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GOOD PROFESSOR

国際基督教大学
教養学部 社会科学科

石生 義人 準教授

石生 義人(いしお・よしと)準教授
1964年福岡県生まれ。88年西南学院大学文学部外国語学科英語専攻卒。91年米国ベイラー大学大学院社会学修士号取得。95年米国ミネソタ大学大学院社会学博士号取得。96年筑波大学社会工学系助手。98年同講師。2000年国際基督教大学教養学部社会科学科助教授。04年より現職。

著作に『現代日本の市民社会・利益団体』(分担執筆・木鐸社)などがある。

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「社会学の面白さ」を伝えたい

石生先生の研究室がある「教育研究棟」

ICU(International Christian University)の略称で知られる国際基督教大学は、広大なキャンパスに校舎や施設が点在し、その緑豊かな環境は贅沢ともいえるほどだ。同大学は教養学部だけの単科大学で、人文科学・社会科学・理学・語学・教育学・国際関係学の6学科からなる。このキャンパスに約3000人の学部学生と大学院生が学ぶ。

「ICUのいいところは、教員も学生も同じ人間であるという考え方で互いに尊重し合っているところです。ですから、教師から学生に一方的に情報を伝えるのではなく、学生も自由に発言することができます。そのため授業が非常に活発ですね。どの学科も専門分野は多岐にわたり、かつレベルが高くて、総合大学といわれる学部の専門性のレベルに遜色ないと思っています」

そう語るのは、社会科学科準教授の石生義人先生である。そうしたICU独特の雰囲気は先生自身にも水が合っているという。 若いころの石生先生は英語が得意で、そのエキスパートをめざしてアメリカの大学に留学。そこで社会学を知り、“こんなに面白い学問分野があったのか”と目を開かれ、そこから方向転換したという経験をもつ。以後、刻苦して社会学者への道を歩んできた。その専門は「政治社会学」と「社会調査法」。まず、政治社会学について聞いた。

「政治と社会の関係を見るのが政治社会学という学問です。政治が社会に与える影響、つまり人の行動や制度・文化など社会の大きな部分が政治によって規定されています。また逆に、社会を構成する要素にはマジョリティーとマイノリティー、高齢者と若者、男性と女性など様々なものがあって、そうした複雑な要素で構成された社会が政治に影響を与えてもいます。その双方向について研究しているわけですね」
とくに石生先生は、利益団体・選挙行動・政治意識などをテーマに研究している。

社会的な事実を独自に発見

「国際社会調査実習」の授業の様子

石生先生のもうひとつの専門分野は社会調査である。社会調査というのは人間の行動や意識について調べるもので、世論調査などに代表される。この社会調査の意義については次のように語る。

「社会について知る方法はいろいろあります。親から、学校の先生から、マスコミから知らされるでしょう。あるいは伝統やうわさ・迷信・偏見などから知ることもあります。しかし一番大切なのは自分で調べて知ることです。そのための方法が社会調査で、これによって社会的な事実を独自に発見することができるわけです」

石生先生の学部の授業に「国際社会調査実習」というのがある。この実習授業は社会科学と国際関係の2学科にまたがる専門科目で、ともに必修だ。2年次冬学期から1年間にわたり石生先生の実地の指導がみっちりあり、学生たちは3~4人のグループに分かれて、それぞれが設定したテーマで社会調査を行なう。

社会調査には計量分析と質的分析があるが、この実習では主に質的分析により行われる。対象に肉薄し食い下がって調査するハードな調査法である。

「調査対象は15人で、それぞれ1時間程度のインタビューをすることを義務づけています。そうやって収集したものを社会学的に分析して、最終リポートにまとめてもらいます。このリポートがなかなか優れていて、修士論文のレベルに仕上げてくるグループもいるんですよ」

たとえば2003年度のテーマには、「女子大生の高級ブランド消費とアイデンティティー」、「男女不平等問題に対する意識と行動」、「住職の形成過程にみられる信仰心」、「定年退職者の生活と職業生活」、「スタントマンの職業意識」など興趣に富んだものが並ぶ。調査の最終リポートは冊子にまとめられ、優秀な調査には表彰状が贈られる。ちなみに、03年度は「住職の形成過程にみられる信仰心」が金賞、「女子大生の高級ブランド消費とアイデンティティー」が銀賞を獲得した。

「授業は真剣勝負」と言い切る

初秋の緑あふれるICUキャンパス
厳かな雰囲気が漂う大学礼拝堂

なお4年次の学生は、ゼミ(卒論指導)に入ってこの社会調査を個人で行い、卒論にまで仕上げていくことになる。

「私自身が学生だったときの私のレベルなどと比べ、いまのICUの学生のほうが才能も素質も豊かだと思います。それを開花させてあげるのは、ひとえにティーチングにかかっていますね」

そう語る言葉どおり、石生先生の学生指導に懸ける情熱はひたすら熱い。人並み外れた情熱ともいえ、自ら「授業は私にとって真剣勝負です」とまで言い切るほどだ。

「大学の授業料は決して安くありません。ですから学生には学ぶ権利があり、われわれ教員には教える義務があります。だからといって一方通行の講義をしていてもダメですね。私は、授業でもゼミでも徹底的なディスカッションをさせ質問をさせます。この質問することが重要なのです」「質問というのはとても人間的な行為で、人間性を押さえ込んでしまうと質問が出なくなります。質問は人間社会を成り立たせる基本で、人間的成長を促す元でもあります。それが、いまの日本社会では相手を怖がって質問しない人が増えていると言われています。質問することは知識を交換することで、決して恥ずかしいことではありません」

石生先生の授業やゼミでは、学生たちは盛んに質問し合い非常に活発だという。学生たちの目の輝きからして違うとも。

「また私の授業では宿題を多く出します。その宿題もこちらから枠組みだけを与え、内容や方向性・質などは学生たちにそれぞれ考えてもらいます。自分なりの発見をしてほしいからです。こういう宿題を出すことは、じつは全部のチェックをする私のほうこそ大変なんですけどね(笑)」

並々ならぬ情熱で学生指導にあたる石生先生である。

こんな生徒に来てほしい

本当に勉強したい人に本当の勉強をする機会を与えたいですね。ICUには英語で行なう授業がたくさんあります。英語の上達だけをめざして学んでも、英語力はあまり伸びないものです。自分で興味のあることを英語を使って学ぶ。それが上達させる近道で、ICUにはそんな授業がたくさん用意されています。こういう環境で学んでみたい人はぜひ来てみてください。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。