早稲田大学政経学部AO入試の変更点
2012年度入学生からAO型の「総合選抜」で制度が変わる。主な変更点は、同学部WEBサイトによると
・出願時にTOEFL(iBT・CBT・PBT)のスコアの提出 ・「論文審査:英語」との名称で行われてきた会場試験をTOEFLへ置き換える ・定員を90人から50人とする
の3点だ。
定員を40%以上減らすというのだから、基本的には縮小傾向といえよう。前回述べた教育学部は、上限の定員こそ大幅に減らしたものの、実態としての合格者は変更後とほぼ変わらないのに対して、政経学部は過去の定員90人をほぼ満たしていたので厳しくなるのは確実だ。
以前の条件で本欄で紹介した際(http://www.wasedajuku.com/wasemaga/shiboriyusyo/2009/09/post_30.html)にも述べた話だが、もう一度振り返っておく。総合選抜が始まった当初は「志望理由書」が存在した。AO入試の最大パターンは、志望理由書で書類選考をして、会場試験で小論文を主に課し、面接に至るというものだ。総合選抜もほぼその形で推移した。
ところが総合選抜は独自の規則変更をしていく。志望理由書を事前提出でなく会場で書かせる形式に変わった後に、「どこで何をどう学ぶか」を主に書くであろう志望理由書から、
①生徒会活動、地域活動、ボランティア活動等
②学芸・弁論・スポーツ等の大会、コンクール、展覧会等
③特定の技術・能力に関する資格、特定の科目の成績等(例:外国語検定試験、情報資格試験等)
の活動の「1つ以上」を各々300字以内で示す「活動記録報告書」へ転じた。さらに上記①②③を別々にではなく「1つ以上」を500字にまとめる現行形式となった。
この一連の流れからうかがえるのは「簡略化」だ。提出方式の志望理由書だと、大人が手を加える「成り代わり」の危険性が厳密には排除できない。しかし会場で書くとなれば相当程度防げる。といっても「成り代わり」の結果を丸暗記して、会場でアウトプットする能力の持ち主がいるのも確かだ。その点で「活動記録報告書」ならば、具体的に何をどの程度行ってきたのかが客観的に判断できる。
それでも問題は残った。「1つ以上」を各々300字以内という時代は、要項で「全部書く必要はありません」と大書してあったにも関わらず、少しでも合格する可能性があるならばと1日だけやったちょっとしたボランティア活動を300字に引き延ばして書き込むというケースもしばしば。これは受験側・大学側双方に無益なので500字で一本化という方式ですっきりした。
このように提出書類に紆余曲折があった半面で、会場試験の「論文英語」「論文日本語」のスタイルは一貫して変わらなかった。制度スタート直後を除き、特に「活動記録報告書」に転じてからは書類の受験全体にかかる存在感は大きくなく、「論文」での選考が決定的な役割を果たした。今回の変更は、このうち「論文英語」をTOEFLのスコアに置き換えたところが大きい
ところで今回の変更は「出願時にTOEFLのスコアが提出できる者」という出願条件があるのみ、という部分が気になる人も多かろう。外国語検定を受験資格にする大学は多い。でもTOEFLのみは珍しい。また外国語検定を条件とする場合は、級やスコアを一定以上に設定するのが普通なのに総合選抜はハードルを設けない。
ではスコアはどんなに低くてもいいのか。おそらくそれはNOであろう。やや慎重な言い回しをすればスコアが高くて困るという事態は考えづらい。
外国語検定をTOEFLのみとする場合に一般に考えられるのは帰国生へのアピールである。限に2012年度改正で、帰国生入試は総合選抜に統合されるとある。それ以前にも帰国生の多くが総合選抜に挑戦する傾向があった。
定員の大幅な減少は何を意味するのだろうか。真っ当に想像するに、総合選抜をこれまでやってきて所期の目的を達成できたか、あるいは全く逆で、所期の目的とは違った結果が出てしまって修正したかのどちらかのはずだ。減らし方の規模から推察すると、かなりの程度で後者である可能性がある。
総合選抜とは別に、外国学生の募集がこれまでの「若干名」から「15人程度」と増やしたとも受け取れる変更があった。これらを考え合わせると、推薦形式の入試を多様化しようとの思いも汲み取れる。
受験生の構えは? まずTOEFLを受けていない人は受ける。そもそも総合選抜に英語の試験があったのはわかっているのだから英語から逃れられない。対応が少々変わっただけと開き直って努力するしかない。定員の減少は嘆いていても始まらない。90人定員の時代でも十分に厳しかった。制度が変わったのだから「今までだったら受かっていたのに」と慨嘆するのは無意味である。よって右往左往せず「早稲田政経」が第一志望ならば与えられた条件下で邁進するのみである。









