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GOOD PROFESSOR

東京工科大学
応用生物学部

浦瀬 太郎 教授

1967年京都生まれ。’95年東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻博士課程修了。’95年東京大学大学院工学系研究科助手。’99年東京工業大学工学部土木工学科助教授。’08年より現職。土木学会環境工学研究フォーラム奨励賞(’95・’06年の2回受賞)、土木学会全国大会優秀講演者(’98年)、水環境学会論文奨励賞(’06年)、クリタ水・環境科学研究優秀賞(’07年)など受賞多数。主な著作に『造水技術ハンドブック 2004』(造水促進センター)『技術は人なり―プロフェッショナルと技術者倫理』(前著ともに共著・丸善)などがある。

浦瀬先生が主宰する「水環境工学研究室」のURLアドレスはコチラ →
http://www.teu.ac.jp/info/lab/project/bio_dep/154.html

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水処理研究における新進気鋭のトップリーダー

浦瀬研究室のある「片柳研究所棟」
新春の東京工科大八王子キャンパス

東京工科大学八王子キャンパスを初めて訪れた人は、その広大な敷地を使った建物群の整然たる配置と、それぞれの建物に凝らされたデザイン意匠に驚きの声をあげることだろう。今回ご紹介する同大学教授の浦瀬太郎先生も――

「わたしも昨年赴任してきた時、きれいなキャンパスに正直びっくりしました」

そう絶賛する。そんな浦瀬先生の所属する応用生物学部の特徴からお話しを伺った。

「この学部はバイオテクノロジー・環境生物・先端食品・先端化粧品の4つのコースから成っています。そのうち先端化粧品コースは、他大学にはない大きな特徴といえます。また、IT教育の環境が充実していますね。リナックス(Linux)を学生全員のパソコンに搭載させて、高度なプログラム演習が行なわれています」

「私が所属する環境生物コースの特徴は、バイオテクノロジーを駆使したハイテク研究が中心になっているところです。わたし自身の研究は水処理ですので、ハイテクというよりはハイテクとローテクのミックスです」

環境問題にとって重要な「水処理研究」

書店コンビニなどが入る“FOODs FUU”

そう言って笑う浦瀬先生。しかしまた、水処理は環境問題を代表するテーマだという自負はある、とも語る。浦瀬先生の専門とする水処理は、学問カテゴリーとしては「環境衛生工学」「上下水道学」となる。

これまでに数々の受賞歴を持つ先生だが、そのなかに、廃棄物処分場から浸出するビスフェノールAの研究があり、処分場が巨大な熱化学反応器と化しているとの調査結果がある。これは世界初の実証ともなり、当時マスコミにも取り上げられた。

また、最近主に取り組んでいる水処理研究においては、若手国内トップリーダーの三指に入る研究者と目されてもいる。そこで、浦瀬先生に最新の水処理技術の研究概要について伺った。

「上下水道における水浄化処理のことを、一般に水処理といいますが、わたしは主に、膜分離技術(ろ過膜によるろ過処理)による水処理を研究しています。ろ過膜には細密な孔が開いていて、水がそこを透過することで不純物が取り除かれ、浄化された水が排出される仕組みです。ろ過膜の孔の大きさによって、精密ろ過(0.1マイクロメーターくらい)からナノろ過(1ナノメーターくらい)まで、分離するサイズに応じた膜があります」

現代の科学技術をもってすれば、どんな汚染水でも限りなく真水に浄化するのは可能だという。しかし、それには設備設置と維持管理に膨大な費用がかかり、おのずから限度がある。そこで水の浄化目的に応じて、使用する膜の種類を適切に選択するのが先生たちの研究だ。

世界中だれも注目しない方向から微量物質を攻める

最新設備を誇る「研究棟」A・B棟

また近年は、水中に含まれる微量物質の検出や、除去実験にも挑んでいる。

「この水中の微量物質というのは、一般家庭から出される医薬品や化粧品、それに含まれる、いわゆる環境ホルモンやダイオキシンなど様々で、ベンゼン・トルエンなどの簡単な構造の分子も問題になるときがあります。先ほどのビスフェノールAの話にもつながりますが、こうした微量物質の水環境中での挙動調査と、その除去技術について研究しています。この除去技術には、ナノろ過とバクテリアによる生物処理を複合して試みています。いま特に力を入れているのは水環境における医薬品の挙動の研究です」

さらにその延長として、処理場での浄化処理後の水や、河川の臭気調査に関する研究も始めている。

「ところが、これが簡単ではありません。水中に含まれる物質と臭気の相関がよく分かっていませんし、最終的には人間がにおいを嗅いで、臭気を判定することになります。そのにおいが芳香であるのか悪臭であるのかは、機械による分析ではなかなか分かりません」

水の臭気について一般の関心は高いとしても、理屈で説明できないところが多いためか、研究者が少ないのも実情らしい。

環境問題はデータがすべて。ウソはつくな!

ガスクロマトグラフィー質量分析計で分析中の先生

東京工科大学応用生物学部に所属する学生は、3年次後期から各教員が主宰する研究室に配属される。そして3年次後期は文献講読などで基礎知識を身につけ、4年次になるとそれぞれの卒業研究に取り組む。

東京工科大学教授として浦瀬先生が赴任した昨年度、後期に13人の3年次学生が研究室入りをした。彼らが浦瀬研究室第1期生であり、この4月から、それぞれ卒業研究段階に入った。

「13人の学生たちは、水と環境問題に対して高い関心を持っています。卒研は、水処理や水分析などの分野から私がいくつかのテーマを挙げて、その中から関心のあるものを学生が選ぶという方法でやっています」

あらためて学生たちへの指導方針については次のように熱く語る。

「科学者はウソをつくな! ということに尽きますね。私たちが扱っている環境問題はデータがすべてで、そのデータで証明し、語らせるしか方法がありません。肝心のデータを改竄したり捏造したりすることが、最も許されないことです。思うように研究が進まないことも多々ありますが、正直であることが一番大切です。なにか困ったことが起きたり、問題が発生したときは、すぐに私に相談するように、日ごろから言っています」

こんな生徒に来てほしい

理科系の学生であっても様々なジャンルの本を読んでほしいですね。水処理の研究などをしていましても、理科系の雑学書籍(専門書でなくとも)が、意外なほどに参考になることが多いです。ですから本が好きな人は水処理研究に向いているかもしれませんね。

それに歩くのが好きな人ですね。あちこち歩いて現場を見て調査をして、それで初めて発見・実感できる環境問題というものもあります。また、歩くのが好きという人は、飽きずに物事を追究できる素質をもった人だとも思います。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。