早稲田塾
GOOD PROFESSOR

成蹊大学
経済学部

伊藤 克容 教授

いとう・かつひろ
1970年東京生まれ。’97年一橋大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得(会計学専攻)。’95年関東学園大学経済学部経営学科助手。’01年成蹊大学経済学部経営学科助教授。’07年同経済経営学科教授(’04年より経済学部は経済経営学科の単科に統合)。主な著作に『組織を活かす管理会計』(生産性出版・日本原価計算研究学会 平成20年度学会賞)『企業再編と分権化:企業価値を高める再生の手法』『企業価値を創造する3つのツール EVA・ABC・BSC』(前著ともに共著・中央経済社)などがある。
伊藤先生が主宰するWeb上の研究室サイトのURLアドレスはコチラ →
http://sun.econ.seikei.ac.jp/~kito/

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マネジメントコントロールに注目する企業行動研究

伊藤研究室のある10号館建物
改修工事を終えた成蹊学園本館

成蹊大学経済学部の伊藤克容教授は、まだ30代という若々しい先生である。まずは成蹊大学経済学部の特徴からお話しいただこう。

「ここの経済学部は1学年500人ほどの規模で、人的ネットワークが濃密で、それぞれのコミュニティーが濃いのが特徴です。したがって学生同士、あるいは教員と学生間の距離が近いですね。経済経営学科のみの単科ですが、入試の段階で、高校生に経済学か経営学かを選択させるのは酷なところがあります。それで入学してから1年間は双方を学び、2年次から自分の関心のあるコースを選択して、学んでもらいます。これも本学経済学部の特徴ですね」

また、同経済学部には英語と情報分析に特化した特別選抜プログラム「国際社会プログラム」「情報分析プログラム」が開設されている。では、経済学と経営学は何がどう違うのか? こうした素朴な疑問から伊藤先生に解説してもらった。

「そもそもの経済学とは、限られたパイをどう配分すれば国民・市民の満足度が高まるのか? その効率よい配分方法を研究する学問分野でした。経済学では現実の経済現象を分析解明して、将来の経済動向等を予測することも行なわれています。これに対して経営学のほうは、個別の企業や個人などに焦点をあてて、世の中の経済的な動向を探っていくものです」

そういう意味では、時代とともに経済学も経営学も目指そうとしていることは似てきていて、両方を同時に勉強することのメリットも大きいと語る。

激動する国際経済状況を読み解いていく企業研究の醍醐味

吉祥寺キャンパス点描
憩いの場である学生会館・学食

伊藤先生ご自身のご専門は、「管理会計論」「原価計算論」「マネジメントコントロールシステム」(MCS)である。それぞれどんな研究諸分野なのかを聞いてみると――

「いわゆる企業活動において、どのくらいの投資をすると、結果としてどのくらい利益(損失)は得られたのか? それらを計算するのがいわゆる会計になります。会計には、投資家や株主などの外部に向けて発表する『財務会計』という分野と、企業内部での経営判断に活用する『管理会計』の2つの研究領域があり、わたしは後者を研究しています。たとえば、個々の製品についてどのくらいの利益(損失)になっているのか? あるいは販売チェーン店における各支店の業績や問題点等について解明する分野ですね」

つぎに「原価計算論』について。製品コストというのは、その製造に直接投入された費用だと思われがちだ。しかし実際には、製品の企画や宣伝にかかわる費用をはじめ、企業を運営するための費用(はては従教員に将来支払うことになる退職金までも)も、製品コストに折り込まなければならない場合がある。状況に応じていろいろな計算方法があり、目的に対応させて正確に役立つデータを提供するのが原価計算ということになる。

「それぞれの企業には方針とかカラーというものがあって、ヒット商品をコツコツと積み重ねていくタイプもあれば、大ホームラン一発ねらいの企業もあります。そうした企業の方針や経営戦略を具体的な目標数字で示して、働いている人に徹底させることが重要で、それが『マネジメントコントロールシステム』(MCS)の役割になります」

これらMCS研究のテーマにおいて伊藤先生は、日本企業と海外企業との比較という視点で調査研究している。

「80年代には日本企業が製造する高品質・低価格の製品パフォーマンスが世界的に注目され、日本企業の管理会計や原価計算・MCSが海外企業などから盛んに研究されました。現在は逆に日本企業からの海外企業研究も盛んです。というのも、日本の製造業の中には、製品販路の半分以上が海外で、株式もその40%が海外投資家に所有されている企業が珍しくありません。そんな相互浸透の時代を迎えているといえます」

研究の枠組みを超えた熱きゼミ指導

正門に続く見事なケヤキ並木

成蹊大経済学部には1年次から4年次までゼミがあるが、専門ゼミ演習は3~4年次の学生が対象である。伊藤先生のゼミでは、例年定員を超える応募があり選抜を行っている。それだけに意欲的なゼミ生ばかりだという。

「ここのところのゼミの内容は、『企業行動分析』という統一テーマでグループ研究をしてもらい、それらをゼミの時間に研究発表していくスタイルです。各グループは毎月ひとつのテーマを立てて調査研究し、年間7~8のテーマを研究します。その研究対象は、各種の業界から個別の企業や個別の製品までを自由に取りあげてケーススタディーする方法です」

さらに、伊藤ゼミは対外活動も盛んだ。まず、他大学のゼミとのインゼミ(対抗ゼミ)。これは年2~3回開催され、相手は一橋大学や慶應義塾大学・専修大学・日本大学などの経済・経営系のゼミだ。いずれも強敵ばかりだが、伊藤ゼミの戦績は悪くないそうだ。また外部の論文コンクールなどへの応募も積極的に推奨されている。

あらためて学生たちへの指導方針について伺った。

「実は、教員が学生に教え込むのはあまり意味のないことだと思っています。最新の知識を教え込んだつもりでも、いずれ陳腐化してしまいます。学生が自ら学びつづける姿勢を身に付けることの方が、ずっと重要だと考えて指導しています」

「また研究発表の場でも、ただ話を一方的に垂れ流すだけにはしないようにとも指導しています。聞いている人が、『面白く、ためになった』と思えるような話し方を工夫しなさいということです。そのためには自分なりの視点をもつことと、話し方についても常に工夫と努力をしないとなりません」

その訓練を兼ねて、3・4年次のゼミ生に、下級生のゼミなどで各自の研究を発表する機会をたびたび設けているそうだ。また、ゼミ内の希望者を対象に、日商簿記検定3級と2級の受験指導の補習も伊藤先生は受けもつ。

こんな生徒に来てほしい

自分を高めたいという向上心のある人ですね。自分なりの目標をもっている人のほうが伸びるように思います。さらに、知識などをただ吸収するだけでなく、自分の作品なり、意見なりを、外に向かって発表したいという意欲をもっている人ですね。そういう人たちは、社会に出てからもうまくやっていけると思いますよ。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。