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大学プロデューサーズ・ノート 【早稲田塾】

慶應大、中国の高校に指定校推薦枠

マイスターです。

最近、日本の高校から海外の大学に進学する生徒が増えたという報道をしばしば見かけます。

マイスターの周囲でも、まだ高校に籍があるにもかかわらず、既にハーバード大学に通っているという塾生がいます。既に高校の単位は取得済みなんだとか。
そういう方と話すと、国境を越えるというのは、もう以前ほど特別な行為ではないのかも知れないな、と実感します。
学力と意欲、それに必要なだけの語学力さえあれば、何も日本国内から進路を選ぶ必要はありませんよね。

それは、他の国の若者においても、同じです。




【今日の大学関連ニュース】
■「08入試最前線(7) 指定校推薦 海外にも門戸」(読売オンライン)

慶応大学の指定校推薦入試に中国の高校が加わった。

数学94点、英語94点、物理92点、化学91点、日本語95点。昨春、慶大理工学部(横浜市)に入学した肖琳琳さん(19)が通っていた高校の3年後期の成績だ。

同学部は昨年度入試から、中国東北部・瀋陽の東北育才外国語学校を指定校に組み入れた。大学が高校に推薦枠を与え、高校は成績などから書類選考した生徒を推薦する制度だ。定員は1人。海外の高校を指定したのは初めてだった。

そして、「高校生の時、『文明論之概略』を読んで以来、福沢諭吉を尊敬している」という肖さんが選ばれた。生命科学を学び、将来は大学院へ進んで研究職に就きたいと考えている。大学では、授業の後も、自習室や図書館に残って深夜まで勉強する日々。「遺伝病の治療法につながる研究をしたい」と滑らかな日本語で話す。

指定校推薦では、ほとんどの生徒がそのまま合格する。同学部は全国に先駆けて前身の工学部だった1966年からこの方式を取り入れており、昨春は全体の約2割にあたる195人が入学した。指定校決定で重視するのは、一般入試などでこれまでに入学した学生の学力や実績。その点では日中の高校で区別はない。

東北育才外国語学校からは、留学生特別選抜や一般入試で毎年数人が同学部に入学し、成績優秀な学生が多かった。同学部入試事務局長の飯田訓正(のりまさ)教授は「この学校に匹敵する他国の高校はない」と言い切る。

(上記記事より)

記事で紹介されている、東北育才外国語学校。
ここは外国語学校だけでなく、幼稚園から高校までを含んだ大きな学園です。
高校だけでも外国語学校の他、高中部、科学高中部 、国際部など、複数の学校を持っています。

■东北育才学校校园网(中国語)
■东北育才学校校园网:双语学校(中国語)

この学園は、中国の中でも超エリート進学校として知られています。
詳細は、↓このあたりの記事をご覧ください。

■「東大、京大に続々合格/中国瀋陽のエリート校」(四国新聞社)
■「日本へ熱 東大・京大へ合格者続々」(Asahi.com)
■「諸外国の学校情報:東北育才学校国際部」(外務省)

この学園から、日本や欧米の名門大学に、大変な数の進学者が出ています。
それも高校から大学に、日本人と同じように受験しての進学です。

2002年からの5年間で日本の大学を受験した128人のうち38人が東大に、46人が京大に進学。一橋大や名古屋大なども少なくない。

「東大、京大に続々合格/中国瀋陽のエリート校」(四国新聞社)記事より)
これまで数学オリンピックに出場し金メダル 8枚その他のメダル108枚を取得し、卒業生は中国国内の大学だけではなく、英国ケンブリッジ、オックスフォード大学、米国プリンストン、イリノイ大学、カナダトロント大学、日本では、東京、京都、東京工業、一橋、大阪、九州大学等々に入学している。

「諸外国の学校情報:東北育才学校国際部」(外務省)記事より)

この通り、日本国内の有名進学校に匹敵する実績。

冒頭の記事にもあるように、慶應義塾大学に進学し、優秀な成績を修めてきた学生もたくさんいたようです。
相当の信頼を得ているのでしょう。大学側から「この学校に匹敵する他国の高校はない」というコメントまで出ています。

想像するに、指定校推薦枠はおそらく、そんな中で「ごく自然に」発生したのだと思います。

優秀な学生を送ってくる教育機関なのですから、大学からすれば、遠ざける理由はありません。
語学力もその他の学力も問題ないのであれば、日本の学校だろうが、外国の学校だろうが同じ。
輝かしい実績を認められての推薦枠。それも入学者の数だけではなく、入学後の活躍にも惚れ込んで与えられたもの。
これは、日本の教育関係者は、見習わないといけません。


これは慶應大に限った話ではありませんが、「優秀な留学生」の獲得というのは、これから大学が力を入れたいと思っている分野の一つだと思います。

ご存じの通り、日本の18歳人口は減少の一途をたどっています。
そのうえ優秀な学生の間では、より多様な人材が世界各国から集まる、海外の大学への進学が注目され始めているのです。
名門大学であっても、これまでの伝統や実績にあぐらをかいていては、従来通りの人材は集まりません。国内の市場は縮小しているのですから。

というわけで、海外から優秀な学生を集める体制を作るというのは、大学にとっては喫緊の課題です。
中国のように経済成長著しい国のエリート学生ともなれば、なおのこと、のどから手が出るほど来て欲しいのではないかと想像します。
ここ数年は、大きな大学がこぞって中国などに事務所を開設したり、立命館アジア太平洋大学(APU)のように海外からの学生募集に本腰を入れる大学が生まれたりしていますが、そういう流れに加えて今後は、海外に指定校推薦枠を与える動きも、少しずつ広がっていくのかも知れません。


こうした動きは、日本の受験生や高校にとっては良い刺激になるでしょう。

日本語と母国語がペラペラで、成績も抜群。国境を越える行動力もある。そんな留学生が、これからはさらに日本にやってくると思います。
本当に優秀で、かつ意欲を持った海外からの受験生。彼らと受験で、大学で、またその後の社会で、競い合うこともあるでしょう。
(あ、高校の段階で留学してきた場合は、その高校が持つ指定校推薦枠を、留学生と取り合う事態も考えられますね)

良いパートナーとして切磋琢磨できる関係になれるよう、高校生も大学生も、そして教育関係者も、がんばらないといけませんね。


以上、マイスターでした。

著者紹介

【倉部史記(マイスター)】

大学院修了後、Webプロデューサー、大学職員を経て現在、早稲田塾SOHKEN(総合研究所)・主任研究員。

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