吾輩は虎である 五
吾輩は虎である 五 藤沢校
例によって今日も何か有るだろう塾生の様子を観察しておると、
突然、目の前に顔が現れた。
友次という古文科講師であるらしいこの男は
「自分と同じネコ科ですね」とニコニコ笑いながら吾輩の手をとって話しかけてきたのである。
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よくよく思い返してみると、
吾輩が早稲田塾藤沢校の受付という所にきてから着せられている赤いマントには
実は様々な講師からのメッセージが書かれているのだが、
この中にもこの友次なる講師からのメッセージが書かれているのだった。
友次なる講師は、毎水曜毎に藤沢校にその姿をあらわすが、決まって大きな鞄を持っている。
聞くところによれば 「この鞄には夢と希望が詰まっている」 と言うではないか。
そんな講師に、古文を教授されている高校生たちがうらやましい。
吾輩の近くで高校生達が口を揃えて言うには、大変厳しいが、なぜか古文の授業中に歌なぞを歌うと。
友次なる講師と吾輩が見詰め合うそのさまを見ていた塾生が笑って近づいてくるではないか。
彼はまだ吾輩の文章を読んだことがないとの事。
吾輩が、ケア・スタッフが二六時中精細なる描写に値する奇言奇行を弄するにも関らず
逐一これを読者に報知するのは、能力と根気のいることである。
休養は虎といえども必要であるのだが、毎日起こることを書かずにおられるだろうか。
というわけで吾輩は毎日こうやって筆をとっているのである。
例の如く、吾輩の言う事などは通じないのだから、ただその様を見物していた。




