横浜国立大学教育人間科学部のAO入試と推薦(公募型)
同学部の学校教育課程教科教育コースは、AO入試と推薦(公募型)の両方に挑戦できる可能性がある。主な違いは次の通り
①AOは自己推薦書と課題レポート、推薦(公募型)は志望理由書と自己推薦書
②AOはセンター試験を課す。推薦(公募型)は課さない
③AOは評定平均を問わない。推薦(公募型)は3.5以上
まずは、両者ともに必要な自己推薦書から。AOは
① 学校教育課程教科教育コースのAO入試を希望する理由
② 小学校教員になることに対する熱意や適性
と、「AOでなぜ入りたいか」と「なぜ小学校教員になりたいか」をズバリ聞いてくる。「熱意や適性」をこれまでの体験から導き出す受験生は多いし、それでいい。ただし一般に(中学でも高校でもなく)なぜ小学校かを論理立てて書ける人が少ない傾向がある。「子どもが好きだ」「すべての始まりが小学教育にあるのでやりがいがある」「自分が、ある小学校教諭に大きな影響を受けた」といった理由で終わらせる場合も目立つ。それだけでなく「小学校教員」を職業として客観的に調べるという行為が欠かせない。なまじ小学生であった経験があるので「知っているつもり」になると、あいまいな「適性」になってしまう。
推薦(公募型)の方で問われるのは、「教職を目指すあなたの特筆すべき資質や適性」であり、活動履歴などがあれば、こちらの方で存分に具体的なアピールをするといい。後述するように、AOの「自己推薦書」は、推薦(公募型)の「自己推薦書」よりも「志望理由書」に近いので書き分ける必要がある。まず書ける要素を個条書きでいいから並べてみるといい。
次に、AOのみにある「課題レポート」。筆者が知る限り、挑戦する受験生が最も苦労する書類である。問われるのは
小学校の国語、算数、理科、社会、体育、音楽、図画工作、家庭、生活の中から1つの教科を選び、あなたが小学校の教員になって小学生に教えてみたいことを、以下の4点を踏まえて2000 字以内で書いてください。
① どの学年のどのような指導内容を取り上げるのか。
② その指導内容を取り上げた理由は何か。
③ その指導内容を児童がどのように受け止めると予想しているか。
④ 児童の受け止め方に対して、どのような対応が考えられるか。
である。
おおよそ自分が得意だったり、過去の経験から書きやすそうな教科を選びがちである。それはそれでいい。ただし、①の「どの学年のどのような指導内容」を設定するにあたって、発達段階をまるで無視した無理やりをしてしまう人が書く、初期段階には特に多い。ここでも「知っているつもり」がじゃまをする。
②は「自分が得意だから」では多分通用しまい。③と④は、①がいい加減だと筆が一歩も進まないか、あり得ない内容を作り上げてしまう可能性が非常に高い。ないしは、とても平凡な「ショックを受ける」とか「反発する」といった表記に止まり、「どのように受け止める」を書いた後に平凡な「対応」でお茶を濁す(ようにしか読めない)文章が続く。例えば、「一人一人の意見を真剣に聞いて」とか「どんな反応も見逃さず」といった文言である。
「課題レポート」とある以上は、「レポート」に取り組む姿勢でなければならない。つまり調べるのだ。学習指導要領ではどうなっているのかとか、現実の教員はいかなるスタンスで教壇に立っているのかをきちんと調査する。その過程で、かつての恩師に取材するなどの工夫があってもよかろう。
とにかく、自分および自分の回りに起きた経験だけで推し量って書くと、とかく平板になる。また体験ベースの教員の振る舞いを、その時点では客観的に見ていないのも忘れてはなるまい。「その時点」は自分が児童で先生は先生だった。若干の語弊があるかもしれないが、分かりやすくするためあえて例えれば「サービスする側とされる側」だった。しかしここで問われているのは、「される側から見た、する側の風景」ではない。自ら「する側」の立場を調べ、想像力を働かせて計画を立てなければならないのだ。
最後に推薦(公募型)のみにある「志望理由書」について。「教職を目指す理由」と「本学部の推薦入試を志願する理由」となっており、AOの「自己推薦書」と似通っている。公募は人間形成コースと障害児教育コース(全国枠のみ)が含まれるため、「小学校教員になること」という限定がないだけで、問いたい内容はほぼ同じと考えていい。
「本学部の推薦入試を志願する理由」は意外と難しい。条件(評定平均)が足りて教師になりたいから……だけでは、質問の「本学部の」も「推薦入試を」も満たせない。教員養成課程のある大学ならばどこでも同じという内容ではなく、横浜国立でなければならない理由がほしいところだ。









