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GOOD PROFESSOR

玉川大学
文学部 芸術学科

島川 聖一郎・梶原 新三 教授

島川聖一郎 教授・梶原 新三 教授(しまかわしょういちろう・かじわらしんぞう)
学習院大学法学部・文学部文学研究科(イギリス文学・修士)卒。英国ブリストル大学演劇学科大学院専攻科卒。現在に至る。現代イギリスを代表する喜劇作家アラン・エイクボーンの「ベッドルームを拝借」、「隣で浮気・・・」を翻訳・上演。ジョン・モーティマー作「父をめぐる旅路」を翻訳・演出。翻訳・著作に、オスカー・ワイルド作『理想の夫』、シェイクスピア作『リチャード二世』など多数。

1946年、愛媛県生まれ。71年、玉川大学芸術学科卒。73年、銀座東急ホテルで初個展。その後海外留学し、海外でも次々と個展を成功させる。最新の個展は、1999年東京のすどう美術館、2001年東京bbbbbbbのギャラリー・ワッツで行われた。染色の枠にとらわれない高い芸術性は、日本ばかりでなく、スイス、ドイツ、ベルギーなどでも高い評価を博している。

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芸術家を支えるスタッフの充実が、芸術の振興に重大な影響を与える

梶原先生が作った布を前に布で作ったジャケットを着て立つ梶原先生。作品の力強さとジャケットのきまり具合には驚かされる。

どれほど素晴らしい芸術家がいても、世の中に紹介する組織や人物がいなければ、才能は埋もれたままになってしまう。ミュージシャンを例に考えると、わかりやすいかもしれない。例えばヒットを連発しているMISIAの歌声は確かに素晴らしい、でも彼女を発掘したプロデューサーや、売り方の戦略を考えたレコード会社の面々、あるいはコンサートスタッフがいなければ、彼女はこれだけ有名になれただろうか?   

芸術家を支えるスタッフの充実が、芸術の振興に重大な影響を与える。これを疑う人はいないだろう。ところがほとんどの芸術系大学は、芸術家の育成に力を注いでも、プロデューサーやディレクター、あるいはアートマネージャーと呼ばれる人々の教育に関心を払ってこなかった。  

そんな状況下、玉川大学が動いた。2002年4月に芸術学部を新設し、芸術に係わる多様な人材を育成しようというのである。 芸術学部に新設される学科は二つ。演劇・音楽・舞踊など舞台などの上演を前提とした芸術表現を扱うパフォーミング・アーツ学科と、絵画・彫刻・工芸・デザイン・映像・コンピュータアートなどの視覚表現の芸術を扱うビジュアル・アーツ学科である。「卒業後は、芸術による社会貢献を目指してもらいたい」と、玉川大学芸術学科の島川聖一郎先生が語る通り、大学が考える卒業生の進路は、従来の芸術学部と比べると、格段に社会への関わりが強い

例えばパフォーミング・アーツ学科の場合、社会教育・生涯学習関連施設の芸術活動のインストラクター、舞台のプロデューサー・ディレクター・コーディネーター、文化施設・劇場の運営スタッフ、学芸員などまでを卒業後の職業として想定している。一方のビジュアル・アーツ学科も、アートディレクターやプランナー、映像メディアの企画・開発スタッフ、あるいは芸術文化関係財団の研究員、ファッション系のデザイナーや企画・営業スタッフまでを視野に入れている。このように挙げると、芸術をサポートする仕事がなんと多いことか!  

このような学生の幅広い将来設計に対応するために、新学部では選択科目を増やし、カリキュラムを比較的自由に取れるような工夫をしたという。また、教育課程の各段階に修得した技術や理論を発表する集中科目「パフォーマンス」「エキシビジョン」などを設定し、公演・演奏会・作品発表会を実現するためのプロセスを実習している。さらに、芸術活動の企画・運営面と表現・理論面を立体的に学ぶ機会を設けることで、芸術活動の多様性や社会性を体験的に学べるようにしているという。

外部から人を招いてのファッションショー

島川先生と梶原先生の学生がコラボレートした『ロミオとジュリエット』。演劇としての出来はもちろん、現代的な味わいを取り入れた衣装も大好評だった。

高度成長期に公共ホールなどのハードはかなり作られましたし、インストラクターや学芸員なども、少しずつ増えています。それでも、地域の要望にきちんと応えているわけではありません。例えば地方でミュージカルをやりたいといっても、誰も演出家を知らない、あるいは企画・制作・マネジメントをできる人がいない。つまり芸術と人との橋渡しをする人材が足りないのです」(島川先生)

「芸術と人との橋渡しをする人材」は、これまでもっぱら「現場」で教育されてきた。教育機関がなかったこともあるし、講義だけでは人が育ちにくいという側面もあった。そこで新学部では、講義や実習での学習成果を実践する場を設け、学生を教育しようとしている。

「私のゼミで染色やテキスタイルを学んだ学生と、演劇や音楽を学んだ学生でコラボレートして、ファッションショーを開催したいと考えています。ただ学生と先生だけで開催すると、互いの自己満足で終わってしまうので、外部から人を招待したいのです。  

学生同士が意見を持ち寄ることで、よりよいショーがどんなものかを考えることにもなるでしょう。曲目に合わせて、コスチュームが変わることだってあるかもしれない。あるいは照明によって、服の見え方の違いに気づくかもしれません。

デザインはもちろん、音響・照明・演出・制作、あるいはダイレクトメールなどのデザインまで学生がやることで、世の中の仕組みがわかってくると思うんですよ」  学生の実践する場について、このように構想を語ってくれたのは、芸術学科の梶原新三先生だ。

「やっぱり面白いことをしたい」

『ロミオとジュリエット』の舞台風景。学生公演とは思えないほどの美しさだ。

一つのショーを成功させるのは、プロ同士が集まっても大変である。ましてや学生同士。ますます大変である。指導する教授陣も、気が抜けないだろう。「いやいや、学生は四年間で相当の投資をするわけですから、それに見合う技術や力を身につけられるようにしますよ」と、梶原先生は笑った。  

驚いたことに、すでに島川先生と梶原先生は学生の作品をコラボレートしたことがあるという。島川先生の指導の下に演じられた『ロミオとジュリエット』の衣装を、梶原先生の学生が担当したのである。「いや、面白かったですよ。やっぱり面白いこと、楽しいことを、学生とともにやりたいですから」と梶原先生。

新しいコンセプトの学部をつくるのは、大変なことである。ところが2人の先生は、学部新設を心から楽しそうに語ってくれた。本当に面白いことを始めるぞ、という気概が取材していても伝わってきた。このエネルギーに四年間触れるだけでも、学生は成長できるのではないか。そんな期待が膨らんでくる新学部の誕生だ。

こんな生徒に来てほしい

島川聖一郎先生「芸術に関連した職業に就きたいと考えている学生は、ぜひ芸術学部に入学してください。学生の志望する進路に合わせたカリキュラムが待っています。 例えば舞台関係に進みたいと考えている学生には、キャストとスタッフの両方を経験してもらうカリキュラムが組まれています。そうしたなかで、キャストからもスタッフからも信頼される働き方を学べるはずです」

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。