早稲田塾
GOOD PROFESSOR

早稲田大学
商学部

守口 剛 教授

もりぐち・たけし
1957年新潟県生まれ。79年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。83年(財)流通経済研究所入所し現在に至る。流通経済研に勤務しつつ社会人院生として93年筑波大学大学院経営・政策科学研究科修士課程修了。96年東京工業大学大学院理工学研究科博士課程修了。97年立教大学社会学部助教授。98年同教授。05年早稲田大学商学部教授。95年日本商業学会賞・奨励賞受賞。日本消費者行動研究学会副会長。主な著作に『プロモーション効果分析』(朝倉書店)『価格・プロモーション戦略』(共編著)『マーケティング・サイエンス入門』(共著・前著ともに有斐閣アルマ)などがある
なお守口先生が主宰する研究室のWebサイトのアドレスはコチラ↓
http://www.f.waseda.jp/moriguchi/

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マーケティング・サイエンス研究の第一人者

守口研究室のある9号館建物
西早稲田キャンパスの正門

今週ご紹介する恩師は、長らくシンクタンク(財)流通経済研究所でマーケティング研究に携わってきた異色の経歴をもつ守口剛先生。その間四半世紀にも及び、この分野の本邦権威と目されてきた。そして、いま現在は早稲田大学商学部にて教壇にも立つ。

「マーケティングといいますと、よく販売戦略の一環と勘違いされがちなんですね。そもそもマーケティングとは、まず消費者のニーズ(需要)を探るところから始まり、それに合致する商品・製品を企画し、広告宣伝・価格設定をしたうえで販売を行ないます。さらに、その結果を次の製品企画にフィードバックさせるまでの一連のプロセスもふくめてマーケティングという範疇に入るわけです」

そうしたマーケティング研究も、現在は一歩進んで「マーケティング・サイエンス」の時代に入ったとも言われる。こうした新分野の研究でも日本におけるトップリーダーとされるのが守口先生その人だ。

「これまでのマーケティング活動といいますと、企画開発担当者の長年の経験からくる勘ですとか発想・ひらめきなどが重視される傾向がありました。しかし市場(マーケット)の変化の速度が速まり、さらに先の読みにくい時代に変わってきました。加えて情報・通信技術の発展によって、販売や消費に関連するデータが豊富に入手できるようにもなりました。職人芸に頼っていたマーケティングの意思決定をもっと科学的に行なっていこう――それがマーケティング・サイエンスの立場ということになります」

このうち守口先生が特に力を入れて研究しているのが「消費者行動の分析」だ。

「最近はコンビニエンスストアやスーパーマーケットで見られるようなPOSシステムが一般的になり、詳細な販売データが分析されるようになりました。さらにインターネットを利用して得られるようなさまざまなデータを分析することによって、企業側のマーケティング活動に消費者はどんな反応を示すのか? 広告投入量を増やしたり価格が変動すると購買行動にどんな変化が起きるのか?――そういったことを研究しています」

「また近年ではインターネット上での消費者のクチコミが影響力を持つようになったり、Webサイトのキーワード検索を促すテレビ広告をよく見かけるようになっています。マーケティングにおける言葉の重要性が注目されつつあり、こういったことも研究しています」

長年シンクタンクにあって実践的研究を続けてきた守口先生だけに、非常に論理的に語りつつも話すその口調に一切よどみがない。まさにプロフェッショナルのビジネスマンといった印象すら漂う。

具体的かつ実学的なマーケティング研究

初夏の季節の商学部建物群
早稲田大学中央図書館(総合学術センター)

守口先生がこの学部に着任して今年で3年目となる。早稲田の商学部の印象については次のように語る。

「早稲田大学商学部といえば、まずは学部としての規模の大きいことが特徴です。そのメリットとしては多様な分野の優秀な教員が揃っていることでしょうか。商学で扱う研究分野は大変に広いのですが、どんな分野であっても専門の教員がおりますからね」

ところで現役高校生諸君のなかには経済学部と商学部の違いについてよく理解していない人が多いのではないか? そのことを大いに心配する守口先生は両学部の基本的な違いについて次のように説明してくれた。

「経済学部においては、経済現象の法則や構造について研究します。それに対し商学部は、よりビジネス寄りの実学研究が中心で、研究内容もより具体的となります。現実のビジネスにおけるマーケティングなど身近な問題について研究するところが商学部の特徴なんですね」

大学卒業後はビジネスの第一線に立つ人が商学部出身者に多いだろうが、そのときこそ商学部で学んだことが大いに役立つはずとも語る。

前任ゼミ生から引き継がれる自主的精神

第1回パネルディスカッションにて

早稲田大学商学部のゼミ演習は3~4年次の学生が対象となる。早稲田における守口ゼミはまだ3年目だが、その活動は非常に活発で、学生たちの中で人気にも高いものがある。各学年20人を限度として受け入れているが、例年「入ゼミ」希望者が定員を超えて選抜になる。まずはゼミの基本的な活動から話してもらおう。

「3年次ゼミ生のグループ研究が主体となりますが、それぞれのグループごとにマーケティングに関するテーマを設けて研究し、その結果を発表し全体で議論を進めるのが基本です。さらにゼミのなかでディベートも行なっています。これは将来社会人になってからプレゼンテーションやディスカッションをする時のスキルを磨くという意味合いもあります」

活発な活動を誇る守口ゼミの一番の特徴といえるものに、学内での活動にとどまらずに学外での活動を積極的に展開していることがある。

「まずはインターゼミの『関東10大学マーケティング・ゼミ討論会』に参加しています。これは毎年マーケティングに関するテーマを設けて、参加大学のゼミがそれぞれ研究し発表して優劣を競うものです。この発表会にはテーマに関係する企業からも担当者を招いて審査に参加してもらっています」

「さらに毎年夏休み時期の『チャレンジプロ』と称する活動もやっています。これは、ゼミ生が実際の企業のいくつかに赴いて対象企業が抱えている課題について分析し、その結果を企業人に向けて発表するというものです」

「また最近になって、OBとゼミ生が中心になって『早稲田マーケティングクラブ』という組織も作られました。この組織を通じてゼミ卒業後もOBたちがマーケティングの勉強を続けていこうという目的のものです。つい先日第1回目の会合が開かれ、スーパーマーケット・成城石井の社長をお招きして私やゼミ生も参加してパネルディスカッションを行ないました」

いずれの話からも活発なゼミ生たちの様子が伝わってくる。そうした指導方針について守口先生は次のように語る。

「本来、勉強すること研究することは楽しいことです。とくに身近なマーケティングの研究はその面白さがよく分かりやすい研究分野といえます。学生やゼミ生にはそれらをよく感じ取ってもらい、私のほうから細かく言わなくても学生やゼミ生たちで主体的に動けるような指導をしていきたいと考えています」

最後に、ちょっといい話をひとつ。守口先生が前任の立教大学から早稲田大学に異動したとき、立教大学・旧守口ゼミのゼミ生だったメンバーたちが、新たに守口ゼミ生になる早稲田大学の学生たちにゼミ活動の内容や運営方法などを細かく伝授してくれたという。

「何事も新たにスタートすることには困難が伴いがちですが、彼らのおかげで新・守口ゼミの運営は初年度から密度の濃い内容で展開できました」

そう微笑みながら述懐する守口先生。いかに前任・立教大学のゼミ生たちに先生の人間性や指導法が慕われ、その心を動かしてきたのかの証左ともいえよう。」

こんな生徒に来てほしい

高校までと大学とではその学習方法は大きく違ってきます。高校までは決められたカリキュラムにしたがって勉強をしていきますが、大学ではいろいろな科目群から科目を選んでカリキュラムを自ら組み立てていきます。サークル活動なども含めて、自分で大学生活を設計して主体的な姿勢で臨むことが大切です。そういう自主的な意識をもった元気な学生諸君にぜひ来てほしいですね。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。