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GOOD PROFESSOR

大東文化大学
スポーツ・健康科学部

鈴木 明 教授

すずき・あきら
1952年三重県生まれ。’78年筑波大学大学院修士課程体育研究科健康教育学専攻修了。’78年国際基督教大学高校教諭。’88年聖学院大学政治経済学部専任講師。’92年同助教授。’98年同大学人文学部児童学科教授。’05年より現職。主な著作に『青年期の健康科学』(編著・共栄出版)『健康教育大事典』(旬報社)『保育内容・健康』(前著ともに共著・同文書院)などがある。

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「早起き・早寝」がニッポンの「疲れ」を救う

鈴木研究室のある9号館建物
大東文化大学東松山キャンパスの正門

これまで日本有数の学生アスリートを数々と輩出してきた大東文化大学。
同大学東松山キャンパスにはスポーツ・健康科学部があり、スポーツ指導者の育成や臨床検査技師をめざす学生への教育指導、さらにはアスリートへの専門的指導までもが行なわれている。

このスポーツ・健康科学部の鈴木明教授は医学博士(東邦大学)と体育学修士(筑波大学)という2つの肩書きをもつ名物教授だ。
まずはスポーツ・健康科学部の特徴からお話しいただいた。

「本学スポーツ・健康科学部は、スポーツと臨床科学をリンクさせ、その見地から健康について総合的に研究しています。おそらくこうした目的の学部は、国内ではここだけだと思います。学科構成はスポーツ学科と健康科学科からなっていますが、2学科間の講義交流も盛んです。スポーツ学科の学生が医学の専門知識も学べますし、健康科学科の学生が運動医学や運動生理学などを学べるのも大きなメリットだといえますね」

学んでいる学生たちの目的意識が明確なため、途中で迷いブレるような、近年ありがちなモラトリアム型の学生が少ないことも本学科の特徴でもあるという。
健康科学科で学ぶ学生たちの約8割は臨床検査技師をめざす。
そのための最新の実験・実習施設も学内に設けられ、学外での臨地実習のために22の病院とも提携体制が整っている。

なぜ日本の子どもたちは「低体温」ばかりなのか

東松山キャンパスに立ち並ぶ校舎群
東松山キャンパスの中庭

鈴木先生自身のご専門は「健康教育学」「健康管理学」「学校保健」である。
それらの研究成果のひとつに「中国と日本の児童の体温比較」という独創的な調査研究がある。

「わたしの研究の中心は健康管理学でして、これはその観点からの調査研究のひとつとなります。結論から申しますと、子どもたちの平均体温は高いほうから順に、中国農村部・中国都市部・日本――となっています」

「日本は農村部と都市部にあまり差がないのですが、おしなべて低体温現象が特徴的で、これは運動不足による代謝の少なさが原因だと考えられます。これらの背景に、①就寝時間が遅くなったことによる睡眠不足②外で遊ばなくなって携帯やメール・ゲームへの依存③朝食抜きや子どもが好むメニューが食卓に並ぶ軟食化傾向などが挙げられます」

最近の日本の児童は昔と比べて、外遊びをしない子どもが多いのに、そのわりには「疲れる」ことを日常的に訴えることが非常に多い。
これは中国ばかりでなく他の先進諸国と比較しても突出した現象といえるそうだ。
こうしたことから鈴木先生は次のような仮説を導き出す。

「不登校の児童・生徒の問題は、とかく心の問題として認識されがちですが、そればかりでなく、学校に通学して一日勉学に向かうだけの体力自体が不足している子どもが相当数いる、というのが今のところの私の推論です。これを解決するには『早起き・早寝』を習慣づけることに尽きます。眠かろうと何だろうと朝早く起こしてしまえば(そして昼寝をし過ぎなければ)、人間は自然に早寝になりますからね(笑)」

喫煙防止指導用の教材CD-ROMを完成

大東文化大学の校章と大学ロゴの看板

さらに鈴木先生は、学校保健教育における高校生向け喫煙防止指導の教材づくりにも力を入れてきた。
先生オリジナルの喫煙防止指導教材への反響はことのほか大きい。
最近では小中学生向けのCD-ROM教材も共同プロジェクトで作成し、希望校に配付している。

「喫煙による人体への影響といえば肺ガンがよく知られていますが、ほかにも心筋梗塞や胃潰瘍、さらに口腔保健の歯周病や口臭・歯の汚れなどの原因にもなっています。それに高校生くらいから喫煙の習慣をもちますと、薬物への関心が高まり、覚醒剤をはじめ麻薬に手を染める傾向が高まるともいわれています。薬物使用者は100%喫煙経験者という統計データもあるほどで、喫煙は薬物使用の入り口だといっても過言ではないのです」

喫煙によって頭がスッキリする――この俗説が絶対に正しくないことを先生は力説する。
「喫煙はそのたびに脳貧血に近い状態を引き起こしているので、集中力はなくなり間違いが多くなるのは当然のことです」
脳へのダメージこそあっても、プラスの効果など一切ないそうだ。

一生モノのリテラシーと友人関係をつくる

鈴木先生の所属はスポーツ・健康科学部健康科学科。
だが、スポーツ学科の1年次学生を対象にした基礎演習(入門ゼミ)を現在指導している。
その受講学生は例年12~13人くらいだという。

「文字どおり基礎の基礎から指導しています。あいさつの仕方や社会人として必要な常識を教えるマナー講習に始まり、学生自身の将来について考えるキャリアサポートや公的文章の書き方、さらにスポーツ心理学指導や外部講師を招いての講演などもあります。このうちキャリアサポートについては、自分は、ゆくゆくは教員になるのか? それとも公務員になるのか? あるいはトレーナーを目指すのか? 具体的な進路を早めに決めてもらい、それに合わせた履修科目の選択指導を行っています」

「さらに今年度から『イベント企画』という課題も始まりました。このイベント企画が後期の基礎演習の中心的な課題になります。学生が数人ずつのグループに分かれて、それぞれでイベントを企画し、それを他の学生に対して行なって評価を受けるというものです。この基礎演習を1年間受講することで、入学時にはひ弱く感じた学生たちが、自信に満ちた学生になるはずです」

なお、鈴木先生は2010年度から専門ゼミ(健康科学)の指導にもあたる予定とのことだ。
あらためてゼミ学生たちへの指導方針について聞いてみると――

「しっかりした目的意識をもった人に育ってほしいですね。何もしなくても時間は過ぎていってしまうものですから、早く自分の人生の目的は何かを見つける努力をしてほしい。早く見つけた人ほどその後の人生が有利に展開するのは確かなことです。さらにいえば何事にも疑問をもって、それを探求する心も育ててほしいですね」

そして最後に、この大学で学んでいる間に生涯にわたって尽き合える友人を少なくともひとり以上つくってほしい――と。

こんな生徒に来てほしい

しっかりした目的意識をもった学生に来てほしいですね。
さらにいえば少しでもスポーツ・健康分野に興味があると嬉しいですね(笑)
ただ何となく大学に入って来るのだけはやめてほしい。
とくに大学1・2年生までのあいだに一生分の大量の読書をすることと、新聞を読む習慣をつけることが大事です。
そこまでリテラシーを高めれば、自分の進みたい道がおのずと見えてくるはずです。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。