早稲田塾
GOOD PROFESSOR

首都大学東京
都市教養学部

白石 賢 教授

しらいし・けん
1962年神奈川県生まれ。’85年一橋大学経済学部卒。’85年日興證券(現・日興コーディアル証券)入社。第一金融法人部・転換社債部勤務。’88年経済企画庁(現内閣府)入庁。調整局調整課・総合計画局・調査局景気統計調査課などを歴任。’01年省庁改編で内閣府参事官補佐。’02年内閣官房・鴻池国務大臣秘書官。’03年内閣府・経済社会総合研究所・企画官(経済財政諮問会議)などを歴任。’08年より現職。主な著作に『企業犯罪・不祥事の法政策』(成文堂)『企業犯罪とコンプライアンス・プログラム』(共著・商事法務)『景気循環と景気予測』(共著・東京大学出版会)などがある。
白石先生が主宰する研究室のURLアドレスはコチラ → http://www7b.biglobe.ne.jp/~shiraishi-ken/

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法・経のリンクで最適システムが見えてくる

白川研究室のある首都大2号館
キャンパス建物群

4つの学系(①人文・社会系②法学系③経営学系④理工学系)からなる首都大学東京の都市教養学部(単科学部)には、これとは別に「都市政策コース」という

インセンティブ要素を法制度設計に取り込んでみると

キャンパス中庭のモニュメント

先生のご専門は「法と経済学」。この2つのテーマを同時に研究している研究者は少なく、非常に稀有な存在として注目されている。

「大学において経済学を専攻して学びましたが、個人的には法学にもずっと興味がありました。むしろ関心の高さは法学のほうが上であったかもしれません(笑)。旧経済企画庁での仕事は、マクロ経済学をベースにしたものが中心でした。しかし、一時は経済問題の法制度を扱う部署に配属になりまして、そこで法と経済学とが本格的にリンクすることにもなったのです」

この経験をキッカケに、白石先生は「法と経済学」についての研究論文を次々に発表する。やがて学界においてもその存在が認められるようになっていく。

「やがて公益通報者(いわゆる内部告発者)の問題など、企業犯罪についての研究に取り組むようになりました。近年になって、企業をめぐる犯罪や不祥事が頻発していますが、その根底にあるのは、企業の『もうけたい』『損をしたくない』という根源的な想いです。ただ、これも発覚したときのリスクが大きすぎる。最悪のケースでは倒産もあり得ますし、倒産に至らなくとも、社会的信用を取り戻すまでのコストが膨大なものになってしまいます。企業犯罪や不祥事による儲けと発覚後のコストについての分析――これが私の最近の研究になっています」

実際の経済活動に欠かせないものに、インセンティブ(個人や企業の活動を活発にするための動機づけや刺激)、あるいはディスインセンティブがある。そうした人間的な要素を諸制度に組み込むことで、企業犯罪や不祥事の抑止につなげたいとも語る。


そして先生が属する都市政策コースは、「プロジェクト型総合研究」というユニークな講義があることでも知られる。

「これは学生たちをグループに分けて、毎年度ごとにテーマを決め、現実の自治体の施策をモデルに取りあげて、比較検討していくものです。文字どおりの学際的なグループ研究で、コースの全員が参加することになっています。まだ試行錯誤の段階ですが、試みとしては非常に面白く、学生たちにも評判がいいようです」

ちなみに’07年度の研究テーマは「景観形成とまちづくり」、’08年度は「都市の機能再編と活性化」であった。

「法と経済学」を跳び超え自立的・学際的に学ぼう

首都大学東京正門のプレート

首都大学東京・都市政策コースのゼミ演習は3年次から始まる。同コースの学生定員の15人に対して、専任教員は5人。おのずとゼミ生3人ほどの「少人数制」体制となる。これ以上恵まれた学習・研究環境はちょっと考えられないだろう。

「現代経済学は、難解で取っつきにくい学問という印象を持たれがちですが、じつは人々が行動するインセンティブの問題、つまり人が満足を求めて行動する、ということを数式で表わして理論を構築しているに過ぎないのです。3年次前期は、このインセンティブを中心に学んでから政策・制度の設計のあり方について考えます。後期は、4年次の卒業論文に向けて個別研究に入ることになります」

学生の指導方針については――

「『法と経済学』とうたっていますが、あまり専門カテゴリーにとらわれずに、様々なテーマや課題に興味をもってほしいと思っています。それが学際的ということにもなります。そもそも大学とは、高校までと違って『教えてもらう』ではなく『自ら考える』ところです。そこをしっかり認識して積極的に学んでほしいと指導しているつもりです」

こんな生徒に来てほしい

小学生の低学年の頃というのは、どんな子でもみんな目をキラキラさせて未知のことに何にでも興味を示します。「算数ぎらい」も「勉強ぎらい」も最初からそうであったわけでなく、他人との競争主義に染まって受験のことを考えるようになってから「勉強=苦行」になってしまったわけです。大学生になるということは、受験から解放されて、ある意味では心配がひとつ無くなるわけですから、人間本来の知識欲あふれるあの「目のキラキラ感」を取り戻して来てほしいと思いますね。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。