Audubon Program 第5回 [特別講義:有馬利男先生]
こんにちは。
Audubon ProgramでTAの、慶應義塾大学法学部法律学科1年の谷中麻里衣です。
10月31日のAudubon Programは、富士ゼロックス株式会社元社長であり現在は相談役特別顧問を務められており、さらに国連グローバル・コンパクトで唯一日本人のボードメンバー、グローバル・コンパクト・ボード・ジャパン議長の有馬利男先生の講演でした。

『国連グローバルコンパクトと地球環境問題』と題された講義、生徒もTAも予習ばっちりで臨みます。

国の集まりである国連と、企業の集まりであるグローバルコンパクト(GC, Global Compact)。
この二大組織はいかに環境問題に取り組んでいるのでしょうか?
歴史をたどって国連とグローバルコンパクトの連携に至るまでを解説してくださいました。

1989年ベルリンの壁崩壊以前―東(アメリカ中心の資本主義陣営)西(ソビエト連邦中心の共産主義陣営)の戦い、すなわち、大国の争い。
当時、国連に求められていたのは「国の安全保障」でした。
対して、ベルリンの壁崩壊以後―南(途上国)北(先進国)の戦い、すなわち、宗教・民族の争い。
冷戦終了後、国連に求められているのは「人の安全保障」だそうです。
予習段階では踏み込まないであろう深い背景知識を踏まえたわかりやすい講義をしてくださる有馬先生に、塾生達も真剣な表情で講義に引き込まれていきました。

国連の在り方の変容とともに、ビジネス界も変貌を遂げました。
1990年代、グローバリゼーション(globalization)が始まったのです。
グローバリゼーションに伴い、顕著に現れてしまった二つの問題点―①グローバル化を成し遂げたものとそうでないものとの格差、②グローバルに展開した企業による環境破壊問題や人権問題などの諸問題。
問題に対処すべく、1992年にリオデジャネイロで行われた地球サミットで主に二つの流れがうまれました。
一つ目が、国連ミレニアム開発目標(MDG’s, Millennium Development Goals)。
二つ目が、本題のグローバルコンパクト(GC)です。
コフィー・アナン前国連事務総長がダボス会議で提唱し、2000年に創設されたGCは、グローバル展開して問題を起こしてきた企業が、富の不平等や諸問題を解決することに着手することを目的とします。
すなわち、国連は民間団体の主体的なイニシアティブを求めているのです。
それもそのはず、国のGDPと企業の売上をもとに世界トップ100の国家と企業を並べてみると、約半数が企業だとか。
いまや国の集まりである国連と、企業の集まりであるGCの連携は必要不可欠なのです。
GCの重要性を改めて実感した塾生はもちろんTAも、日本におけるGCのパイオニア、有馬先生のお話を直接伺うことのできるAudubon Programのすごさに感動していました。
GCの10原則は、四つに分類できます。
人権:「人権の指示と尊重」の原則・「人権侵害への非加担」の原則
労働:「組合結成と団体交渉権の承認の指示」の原則・「強制労働の排除」の原則・「児童労働の実効的な排除」の原則・「雇用と職業の差別撤廃」の原則
環境:「環境問題の予防的アプローチ」の原則・「環境に対する責任のイニシアティブ」の原則・「環境にやさしい技術の開発と普及」の原則
腐敗防止:「強要・賄賂等の腐敗防止の取組み」の原則
企業は以上の10原則を影響の及ぶ範囲、つまり、自社のみならず契約先までもが順守するようにします。

加盟組織数や編成など、データや仕組みを詳細に説明してくださいました。
有馬先生が社長を務めていらっしゃった富士ゼロックスは、企業の社会的責任(CSR, Corporate Social Responsibility)を通してGCに取り組んでいるそうです。

富士ゼロックスの取組みをおおまかに二分すると、CSR調達と端数倶楽部があるそうです。
CSR調達は「ともに学び、ともに強くなる関係」を築くことができるので、ビジネスチャンスにも。

端数倶楽部は毎年約2000万円もの資金を集め、社員の委員会で使い道を決定。
社員が現地へ赴くこともあるそうです。
もっと詳しく知りたい方は生徒が予習として読んできた富士ゼロックスの冊子をおすすめします。

生徒も、富士ゼロックスの取組みについて知ることで、企業という組織の取組みがいかに重要かを実感したようでした。

国連は企業を必要とし、企業は社会に対する責任を果たさなければならないこと。
GCは国連と企業の21世紀における新しい連携の場であり、企業と個人の共通の価値軸であること。
CSRは、企業にとってビジネスチャンスというプラスがあること。
さまざまな新しい知識を吸収した生徒たちは、講義後も熱心に質問します。

有馬先生も熱心に応じてくださいました。
特別講義後は本科生ディスカッションタイムです。




議論はどんどん白熱。

恒例になってきた先生をお引き止めしてしまう場面。
今回は、本科生全員が質問をしたということで、TAも圧倒されていました。
自分の言葉で。そして、リッスン・傾聴―いただいたアドバイス、是非今後とも活かして頑張りましょう!

来週は、港区長武井雅昭先生の特別講義とグループ・ディスカッションです。
生徒は、港区ホームページや他行政団体ホームページも見て政策について知ること、そして、自分の研究テーマを深めるという宿題が。
では、Audubon Program第6回も頑張りましょう!










