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GOOD PROFESSOR

國學院大學
文学部 日本文学科

諸星 美智直 教授

1960年東京生まれ。’87年國學院大學大学院文学研究科博士課程後期単位取得満期退学。’87年徳島文理大学短期大学部専任講師。’90年國學院大學文学部専任講師。’93年同助教授。’01年同教授。’04年より現職。主な著作に『近世武家言葉の研究』(清文堂)『世界一難しい漢字を使う日本人』(共著・トランスワールドジャパン)『言ってはいけないおかしな日本語』(監修・ぶんか社)などがある。
諸星先生が主宰する研究室のURLアドレスはコチラ →
http://www2.kokugakuin.ac.jp/~moroho/index.html

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日本語学と日本語教育学とを同時研究する意義

諸星研究室のある「若木タワー」
手前が学術メディアセンター、奥が若木タワー

國學院大學文学部日本文学科の諸星美智直教授は、短い質問に速射砲のような早口の答えがバンバン返ってくる、情熱的かつエネルギッシュな先生である。

そんな諸星先生の研究テーマは「日本語学」と「日本語教育学の研究」だ。通常、ひとりの研究者がこの双方について研究している例は少ないそうだ。まず、そのあたりから伺った。

「ふつう日本語学と日本語教育学は分けて考えられていまして、ひとりで同時に研究している例はあまり多くないようです。一教員としても、この両学に精通した人材を育成したいと考えています。つまり、日本語の研究をして専門的な質問に答えられ、日本語教授法についても学んだ日本語教師の育成ですね」

日本語学とは、日本語の発音や文字・表記・文法・語彙・方言・日本語の変遷などを研究する学問分野である。日本語教育学のほうは、日本語を母語としない人(主に外国人)に対する日本語教育について研究・実践指導する学問分野である。

「わたしが日本語学で研究しているのは、明治末期に中国人(当時は清国人)留学生を受け入れていた、『弘文学院』で使用されていた日本語教科書についてです。これを研究していますと、明治期の日本語は、江戸期までと現代をつなぐ過渡期の言葉であったことがよく分かります」

弘文学院の日本語教育には当時の國學院大學の卒業生たちが協力していて、諸星先生も母校の先達の研究だけに自然と熱が入るようだ。同学院は、後に作家になる魯迅が学んでいたことでも知られる。また、日本語教授法で諸星先生は、その指導法の研究と同時に、國學院大學で学ぶ外国人留学生に日本語を教授する任にもあたっている。

江戸期における「武家ことば」研究の第一人者として

渋谷キャンパス正門と3号館は工事中
西門付近より渋谷キャンパス点描

もうひとつ先生の研究には、他の追随を許さない研究分野がある。それは江戸期の武家ことばの研究で、先生がこの分野の第一人者であることは自他ともに認めるところだ。

さらに、諸星先生は学会として「国学院大学日本語教育研究会」や、学生と院生を対象にした「日本語教科書研究会」を主宰し、また本年度から大学院に開設された「高度国語・日本語教育コース」の中心メンバーになるなど、その研究と教育指導の幅はとてもひろい。

次に、諸星先生が所属する文学部の日本文学科と、日本語学専攻の特徴について語ってもらおう。

「何といっても歴史があって、伝統があるということですね。明治15(1882)年に本学の前身である皇典講究所が開設されて以来、国語教員と日本語教師を多数養成し、輩出した歴史は誇れると思います。それとともに国語教育と日本語教育の研究にも力を入れてきまして、こちらにも同じ歴史と伝統があります」

「日本文学や日本語学・伝承文学について、その研究・教育の規模の大きさでは、わが国最大と言ってもいいのではないでしょうか。教員も各分野の専門家がそろえられ、たとえば日本語学専攻では古典語から現代語まで、日本語教育を専門とする教員が5人在籍しております。各専攻・課程ともに、必要な分野の教員はすべて揃っているといっても過言ではありませんね」

國學院大學日本文学科は、日本文学・日本語学・伝承文学の3専攻と書道1課程から成り、日本語と日本文化について学びたいと希望する学生を失望させることはない陣容だとも語る。

日本語学と日本語教育学の双方の研究者を養成したい

印象的な國學院大學の校名ロゴ

國學院大學日本文学科では3年次・4年次学生を対象にした卒業論文指導が行なわれる(卒論は必修ではなく選択)。

「わたしが指導する卒論では、近世から近代における日本語および日本語教育に関するものであれば、テーマは何でもOKということにしています。学生はそれぞれに関心のあるものを選んで、卒論作成に挑みます」

諸星研究室の「08年度学部卒業論文題目」という資料を見ると、そのテーマの広がりには驚嘆させられる。参考までに一部を紹介すると、「ビジネス日本語教科書の敬語表現」「明治期から戦前の日本語教科書」「洒落本」「唐詩選国字解」「噺(落語)の上方・江戸比較」「ら抜き言葉 さ入れ言葉」「漱石作品英訳の接続詞」等々といった卒論テーマが続く。

その指導方針については――

「なんといっても、日本語学と日本語教育学の双方にわたって研究できる人材の養成が一番の目標です。ただし、その双方には関心がないという人は、どちらか一方だけを学ぶことでも可としています。卒論に関しましては、江戸期や落語など、趣味的な研究も結構ですが、できれば将来の職業に結びつくテーマでの研究を推奨しています」

最後に諸星先生は、日本語教師をめざす人のために、あるヒントをくれた。

「これからの日本はますます少子化時代を迎え、海外から多くの人材が、移民などとして来ることが予想されます。また、邦人企業の海外進出に伴い、現地で採用される人材も増えてくるでしょう。そうした人たちの間で日本語習得熱が盛んになることが想定され、日本語教師の需要は、増えることはあっても減ることはないでしょう」

「そこで注意をしないといけないのは、誰もがそれぞれの目的をもって学びに来るということです。日本で介護の仕事に就きたい、日本に留学して経済を学びたい、海外の法人企業で働きたい――そうした個別の目的を汲みとって、現実的な指導をしていくことが大切になります」

こんな生徒に来てほしい

やはり日本語や日本文化に関心のある人ということになりますが、同時に、世界のことにも関心があって、国際交流などに積極的に参加するような人がいいですね。これからの時代は否応なく国際化していきますから、そうした認識が重要だと思います。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。