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国会にかかるお金を荒っぽく計算

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●議員の年収は約2200万円

「保育園落ちた日本死ね!!!」と題したブログが民主党の山尾志桜里衆議院議員が国会でも取り上げ、大きな話題となっています。

ブログは「国会議員を半分位クビにすりゃ財源作れるだろ」とも提言しています。そこで国会議員が年間どれだけもらっているのか計算してみました。概数をつかむためのかなり荒っぽい計算であるのをご了承下さい。

国会議員の身分は特別職の国家公務員です。任期があるので「正社員か非正規か」を無理やり当てはめれば非正規雇用です。国家公務員なので給料は税金から出されます。

国会議員の歳費(給料。基本給に近い)の月額は約130万円。期末手当の約635万円を加えると年収は約2200万円。当選回数は関係ありません。衆議院議員が定数475、参議院242人なので合計717人。かけ算をすると約158億円になります(※1)。

他にも文書通信交通滞在費が月額100万円(年間1200万円)支払われ、議員数をかけると約86億円(※2)。「公の性質」を帯びた「文書」「通信」「交通」「滞在」に使うとあるものの、それ以上が明文化されておらず、きわめてあいまいです。そうでなくとも国会議員は1)月4回往復分の航空券(2)月3回往復分の航空券とJRパス3)JRパスのみ、の1つを選択できます。JRパスを使えばすべてのJRがただ。1)は沖縄県のように選挙区にJRがない議員、2)は選挙区間の往復に航空機が必要な議員が申請できます。かつてでしたら遠距離や海外の電話は長話したら途方もないカネがかかりましたが、今ではメールやスカイプを使えば事実上無料に近くなっています。

さらに法律を作るための研究などに充てる立法事務費が議員1人につき月額65万円が会派に、年間合計で約320億円の政党交付金が政党に入ってきます。これらはただちに議員個人の収入とならないものの、おそらく数百万円はもらっているでしょう(政党交付金を拒否している日本共産党を除く)。合計すると4200万円程度は確実に入ってきているはずです。

 

●都心に格安家賃の宿舎

都心の一等地に10万円を切る月額家賃で住める議員宿舎(東京23区に自宅がある議員は除外)も用意されています。立法事務費の年間総額は約47億円(※3)。

さらに政策秘書、公設第一秘書、第二秘書の3人を雇えます。いずれも国費から給料が出て3人合わせて年間2000万円から2400万円ぐらい支払われています。公設第一と第二は資格が要らないので、ちゃっかり家族を据えている場合もあります。こうなると実質的な給与でしょう。2100万円としたら全国会議員で150億円ぐらいになる計算です(※4)。

※1から※4と政党交付金320億円を足し合わせると611億円。ブログ主のいう通り「半分位クビ」にしたら約305億円です。


●金額に見合うだけの仕事をしているのか

現在、保育園が足りない最大の理由は保育士の給料が安い点にあります。全産業平均並みにするには3400億円程度が必要で「半分位クビ」だと月額1万円ぐらい上昇させられそうです。

ただ国会議員とは別に国会には他に大きくカネがかかっている分野があります。国会職員です。衆参両院に事務局約2700人、法制局約150人、国立国会図書館約940人で合わせて4000人近くが働いています。多くを占める一般職は国家公務員の給料に準じた額で、人事院によると平均年収約662万円なので、これまた荒っぽいのを覚悟の上でかけ算すると年間264億円ぐらいかかっています。

つまり提言通りに議員を半分にして国会職員を大リストラしても保育士の月額2万円上昇には遠く及びません。では安いのかというと、年間「国会」で875億円ぐらいかかっていて1日換算すると約2億4千万円。これは単に365日で割っただけ。実際に日本の国会は会期制ですから開かれた日だけで計算すると(かなり無理なやり方ですが)、国会を1日開くと3億円以上はかかっている勘定となります。

つまり「提言」通り「半分」にして保育士の給与に回しても問題は解消されません。といって1日3億円以上かけている国会でなされるべきは、必要な予算をつけたり法律を作ったりという作業です。その金額に見合うだけの働きをしているかというと、甚だ疑問です。

※記事の内容は執筆者個人の見解であり、早稲田塾の公式見解ではありません。