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GOOD PROFESSOR

東京電機大学
情報環境学部

柴田 滝也 教授

1965年静岡県生まれ。’89年東京電機大学工学部電気工学科卒。’91年電気通信大学大学院電気通信学研究科修士課程修了。’96年英ロンドン大学大学院博士課程(建築学専攻)Ph.D取得。’96年科学技術振興事業団特別研究員。’99年NEDO(経済産業省所管〈独〉新エネルギー・産業技術総合開発機構)研究員。’02年東京電機大学情報環境科学部助教授。07年同情報環境学部准教授。’08年より現職。主な著作に『都市・建築の感性デザイン工学』(共著・朝倉書店)がある。
柴田先生が主宰する「メディア環境デザイン研究室」のURLアドレスはコチラ → http://www.med.sie.dendai.ac.jp/top.html

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「感性工学」研究の国内トップリーダー

柴田研究室のある14号館「研究棟」
千葉ニュータウンキャンパス正門

東京電機大学の千葉ニュータウンキャンパス(印西市)は、広大な敷地にあふれんばかりの緑に彩られたキャンバスだ。この自然が美しいキャンパスで学んでいるのは、東京電機大学情報環境学部と同大学院の学部生・院生たちである。

地球規模の視野で活躍できる情報関連技術者の育成をめざす情報環境学部は、ほかには見られない画期的な教育システムでも知られる。今回の一生モノのプロフェッサー柴田滝也教授にそのあたりから伺った。

「この学部の最大の特徴は必修科目がないことです。つまり、学生たちは自らの興味と関心から学習計画を立てて、自分で学ぶ科目を選択して決めていきます。もし途中で興味や関心が変われば、選択科目を変更して学ぶこともできます」

同学部では、50分・75分授業による単位従量制が採用されている。この点についても、柴田先生はこう絶賛する。

「教える教員側からしても学生側にとっても、集中力が途切れにくいので、90分講義よりも学習効果は高いようですね」

そのほかにも、今までにないアグレッシブな試みに挑んでいるのが情報環境学部である。そこで柴田先生自身のご専門は「感性工学」である。

ちょっと現役高校生諸君には耳慣れない研究分野であろう。まずは、どんな研究分野なのか、から説明していただいた。

「感性工学とは、認知心理学や環境心理学などの理論と、3Dデータ処理やVR(バーチャルリアリティー)などの画像処理技術を組み合わせて、人にとって使いやすいインターフェース(情報機器)のシステムを構築するものです。それによって、これまでプロの領域だった設計やデザインなどの分野が一般の人に開放されて、その感性が生かされることにもなります」

新開発インターフェースで素人の創造性を喚起

手入れの行き届いた芝生が美しい

たとえば現在のインターネット上の検索サイトで、「モダンな椅子」と入力・検索しても、プロのデザイナーなどが設計・製作したり選んだりしたモダンな椅子が表示されるだけにすぎない。これが、感性工学の未来技術を実現化した将来的には、一般の素人・個人であっても世界唯一のモダンな椅子のデザインや製作ができるようになる。また、プロミュージシャンなどの手を借りずに、自分オリジナルの音楽が作曲できるようになるのだという。

「音楽にしろ映画にしろ、今の世の中は音楽会社や映画会社のフィルターを通したものが流通しています。感性工学による新システムができると、一般の人がその感性を生かした作品が発表できるようになります。すると、たとえ日本ではヒットしなくても、地球の反対側のアフリカでは大ヒット、というような現象が起こることも考えられます」

そこで、柴田先生らで研究中の、感性工学を生かしたインターフェースのデモ画像を見せてもらった。いずれも研究室に在籍する大学院生たちの作品である。それらの特徴的な概要を列挙してみた。

【渡邊尚人さん】現実の人物を撮影した画像に、そこには存在しない衣類を仮想着用させ、衣類のデザインや色・素材の質感などを変えて確認ができる研究
【内藤太郎さん】人と人とのコミュニケーションの場で、コンピューターが相手の姿勢から、その内面を判断してコミュニケーションのサポートをする研究
【武田秀貴さん】椅子やテーブルなど家具類のWebサイト上の検索において、大きさなどの物理量に「暖かい」など人間の感性を加味して検索できるようにする研究
【喜田雅子さん】公園に設置するベンチなどについて、VR画像によって景観との調和を考察しながら選定できるようにする研究

どれも研究途中で未完成だということだが、それぞれの方向性は明確で非常に興味深い内容になっている。

「究極的には、素人の感性による商品なり音楽なりを、素人の手によって世界に広げていきたいという思いですね。それに、使い勝手のいいインターフェースを新たに開発して、個人の創造性を喚起し能力以上のものが引き出せるようにしたいという思いもあります」

そう笑顔で語る柴田先生は、研究概成と実用化の目標は5年後を目処にしているという。

きめ細かく精力的な一生モノの学生指導の数々

図書館も兼ねる千葉メディアセンター

東京電機大学情報環境学部では、学部生の研究室入りは3~4年次学生が対象で、各研究室に7人前後の配属になる。なお学生たちは3年次と4年次で所属研究室を替えることも可能で、これも自由度の高い学部ならではの特徴とも言えるだろう。

柴田研究室では毎週1回ゼミ演習形式を採る。それぞれの研究の進捗状況がリポートで提出され、それを柴田先生や学生当人とで検討しながら進められていく。

研究室における柴田先生のきめ細かな指導には定評のあるところだが、これとは別に授業履修者と研究室所属学生への支援指導も数々行なう。
項目だけになるが、その一部を列挙してみると、「ワークショップ」「環境計画演習A」「環境計画演習B」「コンピュータ・グラフィックスA・B」「ランドスケープと環境」「ヒューマンメディア環境論」などである。さらに、4年次研究生だけを対象にした文献輪講が加わる。

「こうした内容は学生の側の理解度に個人差が大きくて、大教室の講義でマスプロ指導をしてもあまり効果があがりませんからね」

それらを含めた指導方針については次のように語ってくれた。

「教員と学生はクルマでいうところの両輪にあたります。双方が努力してこそ成果があるもので、片方だけ頑張っても空回りするだけです。その意味で、私のほうが学生たちから学ぶことも多いんですよ。研究に取り組んでいるときは自分ひとりの力で解決していると思いがちですが、教員はじめ周囲の先輩や仲間のサポートがあって、はじめて可能になっているわけですね。ですから深い感謝の気持ちをもって研究に臨むことが大切ですね」

こんな生徒に来てほしい

だれかの指示ではなく、自ら問題を見つけられる人がいいですね。ここでいう問題とは、高校までに学ぶ既知の解答が用意されている課題・テーマではなく、未知の問題のことです。社会に出てみると否応なく思い知ることですが、世の中には答えなどない問題のほうが圧倒的に多いのです。ですから積極的に、答えのない未知の研究テーマに挑んでほしいと思います。そうすることで、法則などを発見した先人たちの苦労や偉大さが理解できるはずです。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。