早稲田塾
GOOD PROFESSOR

駒澤大学
グローバル・メディア・スタディーズ学部

各務 洋子 教授

かがみ・ようこ
東京都生まれ。国際基督教大学大学院行政学研究科経営学専攻博士課程修了。米サンダーバード経営大学院で国際経営学修士(MIM)取得。スイスIMD研究員。米コンサルティング会社勤務などを経て駒澤大学教員。08年より現職。主な著作に『コンテンツ学』(世界思想社)『トランスナショナル時代のデジタル・コンテンツ』(慶應義塾大学出版会)『経営学基礎』(中央経済社)などがある(著作はいずれも共著)。

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企業現場からの真にグローバルな経営戦略論

各務研究室のある駒澤大学「第一研究館」
梅雨の晴れ間の駒沢キャンパス正門付近

駒澤大学で最も新しい学部である「グローバル・メディア・スタディーズ(GMS)学部」が開設されたのは06年。同大に新学部が誕生したのは実に37年ぶりのことで、カリキュラムを編成するなど新学部を作り上げる中心となったのが、学部設置準備室長を務めた各務洋子教授なのだ。

「当時のわたしは経営学部の助教授職でもありまして、そちらの講義やゼミを持ちながらの新学部立ち上げになりましたから、それは大変でした。いままでに存在しない学際的な学部という高いレベルを目指していましたので、非常な激務で一時は過労から声が出なくなったりしたんですよ」

経緯を振り返る各務先生の言葉から、この学部が生まれるまでの苦労の程がしのばれる。つぎに現在のGMS学部(グローバル・メディア学科のみの単科学部)の特徴について語ってもらおう。

「この学部の理念は、地球規模の大きな問題に取り組めるような学際的な知識をもった人材の育成です。したがって学部名の『グローバル』は地球規模の視点で問題をとらえ、道具としての『メディア』を上手に使いこなし、問題解決の道を学際的に研究あるいはその手法を学ぶという意味で『スタディーズ』という意味となっています」

具体的には、学生は経営・経済・政治・社会・情報・文化など8分野の科目から自由に授業を選択して受講でき、さらにネイティブスピーカーの教員による英語教育の充実、実務家との共同講義、プロのクリエーターの特別授業、海外留学への積極支援などの制度がさまざまに用意されている。

「いま最上級生が3年次になり、いよいよ就職活動が始まります。その結果がこの学部の最初の正念場ですね」

……と、GMS学部の生みの親である各務先生は表情を引き締めてそう語る。

企業コンサルタント経験を踏まえた実践的経営戦略

昼休みのひとときの駒沢キャンパス全景

先生自身の専門は「経営戦略論」である。若き日はアメリカのコンサルティング会社に勤務し、コンサルタントの実務を経験した。したがって研究もより実践的だ。

「わたしの研究分野は企業論・企業戦略論です。その根本には企業が継続して成長するような経営戦略の構築があります。中小零細企業から大企業まで、どのような規模の企業であろうと、そこには例外なく人が働いています。その現場で働く人たちが、いかにやる気をもって効率的に夢の実現に向かって人生を向上させているか? それらが企業の継続的な発展に反映されるというのが私の考え方の基本となります」

企業にはそれぞれ個性的な顔があり、それを際立たせていくのが各務先生の経営戦略論になる。また、先生にはこんな持論もある。

「わたしが考えるグローバルのプロセスとは、『結果としてのグローバル』です。企業の現場でのモノづくりにおいて最初からグローバルに売れることを第一の目標に掲げることはほとんどあり得ないと思います。自分たちの持つ技術・技能を駆使し、地球規模で求められるようなより良い製品づくりを地道に心がける。それが結果として世界の人々に認められて、やがてグローバル化していく。こうした道をたどる企業は100年・200年と成長を続けています」

エジソンの偉大な発明品の数々も、大ヒットしたソニーの「ウォークマン」も、そうしたプロセスをへてグローバル化された好例だという。

「ですからグローバル化は独自性の追求、さらには技術的・技能的にいいものを徹底的に深く掘り下げていく結果として成立していくわけです。深掘りすることは日本人の得意分野ですから、これをさらに徹底すればグローバル化にもまた成功するという事実を知るべきですね」

そう各務先生はきっぱりと言い切る。その自信は、企業コンサルタント時代にひたすら生産の現場を見て歩いた経験から得た理論に発するようだ。

オンリーワンの強みを持ってこそ社会に貢献できる

学生たちの知を支える大学附属図書館

GMS学部のゼミは2年次から始まり、卒業までの3年間同じところに所属する決まりである。各務ゼミでは例年20人ほどを受け入れ、「現代企業とグローバル経営戦略」をテーマに調査研究している。そのプログラムの充実ぶりには定評があって、先生自身も「3年間では時間が足りない」と語るほどだ。

「プログラムの骨子ですが、まず2年次前期はビジネスゲームをやります。これは米ハーバード大学で開発された古典的なもので、鉛筆を使って会社経営の現実を体感してもらいます。後期は業界構造分析で毎年度ひとつの業界(08年度は金融業界)を選び、ゼミ生がコンサルタントになってそこを詳細に分析して冊子にまとめ上げます。この冊子は後半就職活動のバイブルとなります。3年次は個別企業の研究で、3週間で1社について深く分析し、就職活動が始まるまでに10社ほどを取り上げます。そして4年次が卒業論文という段取りですね」

これに加えて、毎回「30分間ディベート」や「30秒&60秒ショートスピーチ」を実施し、自らの主張を的確に短く表現する訓練が繰り返される。充実した研究に加えて討論の訓練があれば、就職活動にも万全の態勢で臨めることになる。GMSからはまだ卒業生を出していないが、先生の前任である経営学部でのゼミは「学部で一番就職率のいいゼミ」ともいわれ、「氷河期」をはさんで就職率ほぼ100%。それも大半が一部上場企業へ就職という実績を残してきた。

そしてインタビューの最後に、学生たちへの指導方針についても語ってもらった。

「楽をするのが実は楽しいことでは決してないということ。苦労して苦しんだ果てに成し遂げたときの喜び、それこそが人生至上の楽しさだと知ってほしいですね。それと、自分の強みをさらに高めていきたいとの情熱がある学生に育てたいですね。なぜならば、その人本人しかできない強みをもつ人は、社会にとって必要な存在とイコールであり、それこそが人間として生まれた大きな社会貢献にも繋がるからです」

各務先生が学生指導にかける情熱は身にあふれるばかりのエネルギーに満ちていて、こちらが圧倒されそうな迫力であったことを記しておこう。

こんな生徒に来てほしい

信頼できる人、チームワークの取れる人、情熱的な人、努力をする人、自らの志の高い人。そういったところでしょうか(笑)。自分の強みをさらに高めたいといった情熱や向上心をもつ人は、自らの将来に夢をもって生きていける人と同じことを意味します。ですから、まず夢を持ってください。そこから自分の強みを発見し、それを高めていくという方法もあります。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。