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GOOD PROFESSOR

工学院大学
工学部 機械システム工学科

鈴木 健司 教授

すずき・けんじ
1965年東京生まれ。’93年東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻博士課程修了。’93年東京大学大学院工学系研究科産業機械工学専攻助手。’04年工学院大学工学部機械システム工学科助教授。’07年同准教授。’09年より現職。主な著作に『マイクロ・ナノ熱流体ハンドブック』(編集委員および分担執筆 エヌ・ティー・エス)『マイクロマシン技術総覧』(分担執筆・産業技術サービスセンター)などがある。
鈴木先生が運営する「マイクロシステム研究室」のURLアドレスはコチラ →
http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~wwa1041/index.html

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「昆虫規範型」マイクロロボットの世界的パイオニア

鈴木研究室のあるマイクロ&バイオシステム研究センター
工学院大八王子キャンパスの正面入り口

機械工学の新しい分野に「機械システム工学」というのがある。これは、ロボットシステムのように、機械とセンサー・コンピューターなどを組み合わせ、賢い機械を設計したり、生産システムや交通システムなどの大規模なシステムを設計・製作したりし、さらにその効率的な運用管理までの責任をもつという分野である。今回紹介する一生モノのプロフェッサー鈴木健司先生は、工学院大学工学部機械システム工学科教授で、まさにこの工学を研究・指導する先生だ。まずは、同大学機械システム工学科の特徴から聞いてみよう。

「機械システム工学科には、ロボットが好きな学生がたくさん入ってきます。ですから、ロボットコンテスト(ロボコン)に挑戦する学生も多いですね。この大学全体の特徴でもあるのですが、モノづくりのための施設が充実しており、他大にはない最新機器が導入され、それを学部生でも使えるように開放しています。また、学生が自主的にモノづくり活動に取り組む『学生プロジェクト』が盛んなのも特徴といえるでしょう。とくに機械系の学生には熱心な人が多く、いろんなプロジェクトに取り組んでいますよ」

工学院大学機械システム工学科はJABEE(日本技術者教育認定機構)の認定を受けており、卒業生は海外でも認定技術者として活躍することが出来る。

そんな鈴木先生自身のご専門は「マイクロシステム」。つまり小型機械の研究開発で、最近はマイクロロボットを中心に研究開発している。これが実に多岐にわたり、その内容もすばらしいものばかりだ。

「元来はマイクロマシンの研究をしていたのですが、現在はその技術を応用して、いろんな昆虫の、動く原理とか構造を規範・お手本にした小型ロボットの研究開発に取り組んでいます。大型のロボットは人間が規範になりますから、その行動様式はおのずと限定されます。それが昆虫を規範にしますと、飛翔したり、壁面や水面を歩行したり、自分の体長の何倍もの跳躍が可能になったり、メリットが非常に多くなるのですね」

話を聞いているだけで何だかワクワクしてくる。そこで、何はともあれ実物を見せてもらった。

小型ロボット開発のほぼ全てが世界初モノばかり

工学院大学八王子キャンパスの建物群
工学院大学キャンパス点描

現在、鈴木先生の実験室で研究開発中の昆虫規範の小型ロボットは以下の4種類。

【トンボやチョウを規範とした飛翔ロボット】
現在は、ガイドの棒に沿って垂直の上下に飛ぶことまでが可能だ

【アメンボを規範とした水面移動ロボット】
ロボットの脚に凹凸をつけて、水の表面張力を利用して水面上を移動する。すでにロボット本体に動力用バッテリーや制御用小型コンピューターも搭載され、自立水面移動が可能。水陸両用のロボットも開発した。同研究室では最も完成度が高い

【コオロギを規範とした跳躍・歩行ロボット】
コオロギの後脚の機構を模したもので、その連続跳躍を見せてくれた。「試作機はまだ大きいので、さらに小型化することで跳躍力のアップを図りたい」という

【アリを規範にした壁面歩行ロボット】
アリの足の付着原理を応用したもので、すでに壁面・天井面・ガラス面歩行に成功している。あとは足の裏から分泌する吸着液が自動的に分泌されるような機構の開発が残る

このほかに昆虫の6脚歩行や感覚器(センサー)をヒントにしたロボットも研究開発中だ。こうした昆虫規範のロボットを小型の機械システムとして研究し製作しているのは、わが国では非常に少ないだろうという。

「いま試作中のロボットを、人の手の平から指先に載る重量・サイズにまで小型化すること、そして自律的な作動ができることを完成目標にしています。私たちの研究はロボットの製作だけでなく、自律的に作動するプログラムを組み込むことまでやります。これが機械システム工学になるわけです。ロボットの完成後は、災害被災地の人命救助や留守宅の室内の監視などに利用が期待されます」

もうひとつ見せてもらったものに「微小液滴の搬送制御」の研究がある。これは鈴木先生の本来的な研究であるマイクロマシンについてだが、同マシンの開発(あるいは実使用)のとき、液体の表面張力が大きな障害になってきた。先生はこの障害を逆手にとって、液体の表面張力を利用して微小の液滴をつくり、それを電圧変化で移動搬送することに成功したのだ。まさに発想の転換による勝利といえよう。

卒研テーマは自由! プレゼン力もつけてほしい

研究室内にて学生に指導する鈴木先生
EWOD (Electro Wetting On Dielectric)による液滴輸送の原理図:
絶縁層に挟まれた2つの電極を製作し、その上に撥水性の膜を形成する。その2つの電極に電圧をかけると電位の高い側の電極で撥水性が低くなり、液滴の接触角(濡れやすさ)が変化する。このときに発生する濡れやすさの差によって液滴が移動する

工学部機械システム工学科の学部生の研究室配属は4年次の1年間である。
「卒業研究は、この研究室にある装置を使用してできる研究や実験であればどんなテーマでもOKです。ただ、実際には先輩学生の研究を引き継いで、それをテーマに研究する人が多いですね」

そうした学生指導で心掛けていることについて鈴木先生は次のように語る。

「わたしの方からはあまりうるさく言わないで、学生の自主性に任せるようにしています。毎週1回全員参加の研究会というのを開いて、各自の進行状況の報告と、次の1週間の予定を発表してもらっています。そうすることで自主性が育ってくれればという思いですね」

研究成果を発表するプレゼンテーションの力をつけるために、卒業論文などを発表する機会を多くしているとも語る。

こんな生徒に来てほしい

若者らしくいろいろなことに興味をもって何でもやってみたいという人。自分から積極的に動いてやる気のある人。多くのことにチャレンジしようという人。そんな人がいいですね。工学院大学のキーワードのひとつに「好奇心」というのがあります。ぜひ、好奇心をもって自らやってみるという姿勢をもって進学してきてほしいですね。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。