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GOOD PROFESSOR

獨協大学
法学部 法律学科

常岡 史子 教授

つねおか・ふみこ
1958 年京都府生まれ。’ 92年京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。’97年帝塚山大学法政策学部助教授。’01年同教授。’03年より現職。’07年米ペンシルベニア大学ロースクールで学外研修。LL.M.(法学修士)取得。東京家庭裁判所調停委員。主な著作に『基本民事法』(共編著・成文堂)『私法秩序の構造』(共著・有信堂)『はじめての家族法』(編著・成文堂)などがある。

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新たなる貧困・困難に対応する「家族法」研究

常岡研究室のある中央棟建物
獨協大学草加キャンパスの正門

今回ご登場願う獨協大学法学部教授の常岡史子先生は、1年余の米大学での学外研修を終えて、教壇に復帰したばかりである。その学外研修については後からお聞きすることにして、まずは獨協大法学部の特徴から伺った。

「獨協大学法学部は法律・国際関係法・総合政策の3学科からなっています。本学全体として外国語教育に力を入れていまして、法学部からも海外に留学する学生さんの多いのが特徴です。そのため海外留学の奨学金制度も用意されていますし、1年間の海外留学を含めても4年間で卒業できる制度なども整備されています」

その法学部のうち常岡先生の所属は法律学科である。この学科については――

「この法律学科では、学部の授業だから教養的な知識さえ身に付けばいいというのではなく、憲法や民法・刑法をはじめとした、基本的な法律知識全体を習得できるカリキュラムが組まれています。私たち教員もそれに沿って指導を行っています」

卒業後、企業の法務部に就職しても困らないだけの専門知識が身に付くはずだとも。また獨協大には法科大学院も併設されており、将来法曹界へと進む道も開かれている。

現実の家族内問題を踏まえた「親族法」「相続法」

獨協大学キャンパス点描
図書館等が入る「天野貞祐記念館」

常岡先生のご専門は「家族法」。とくに「親族法」と「相続法」を専門としており、これらを扱うのは、日本の法律上「民法」ということになる。

「家族内の諸問題というのは個々のプライベートなことだと思われがちです。しかし実は法律の世界においては、家族の安定が社会全体の安定につながるという考え方に沿って、非常に重要な位置を占めています。家族が離散したり、生活の維持ができなくなったり、不当に住む所を喪失するなど、こうした古くて新しい事態に至ったとき、法律の網をかけて家族の生活の維持に国が力を貸す仕組みになっています。それが家族法ですね」
「わたしの研究テーマは、日本のいまの家族に対する親族法の、一般的および具体的な妥当性の追求ということになります。つまり、社会規範としての法の役割に注目して、社会通念に照らした一般的な妥当性と、その法を現実の家族に適用するときの具体的な妥当性をいかに両立させ、確保するかについて研究しています」
「さらに相続法に関する問題は、いまの家族紛争の中で、最も深刻です。相続は家族間だけでなく兄弟・親戚なども絡みますから、解決困難に陥って調停成立までに5年や10年かかる例もあります。そこで、相続法をベースにしながら、法律の条文による一律解決ではなく、当事者全員が納得のいく公平な解決方法について、研究をしています」

常岡先生は東京家庭裁判所の調停委員も兼務しており、現実の家族間紛争に関する調停の豊富な経験がある。研究はその現状に即してなされ、それが講義やゼミ演習指導にも反映されている。

さらに先生の研究には、日本の家族法と諸外国の家族法との比較研究もある。これまでは、ドイツを中心とした大陸法との比較が中心であった。’07年夏から1年余りのアメリカ学外研修では、ペンシルベニア大学ロースクールに通って英米法における家族法と日本の比較研究をおこなってきた。

「日本の民法(家族法)はヨーロッパの大陸法の系列にあります。今回の学外研修では新たな視点を得ることを目的として、英米法の民法との比較をテーマにして研究しました。あらためて分かったことは、日本の家族法は戦後アメリカの主導で作成されていますので、かなりアメリカ流の法理念が取り入れられた内容になっていることです。もちろん違いもたくさんあり、顕著なのは遺産相続でしょう。アメリカは遺言による相続が中心であることや、信託の利用が多いのが特徴的です。これに対して日本では、大半が法定相続によって遺産が承継されているところですね」

大陸法での裁判は法律の条文に沿って判断が下される。一方で英米法における裁判は判例主義にのっとり、裁判官の判断が重視される。今回の海外研修でそのダイナミックな裁判の様子を知ることができたのも大きな収穫だと語る。

議論が積極的に飛び交うゼミ発表を求める

獨協のローマ字表記ロゴが目立つ

獨協大法学部のゼミ演習は3・4年次の学生が対象で、両年次合同でゼミ授業は行なわれる。(昨年度と今年度は学外研修のため休講)
「わたしのゼミでは3年次・4年次のゼミ生を交えた4人ほどのグループをいくつか作り、グループ研究を中心にゼミ生主体で運営がなされています。グループごとに家族法の範疇からテーマを設定して研究し、ゼミの時間に順番に発表するスタイルで進められます」


「研究成果であるレジュメと発表についてはレベルの高いものを学生に求めています。発表で判例・学説の研究が一定レベルに達していなかったり、あるいは私からの質問等に対応できなかったりするようでしたら、もう一度はじめから研究をやり直してもらうようにしています。ゼミ生にとっては決して楽勝のゼミではないようですよ(笑)」

獨協大法学部そしてゼミ演習には卒業論文が義務づけられていない。それだけに先生のゼミ指導にも力が入るようだ。その指導方針については次のように語る。

「これは本学の学生に限らないのでしょうが、非常にまじめな人が多い反面で、少し受け身的な学生さんが最近多いような気がします。そこで私のゼミでは、ゼミ生が積極的な質問をするように意図的に仕向けています。質問もせずに研究内容もレベルに達していないときは、こちらから厳しい質問攻めにして、自分で考えざるを得ない雰囲気を作ってあげるのです」

そうやってゼミ生たちのやる気や積極性を引き出しているという常岡先生。大学法学部に進学し、こんな一生モノの恩師に鍛えられることは貴重な経験になるに違いない。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。