な要素5 将来像・未来像~医歯薬・保健看護系 ~その2~
志望理由書とは個性を示す内容が望ましい。が、医歯薬看護保健系の場合はこれと少々趣をたがえる部分がある。ということについて前回は述べた。
http://www.wasedajuku.com/wasemaga/shiboriyusyo/2009/07/post_20.html
それらを踏まえて大学別に見ていこう。
例えば旭川医科大学(AO入試あり)はアドミッション・ポリシーに
地域医療に根ざした医療・福祉の向上に貢献する医療者を育てる
国際社会の発展に寄与する医師及び看護職者の養成に努める
とある。
高知大学医学部医学科(AO入試あり)は
医の倫理を身につけた人間性豊かで高度の知識技能を身につけ
を教育理念に掲げている。
東北大学医学部医学科は
先端医療の最前線に立つ人材
をパンフレットで求めていた。
まず地域医療から。産科や小児科医の不足や救命救急の不手際などで、医師不足が大きくクローズアップされている。そこで、いわば「赤ひげ」のような医師を目指すという立派な志はあっても、実際には診療報酬などのいろいろな決まりごとがあって、簡単に自分がやりたいようにするというわけにはいかない。
医師不足の原因は、04年からの研修制度変更の影響が大きいといわれる。問題を解消すべく、救命救急を開業医が一部担うなどの試みもなされている。しかし、これらは制度面の運用であり、医師になれば解決できるとは言い切れない。それよりも、高知大がうたうような「医の倫理」「人間性」とは何かを考え、調べ、ありきたりでない自分なりの着地点を、書物を読むなどして見出しておく方が賢明だろう。
「国際社会の発展に寄与」のようなポリシーを掲げる大学が増えてきたのも、近年の特徴である。直接的には「国境なき医師団」や、国際緊急援助隊がイメージされよう。それを当初から目的としている人は大いにアピールして結構。でも、そうでもないのに「国際」の言葉に惑わされて安易に志望動機とするのは危険だ。また、医師法にある公衆衛生や疫学のジャンルには、突発的な災害がなくとも、海外で研究・活動する必要や機会があるので、そうした点にも目を向けての調べが欲しい。
ここでいったん乗り越えるハードルを整理して並べてみよう。まず3つ。
- 法律などで「こうだ」と定められた「あり方」を確認する
- 望む職で「あるべき姿」とされている概念を押さえる
- 大学のパンフレットなどで、1)2)と重なり合う説明なり紹介なりを発見して、そこに共感することで「こうだ」や「あるべき姿」の持ち主だとわからせる
要するに「こうだ」や「あるべき姿」は、前述の通り大学・学部の理念やカリキュラムに反映されているので、そこをそうだと認識して医療人としての適性を志望大学・学部の文脈に沿って示せばいい。
次に高めのハードルを2つ
- 志望大学がパンフレットなどで強調している「自校の特色」に共感する
- 1)2)でもなく、4)ともいいがたい特色を自ら見出して書き添える
4)は効果的だが皆がやってくる。その点5)は難易度こそ高いけれども、誰も書かないという点で採点者の目に留まりやすそうだ。
さらに医歯薬看護保健系ならではの難しさがある。それは「こうだ」「あるべき姿」こそ共通するものの、AO・推薦で欲しい人材像が特有のものである場合だ。願書の「求める学生像」などをよく読もう。
また職種にある当事者と話をする機会をみつけたり、信頼がおける人ならば、志望理由書を専門家の立場からチェックしてもらうのも効果的だ。
ちなみに医師に限っていうと、最近は多くが小児科や精神医学を志望する傾向がある。ただし、医師免許は現在のところすべての科目が標榜できるので、「本科」とされた内科を最初から抜きにして構築するのは考えものだ。
また産婦人科と助産師、精神科と心理職、外科と柔道整復師のように、類似した職業が存在していて、後者のことをあまりよく知らないまま斬って捨てる志望理由書が目立つのも事実。自らが触れてしまった以上は、触れた職業の正しい理解をしなければならない。無理ならば触れなければいいのだ。
小児科志望の場合は、連載第21回「教員」で触れたのと同じような経緯も目立つ。いわゆる「子どもが好き」だ。そのどれが問題かは第21回を参照されたい。 https://member.wasedajuku.com/std/column/shiboriyusyo/090225/09_0225.asp









