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GOOD PROFESSOR

東京農業大学
農学部 農学研究所

岡島 秀治 教授

おかじま・しゅうじ
1950年大阪生まれ。’78年東京農業大学大学院農学研究科博士課程修了。’87年
東京農業大学農学部助手。’89年同講師、’95年同助教授。’00年同教授。’08年より
学部長。 著作は『ニューワイド学研の図鑑 世界の昆虫』(学習研究社)『学研の図鑑』(ポケット版12冊セット・学習研究社)『ぜんぶわかる世界のカブトムシ・クワガタムシ』(共著・成美堂出版)など多数。
岡島先生らが主宰する「昆虫学研究室」のURLアドレスはコチラ
http://www.nodai.ac.jp/agri/original/konken/index.html

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世界的権威の「昆虫博士」

岡島研究室のある東京農業大学「研究棟」
農業研究施設に囲まれた東京農大キャンパス

神奈川県厚木市郊外に位置する東京農業大学の農学部キャンパス。この、農学部について学部長でもある岡島秀治先生に話を伺った。

「農学部の目的の基本は食糧です。これから将来にわたって安全な食糧をどう安定的に生産していくのかが研究の基本になります。本学は建学の精神に『実学主義』を掲げていまして、実験・実習に力を入れ、よく身体を動かすこと、また、農業や畜産には天候など状況に応じた判断が大切ということで、的確な状況判断のできる人材の育成にも力を入れています」

同大農学部は長く「農学科」と「畜産学科」の2学科制が敷かれていたが、’06年度から「バイオセラピー学科」が開設された。動植物の飼育や栽培・観賞などを通し、それに直接触れ合うことで心のケアをするバイオセラピーについて研究する学科で、今後の動向が各方面から注目されている。

さて、岡島先生の専門は「昆虫学」と「動物系統分類学」。つまりは昆虫博士である。とくに「アザミウマ類」の研究では世界的な権威として知られる。

「わたしの研究分野は基礎昆虫学になりまして、昆虫の形態をはじめ分類や系統・生態等について研究する分野です。この分野は非常にローテクノロジーの世界なのです。顕微鏡1台あれば何でも出来てしまいますからね(笑)」

主要研究テーマである「アザミウマ」研究について語ってもらった。

東京農大厚木キャンパスの全景
キャンパス内には「農の博物館」もある

「アザミウマといいますのは、非常に小さな昆虫でして、一般的には体長2㎜以下の種が大半です。ほとんどの種は植物に害をもたらさないのですが、約3%の種だけが農作物に害を及ぼす害虫とされています。中でもひどいのはウイルス病を媒介するアザミウマでして、このウイルスに冒されると対処の方法がなく、廃棄処分するしかありません。その被害は甚大なものになりますから、アザミウマの天敵を探し出すことが私の研究目的になります」

アザミウマは地球上に約5000種いるといわれ、そのうち日本には約500種いるだろうと推定されている。岡島先生は日本と東南アジアをフィールドに採取・分類作業をしているが、これまでに発見した新種は500種にのぼるという。なかには海外の研究者が岡島先生に敬意を表して、学名に先生の名前を冠してくれた種もあるそうだ。世界の権威たるゆえんである。

このほかにも、肉食昆虫のサシガメを他の害虫の天敵として使えないかどうか、あるいは食品に混入する害虫の混入経路の追跡調査なども研究内容である。

昆虫を扱う世界最大の研究室とは

東京農大キャンパスからの厚木市内の眺望

岡島先生は学科内で「昆虫学研究室」を主宰しており、そのメンバーは90人を超える。その内訳は大学院生14人・学部生約80人で、90人を超える研究室は東京農大で最大であることはもちろん、昆虫を扱う研究室としては世界でも最大だろうともいわれる。
農学科では学部生の研究室入りは3年次からという決まりだが、岡島先生は1・2年次でも希望すればメンバーに加えている。自らが研究室入りを希望するということは、それだけ昆虫が好きでモチベーションの高い人が多いはず――そういう先生の考えからだ。研究室での指導方針については次のように語る。

「基本的には基礎的な知識の習得に重点を置いて指導しています。卒業するまでに基礎昆虫学の知識を自分のものにしてほしいわけです。そうすれば、社会に出て昆虫を扱うときにどんな局面でも対応できるはずです。また、私を含めた教員たちの研究姿勢や方法なども、学生たちにはよく見ておいてほしいですね」


東京農大厚木キャンパス内には附属施設「農の博物館」があり、この管理を担当しているのも岡島先生である。先生の案内で筆者も見学させてもらった。館内にはチョウ類とカブトムシ類の標本がびっしりと展示され、その数に圧倒される。この大量に展示されている標本のほぼ全てが、なんと先生ひとりの手によるものなのだ。

光村図書の出版による小学3年生用の「国語」の教科書に、岡島先生がオトシブミの生態について綴った「虫のゆりかご」が’92年から’04年までの13年間にわたって掲載された。
いま東京農大には、岡島先生のその一文に心を動かされ、小学生のころから同大学農学部昆虫学研究室を目指してくる学生が幾人もいるという。こんなところでも、次世代の昆虫博士たちはその芽を伸ばそうとしているのだ。

こんな生徒に来てほしい

まず、目的をもって大学を選んでほしいと思いますね。そのためには自分がめざす大学の内容についてよく調べ、その大学に進めば何が学べるのかをしっかり確認することが大切です。その意味で、東京農大も特別な目的をもった人のための大学ですから、偏差値的にたまたまピッタリだからといった動機だとのちに後悔します。よく調べてから来てほしいですね。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。