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AO・推薦入試対策 志望理由書編 【早稲田塾】

北海道大学歯学部のAO入試

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北海道大学はかつて薬学部、教育学部、経済学部、農学部農業科学科でもAO入試を行っていたが今は廃止されている。その理由はさまざまであろう。一般に広くいわれる「AO入学者は学力が低い」という問題があったのかもしれない。

しかし本来AO入試は「学力」も含めた多面的な能力を、志望理由書や課外・学外活動、小論文、面接、その学科に欠かせない科目の試験などを通して、担当者(日本の場合は教員が行うケースが多い)が志願者を見極めるという趣旨のはずだ。一般的にこの方法は、科目試験を一律に課して合否を決定する従来の一般選抜に比べて、非常に担当者の負担が大きい。「AO生は学力に問題がある」から取り止めるという理由は、要するにAO入試の制度設計が不十分で、入学後の伸びしろを担当者が見極められないからと告白しているのに等しい。

なお、この指摘が北大もそうであるという意味に取らないでほしい。過去の経緯をうかがう取り止めた学部・学科ともに、厳選して志願者を見極めた結果、初期の目的ほど人材を確保できなかったからと推察されるので。

現在、北大でAOを実施しているのは、これまで説明してきた水産学部と理学部に加え、今回紹介する歯学部(5人)と医学部、工学部応用理工系(応用マテリアル工学コース)がある。うち後者2つはセンター試験を課す方式だ。特に国立医学部は全体として

・評定平均を問う。医学科の場合は4.3が水準
・センター試験を課す

パターンが目立って多く、北大もそうである。したがって「国立大医学部のAO入試」としてかなりまとめて解説するのが可能なので、時期を見て試みたいと思う。
センター試験を課さない北大のAOは

・理学部……厳選して人材を見出す
・水産学部……積極的に制度を活用する

方向である。歯学部もかつて定員10人だったところを、2011年度入学者対象の試験から5人に減らした。これも10人の頃の合格者がその程度だったので、実態に即した変更と考えてよかろう。
歯学部の「趣旨・目的」は北大の他の学部・学科と同じく相当に踏み込んでいる。

これまでの受験は、試験成績データによって志望を決定するという仕組みに固定されているので、このAO入試では、本当に歯学、歯科医療を専門として学びたいという学生を、学業成績とともに学業以外での活動、社会との交流経験の豊富さによって評価します。できるかぎり「この成績なら、この辺の大学・学部に」という動機で入学する学生を排除することに狙いがあります。個性のある、様々な意味で個人的魅力のある学生を選ぶことが目的です

とある。医歯薬系は医師免許が取得可能な医学部医学科が、「試験成績データ」が高いという理由で人気である。そうした「仕組みに固定され」ず、他の学部ではダメで「本当に歯学、歯科医療を専門として学びたい」者に来てほしいとの趣旨だ。「『この成績なら、この辺の大学・学部に』という動機で入学する学生を排除することに狙いがあ」ると、あけすけにうたうのも珍しい。たいていは「学業でははかれない能力も重視します」ぐらいで収まるところ、「排除」したいと強い言葉を用いているのが大きな特長である。

出願条件には評定平均4.3(A評定)と「物理Ⅰ・Ⅱ」「化学Ⅰ・Ⅱ」「生物Ⅰ・Ⅱ」から2つという履修条件がある。

「求める学生像」は以下の通り

①基礎学力があり、歯学、歯科医療を学びたいという意欲が旺盛で、将来、大学院に進学する等、学問的向上心の強い学生
②何事にも積極的に取り組む意志が強く、特に高校時代にリーダーシップを発揮し、成果をあげた経験を持つ学生
③好奇心旺盛で、自らを啓発する志が強く、特に高校時代に受験勉強一辺倒でなく、学業以外に対してもよく努力をして相当の成果をあげている学生

ほぼ「趣旨・目的」が合致している。
自書する書類である「自己推薦書」には3つの項目がある

1)あなたが北海道大学歯学部を志望する理由(A4判約2枚のルーズリーフ形式)
2)あなたが、学業以外で積極的に取り組んできたこと(同)
3)あなたの個性について(同)

さらに「諸活動の記録」として課外、学外活動やボランティア経験、資格などを詳細に書き込む書類がある。

1)は「趣旨・目的」の「本当に歯学、歯科医療を専門として学びたい」意欲や「求める学生像」の「大学院に進学する等、学問的向上心の強い」志向を持つ者であり、それゆえにそれを求める北大が欠かせないというアプローチが必要だ。

2)は同学部がことさらに求める「学業以外での活動、社会との交流経験の豊富さ」「高校時代にリーダーシップを発揮し、成果をあげた経験」「学業以外に対してもよく努力をして相当の成果」を書くべきであろう。「諸活動の記録」には事実関係のみを記し、2)ではいかなる「豊富さ」「リーダーシップ」「成果」があったかを初対面で志願者の行ってきた諸活動を知らない人にでもわかるような書き方が求められる。

3)はやや難しい。「求める学生像」の「基礎学力があり」「何事にも積極的に取り組む意志が強く」「好奇心旺盛で、自らを啓発する志が強く」あたりと一致した内容だと大学側も合点がいくであろう。ただその根拠とする言動をどこから探すかというと、基礎学力はともかく、他は「諸活動の記録」や2)の「学業以外で積極的に取り組んできたこと」と重複する可能性が高い。したがって2)は、前述のように活動内容とそこで自分が何を果たしたかを中心に、3)ではそこからうかがえる自己分析を試みると、上手に住み分けられそうだ。

著者紹介

【坂東太郎】

毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師。 現在、日本ニュース時事能力検定協会監事を務める。 著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。

※「志望理由書対策入門」の内容は、早稲田塾生専用サイト「マイページ」にて15回分早く連載されています

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