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AO・推薦入試対策 志望理由書編 【早稲田塾】

慶應義塾大学文学部自主応募推薦

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1994年から始まったこの制度には大きな特長がある。まず、評定平均が4.3以上と、高いレベルに設定されている。

「学校での成績や学内・学外での活動等も含めた選考を意図」と大学側が明言しているので、学校の成績は4.3よりも高ければ高いほど、有利であるといえよう。定員も120人とかなり多い。

ただし「等も含めた選考」であり、「指定校制はとりません」とも明言しているので、評定平均が決定的になりがちな指定校とも違う。何が違いかとなると、試験として課される小論文の出来不出来としか答えようがない、というのも、自主応募推薦は「小論文一発勝負」だから。ではどんな特長があるかというと以下の通り。

1)長いと感じられる程度の課題文が付される 2)題意がかなり込み入っている

開始当初は社会科学系の出題も目に付いたが、最近では人文科学系、もっとハッキリといえば文学・哲学に近い課題文が選ばれている。事実として、この入試で入学した学生の話では、そうした能力の高い学生を主に選びたい意図が明白であるようだ。

ではどう対策したらいいか。まず小論文対策をしていないと、多分話にならない。特に、込み入った題意にきちんと答えていく能力は、「書く」ことでしか養えない。

その上で読書量が決定的な役割を果たすと考えられる。
1)の「長いと感じられる程度」とは、読書家にとっては「短編を読んだ」程度の気軽さに過ぎないものの、読書習慣のない者には「異様に長い」と感じられる程度……と表現するのが正しい。

したがって、読書とりわけ日本文学の名著を好んで読んできた人には、最適な入試制度である。まずそうである方は考慮に入れてみるといい。

問題なのは、評定は足りているが読書はサッパリという場合。そうした人は、まず「慶應義塾」のブランドにつられているだけで、実は「文学部」には行きたくないのではないかと自問してみよう。結果「行きたくない」となれば、目的を取り違えた行動になるので止めるのが賢明だ。

なぜならば、そこを考えないまま受験して万が一合格すると、自主応募推薦は事実上の公募制推薦とみなされ、進むしかなくなる可能性があるからだ(※注1)。その時点では「慶應義塾」のブランドがあるからまあいいか、となる。しかし将来を見通した選択とはいえない。

もっとも、問題の本質はそこではなく、読書はサッパリだと、文学部に行きたくても受かりはしないという点である。その場合の対処の方針は読書するしかない。ただやみくもに読んでも仕方がないので、近代日本文学の文豪・巨匠として国語便覧に載っているような作家の代表作のうち、薄いものを選んで何度も読み返すというのが一番の早道だ。

以前に、夏目漱石の『吾輩は猫である』が出題された。それを過去問として解いてきた塾生の何人かから、「何が面白いのか全然わからない」と相談されて驚いたことがある。

漱石のような、機知(ウイット)をよくする作家の場合には、言葉遣いの展開やプロットの置き方などから楽しめないと、「状況が見えない」状態に陥る。それを身につけるには、何度も読んで慣れていくしかない。ただし『猫』は長編なので『坊っちゃん』にするといった選択を勧める。

なおテーマ設定型の「一行問題」は、課題文がないからラクと思いがち。大間違いである。一行問題より難しいレベルは、「自由にテーマを設定して好きに書け」ぐらい。まだ長文でも、参考になる課題文が付されていた方が、対策が立てやすい。練習しておくに越したことはない。

※注1 願書には「皆さんの通学している学校の担任教員、もしくは、皆さんのことをよく知っている指導教員等によって書かれた「評価書」の提出が必要です(評価書には在籍学校長の署名捺印も必要です)」とある。その前に「指定校推薦ではない」とあるので、AO型と取る方が自然なのだが、「学校長の署名捺印」と「評価書」を学校の教員に絞るというAO型は大変珍しく、高校によっては「これで合格したら進学しなければならない」と判断する可能性がある。

著者紹介

【坂東太郎】

毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師。 現在、日本ニュース時事能力検定協会監事を務める。 著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。

※「志望理由書対策入門」の内容は、早稲田塾生専用サイト「マイページ」にて15回分早く連載されています

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