吾輩は虎である 番外編③ ~関 友香~
時の経つのは早いものであり、7月も今日が最終日である。
空は曇っているにも関わらず、相変わらず蒸し暑い。
7月の思い出に耽りながら8月をどう過ごそうか考えているところ、吾輩の思考を邪魔する者が現れた。
また人間である。
彼女の名は関友香といい、現在は慶應義塾大学文学部社会学専攻2年で、
この藤沢校でDCCインターンなるものをしているらしい。
県立湘南高校出身だというので、同じ高校の後輩が藤沢校にはたくさんいる事を思い出し、
吾輩は彼らの顔を思い浮かべた。
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「ねぇ虎、本多さんは猫だったけどね、私はウサギだったんだよ!」
兎といえば、あの可愛らしい小動物であろう。
どう見ても彼女とは似付かない気がするのは、私の目の錯覚なのか。
何とも言えず返答に困っていると、彼女は一枚の写真を見せてきた。
「高校時代に、体育祭の仮装でバニーガール役をやったの!可愛いでしょ?」
髪の毛に、普通の人間とは思えない色が混ざっているが大丈夫なのか。
彼女の話によると、大勢が様々な役に分かれ舞踏で一つの物語を表現し色別で競う、
仮装とやらが湘南高校体育祭の名物らしい。
物語も自分達で考え、衣装も大道具・小道具も全て手作りだと言うから驚きである。
「湘南高校はね、体育祭を成功させるために、1年間かけるんだよ!
高3の夏休みなんか、毎日朝から学校に行って体育祭の準備をしてたんだ。」
高3の夏と言えば、まさに受験の天王山と言われる時期ではないか。
この人間、そのような大事な時に毎日踊り狂っていたようだが、果たして受験勉強はどうなっていたのか。
吾輩の不安は解消される事もなく、彼女は次々と写真を見せてきた。
「文化祭では、お茶会もやったしダンスのステージにも出たよ。
私、フェンシング部と茶道部とダンス同好会に所属してたんだ。」
どうやら、湘南高校は行事が1年中とても盛んらしい。
いつ落ち着いて勉強するのかと、吾輩はますます不安になった。
そんな吾輩を察してか、彼女はこう言った。
「でも、もちろん勉強だってしてたよ!高3の夏は、ちゃんと500時間も達成したし。」
だが、常に行事に追われてる中で、本当に勉強などできるものなのか。
「すごい忙しかったけど、勉強時間は見つける努力をすればいくらでも作れると思う。
私は高1で入塾してから、行事の準備や部活があっても空いてる時間を見つけて
毎日自習室を活用してたんだ。
第1志望に絶対現役で合格したいって思ってたから、辛くても頑張れたよ!
行事も楽しみながら勉強もして現役合格できて、充実してた高校生活は素敵な思い出だな。」
ふむ、これがまさに噂の「両立力」というものなのか。
吾輩は、藤沢校の塾生にも是非この力を身に付けて貰いたいと感じた。










